フリー朗読台本

ひとりぼっちの背中

波打ち際で、冷えた海風を浴びながら、
海を眺めてあなたを見つめる。

もうここにはいないあなたのことを考えながら、
少し重たい左手の薬指に温もりを感じて、
少し胸が苦しくなった。

もし私があなたの言葉を信じていたら、
あなたは今も私の隣にいたのかな。

大人っぽくて子供なあなたと、
大人になってしまった私。

初めから合わなかったのかもしれない。

それでも、あなたの隣を選んだのは、
「ひとりぼっち」が寂しいから。

「あなたのことが好きだから」じゃなくて、
ただ寂しかったから、私はあなたがくれる愛に溺れた。

ごめんね。
私はもうあなたの所へは帰れない。

あなたが私に伸ばした手を、
思いっきり振り払い、背中を向けたのは私で、
あなたはそこで待っていてくれたのに、私があなたを傷つけた。

だから、私はあなたの傷を請け負って、
あなたがくれた温もりを、あなたと過ごした思い出ごと、この薄情な海に捨てることにした。
私の心に残された、あなた宛ての「愛してる」も。

さようなら。
あなたのことが大好きでした。
私を愛してくれてありがとう。
あなたと出会えてよかった。

どうかあなたの未来が
私よりも幸せでありますように。

あなたを愛してる。