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第十話

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「それは、異世界の壁よ!」
「へっ? なにそれ。」

──なんかカッコいい名前だけども!

「この私たちがいる妖精だとか魔女だとかの魔法の世界と、別の世界を分ける透明な壁があるの。」
「つまり向こうに見えてる街は、異世界ってこと?」
「そうそう。だから、向こうにはグレートウィッチどころか、情報さえも持ってる人はいないのよ。それにまず行けないしね!」
「なるほど。」

異世界と隣り合わせになってるってことは、人間界との壁もどこかにあるのかな……


「それじゃあ、また森に戻ろうか……」
「えぇー! ……あぁーん、もう! 魔法使っちゃえ!」
「えっ! きゃまた……」

──ティラリラリィン……



・*・*・*・



ガァーゴー……ガァーゴー…

「……んんー……あれ? きゃまたん?」

──この音、きゃまたんのイビキっ?

「完全におじさんじゃん……」
「……聞こえてるわよ。」
「えっ! あ、その……なんかごめん。」
「よぉーっし! 」

 ここは小さな丘の上だった。
いちめん芝生で、ふもとのほうでは、妖精達や子供達がボールを浮かばせたりして遊んでいた。

「ここって……」
「とりあえず、『グレートウィッチの情報を持つ人がいる街』って頭に浮かべて魔法を使ったから、この街のどこかに、グレートウィッチの情報を持ってる人がいるよ!」
「お城まで行っちゃえばよかったんじゃ……」
「だーかーら! これは楽しい楽しい冒険なの!」

──面倒だなぁ

 ため息を一つついて立ち上がる。
向こうの方には、川に沿って商店街みたいなところが見えている。

「ひとまずあそこに行ってみようか。」
「きゃまたん、わくわく!」
 




 川に沿ってずらりと並ぶお店には、魚、野菜や果物などが並び、広場には華やかな衣装を着た音楽隊が演奏していた。

「なんだか楽しい気分になるね。」
「きゃまたんは、この街にもっとピンクがほしぃー!って感じかな。」
「あははー……この街、どちらかというとオレンジとか黄色って感じだもんね。」

少しはずれの方まで歩いてみると、少しだけ周りとは違う見た目の小屋があった。

「この古小屋怪しくない?」
「そうだけど……商店街で先に聞き込みしましょう!  この小屋はきゃまきゃまハートが危険と言っているわ!」

──ただ入りたくないだけじゃ……

 とりあえず、もと来た道を戻ることにした。
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