13 / 15
第十三話
しおりを挟む
「及川智也は……いまこの世界にいるんですか?」
「え?……ええ。」
心臓が痛くなって、息苦しくなる。
全身の力が全て足の裏にあるような感覚になった。
「及川智也は……私の、父親です。」
私が小さく呟くと、みんなして口をあんぐり開けた。
──私もビックリだよ……
「会って……みたいです。お父さんに……」
カルアさんが戸惑っていると、おばあさんが口を開く。
「手がかりなしで人探しの魔法なんぞお前さんらにはつかえないじゃろ。……グレートウィッチにもの頼むんならサイコトリアを持ってきなさい。私達も探しているが、どうしても見つからんのじゃ。もし見つけられたら、グレートウィッチも私も、あんたの父親探しに協力してやろう。」
「おばあちゃん、そんなのすぐには無理よ、難しすぎる……」
「いいんじゃ、サイコトリアを見つけられないのならわしらの魔法に頼らず自分で父親を探すことじゃ。」
──なんかなんか、すっごい大変なこと言われてる?
「つまり、サイコトリアという花を見つけてきたら、おばあさんとカルアさんが魔法を使って探してくれる、見つけることが出来なかったら自力で探す……」
「そうじゃ、あんたの父親がどこにいるかは大体見当がついとるからな。そしてサイコトリアも、咲く場所が大体決まっておる。」
──咲く場所が決まっているのに見つけられないんだ……そっか、この世界に二つしかなくて、一つはもう持ってるんだから、見つかる確率は低いのか。
「で、それはどこなんですか?」
「ジャングルじゃ。絶対に草原なんかにゃ咲かん。ジャングルでしか咲かない。」
「わかりました。絶対に見つけてきます。」
私ときゃまたんはとりあえず、待ちの出口へと歩きだす。
「行っちゃいましたね。」
「新米グレートウィッチにはこのくらいの旅が必要じゃよ。」
おばあさんは優しく二人の背中を見送っていた。
私ときゃまたんは、とりあえず近くのジャングルを探しにいくことにした。
「この村に来るときに通ったわよね、ジャングル!」
「そうだね、じゃあまずそこから……って思ったけどさ、魔法で飛んでこなかったっけ……」
「あ…………じゃあ、また魔法であそこまで行っちゃお!」
「えー!」
──魔法使わない宣言はどこに消えたのやら。
きゃまたんはスティックをくるっと回して魔法をかける。
ガァーゴー……ガァーゴー……
「きゃまたん! 起きて!」
「んー……ここどこ…………あ! きのこの森ね!」
「魔法使っちゃうとどうしても寝ちゃうの?」
きゃまたんは魔法を使うと、私が目を覚ます頃、大きなイビキをかいている。
──起こすのも一苦労なんだよなぁ……
「寝ちゃうっていうか、魔法を使うと魔力がなくなっちゃうから、また寝て貯めるのよ!」
「あぁなるほど。」
見渡すとそこはどうやらピクニックもどきをした辺りらしかった。
「よし! じゃあ、探すか! サイコトリア!」
「え?……ええ。」
心臓が痛くなって、息苦しくなる。
全身の力が全て足の裏にあるような感覚になった。
「及川智也は……私の、父親です。」
私が小さく呟くと、みんなして口をあんぐり開けた。
──私もビックリだよ……
「会って……みたいです。お父さんに……」
カルアさんが戸惑っていると、おばあさんが口を開く。
「手がかりなしで人探しの魔法なんぞお前さんらにはつかえないじゃろ。……グレートウィッチにもの頼むんならサイコトリアを持ってきなさい。私達も探しているが、どうしても見つからんのじゃ。もし見つけられたら、グレートウィッチも私も、あんたの父親探しに協力してやろう。」
「おばあちゃん、そんなのすぐには無理よ、難しすぎる……」
「いいんじゃ、サイコトリアを見つけられないのならわしらの魔法に頼らず自分で父親を探すことじゃ。」
──なんかなんか、すっごい大変なこと言われてる?
「つまり、サイコトリアという花を見つけてきたら、おばあさんとカルアさんが魔法を使って探してくれる、見つけることが出来なかったら自力で探す……」
「そうじゃ、あんたの父親がどこにいるかは大体見当がついとるからな。そしてサイコトリアも、咲く場所が大体決まっておる。」
──咲く場所が決まっているのに見つけられないんだ……そっか、この世界に二つしかなくて、一つはもう持ってるんだから、見つかる確率は低いのか。
「で、それはどこなんですか?」
「ジャングルじゃ。絶対に草原なんかにゃ咲かん。ジャングルでしか咲かない。」
「わかりました。絶対に見つけてきます。」
私ときゃまたんはとりあえず、待ちの出口へと歩きだす。
「行っちゃいましたね。」
「新米グレートウィッチにはこのくらいの旅が必要じゃよ。」
おばあさんは優しく二人の背中を見送っていた。
私ときゃまたんは、とりあえず近くのジャングルを探しにいくことにした。
「この村に来るときに通ったわよね、ジャングル!」
「そうだね、じゃあまずそこから……って思ったけどさ、魔法で飛んでこなかったっけ……」
「あ…………じゃあ、また魔法であそこまで行っちゃお!」
「えー!」
──魔法使わない宣言はどこに消えたのやら。
きゃまたんはスティックをくるっと回して魔法をかける。
ガァーゴー……ガァーゴー……
「きゃまたん! 起きて!」
「んー……ここどこ…………あ! きのこの森ね!」
「魔法使っちゃうとどうしても寝ちゃうの?」
きゃまたんは魔法を使うと、私が目を覚ます頃、大きなイビキをかいている。
──起こすのも一苦労なんだよなぁ……
「寝ちゃうっていうか、魔法を使うと魔力がなくなっちゃうから、また寝て貯めるのよ!」
「あぁなるほど。」
見渡すとそこはどうやらピクニックもどきをした辺りらしかった。
「よし! じゃあ、探すか! サイコトリア!」
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈




転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

オタクな母娘が異世界転生しちゃいました
yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。
二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか!
ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる