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数多の勇者

十2/異世界からの国賓

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視界を白が全て侵食されて、再び目を開けるのはかなり辛かった。

頭の中がずっと揺れているようで気持ち悪い…寝不足なのに体育でマラソンをさせられた気分だ。

何故か地面に突っ伏している…

周囲の喧騒を感じる。
日本語だ。

ボヤけていた景色がハッキリしていく。

「…え?」
スリーグ言語だ。

僕じゃない、そして、同級生でも先輩でもないような声。可愛い、声優のような声。

そんなことより、よく触ってみると地面ではなく絨毯だ。羊毛ウールでもなく綿コットンでもない…触り心地がよく突っ伏したまま触り続けてしまう。

「えっと、あのぅ…」

本当に気持ちいいな、何でできてるんだ?

「えっ!!!」

あっ…

引きちぎってもうた…やっべ…

「おっ⤴︎、おぅえ気を確かにッ!!!!」

声優さんが滅茶苦茶テンパってる。

「土室くん起きてください!何してるんですか!!」

「ぐえぇッ…!?」

腹に手を回され、女性の手のようだったが凄い力で持ち上げられる。いきなり腹を押されたもんだから嘔吐いてしまう。

その勢いのまま立ち上がれると思ったが、女性の身長は低くく、中途半端な高さまで引き上げられた。

「…えぇと、すいません。」
「あっ、はい…」

女性に持ち上げられたまま話を続けられてしもうた。しかも、振り解く所か呼吸できそうにもない。
声も出ん。

「あぁ、ゴホンッ!えぇと…よくぞぅッ⤴︎召喚に応じてくださいました勇者様方!」
「…えっ!!」

よくぞぅッ⤴︎だって、メッチャ上ずるじゃん。あと驚いたからって人のお腹こんなに締め上げないで!

「きゃっ?!って、何処さすってんのよ!」
「ゲボぅッ…!」
「ゆッ、ゆぅうッ!勇者様方!?」

もう耐えられないから呼ぼうとしただけなのに、体勢的に尻を触ってしまった。
わざとじゃないのに…地面に叩きつけられた。

あっ、絨毯が気持ちいい…ガクッ

「あぁ、もーッ!…あっ、えっとですね…召喚ってどういうことですか?」
「えぇッ!はいッ!魔王軍撃滅のために異世界から12の勇者を召喚させてもらい、それでこの世界を救って…もらい……たくって…」
「あの、すいません最後の方が聴こえなくて、「うぅえええぇぇッ!!??なッ?!なんで12人じゃないにょうぅーーッ!?!?!?」

「「「はっ?」」」

はっ?どういうこと??素の語尾が「にょ」ってこと???

「なっなんで、えっと…1、2、3…いやぁぁあッ!!
絶対100人以上いるよぅぅッ!!??」

おっちょこちょいさんだなぁ。んで、これからどうなるだろ…
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