12 / 28
君の色で、僕を染めて。
しおりを挟む
波の音が聞こえる。
けれど、どれだけ耳を済ましても
君の声は聞こえない。
あの頃の君が、海辺ではしゃいでいるけれど、
その笑顔は輝いて、霞んでいる。
僕はもう、あの頃の君にしか会えないのに
押し寄せてくる波が、あのころの君まで攫っていく。
生きていたのに。
ここにいたのに。
思い出だけが美化される。
これは、本当の君なのか。
疑ってしまう自分がいる。
どれだけ愛していたとしても、
記憶は、僕の「待って」をシカトする。
波の音がうるさくて、君の声が聞こえない。
たった一度だけでいい。
僕の名前を呼んでくれるかい。
お願いだ、あの頃の君でもいいから。
唇を噛んでも、涙が止まらないのなら
少しだけ、言ってみてもいいかな。
「君に逢いたい」と。
この海は、君のもとへと続いている。
そう信じて、僕は海に白い薔薇の花束を手渡した。
君に届けて欲しいと、心から願って。
いつか、その薔薇たちが君の色に染ったら、
夢で逢おう。
その時は、
僕の目が覚めるまで、そばにいてくれるかい。
君を心から愛してる。
※あとがき
あなたは、大切な人を亡くした経験がありますか。
私は、高校生の頃に母を亡くしました。
時間が経つにつれ、母と過ごした記憶から、真っ先に盗られたものは「声」でした。
それを、この物語の主人公に置き換えて、紡いでおります。
この物語では、主人公が最愛の彼女を亡くし、時間が経つにつれ、声も、笑ってた顔も思い出せなくなり、記憶が改竄されつつある様子が紡がれています。
あなたにも、こんな経験はありませんか。
自分の覚えている顔に、誰の声かも分からない声をその人に当てて、その人の声にしてしまう。
なんて、経験が。
少なくとも、私にはありました。
それを少しだけ、紡がせて頂きました。
人は声から忘れるという説がありますが、
この主人公はせめて、1度だけ名前を呼んでくれたら、君を思い出せるかもしれないのにという儚い願いを持っています。
叶わないとわかっていても、願ってしまうのが本当の「愛」なのかもしれませんね。
その願いが叶わないと認めてしまった時、我慢していたものが、涙となって溢れてしまう。
唇を噛んで、泣くのを我慢しようとするも、涙は止まらない。
どうせ止まらないのなら、今まで我慢していえなかった「君に逢いたい」を言ってしまおうという彼の心情がここで紡がれております。
白い薔薇の花言葉に「あなたの色で私を染めて」というものがあります。
それを終わりで紡がせて頂きました。
「いつか、その薔薇たちが君の色に染ったら、夢で逢おう。」
あなたもこんなことを願ったことはありませんか。
夢でもいいから、逢いたいと。
それを彼は白い薔薇の花束を用いて、
彼女と会う口実を作ろうとしているのです。
逢えないとはわかっていても、逢いたいという願いだけは捨てることが出来なかった。
きっと、彼は今も「君を心から愛している。」という想いを心に宿しながら、夢で会えるその時をずっと待ち続けているのでしょうね。
切ない……。
けれど、この先の物語はあなた次第で変わります。
この先の物語をどう紡いでいくかは、あなた次第。
夢で彼と彼女を再会させるか。
逢えずに彼女を忘れてしまうか。
それとも、彼は彼女を追ってしまうのか。
彼と彼女の未来は、ご自由に想像してお楽しみください。
あなたの心に残る朗読台本を。
けれど、どれだけ耳を済ましても
君の声は聞こえない。
あの頃の君が、海辺ではしゃいでいるけれど、
その笑顔は輝いて、霞んでいる。
僕はもう、あの頃の君にしか会えないのに
押し寄せてくる波が、あのころの君まで攫っていく。
生きていたのに。
ここにいたのに。
思い出だけが美化される。
これは、本当の君なのか。
疑ってしまう自分がいる。
どれだけ愛していたとしても、
記憶は、僕の「待って」をシカトする。
波の音がうるさくて、君の声が聞こえない。
たった一度だけでいい。
僕の名前を呼んでくれるかい。
お願いだ、あの頃の君でもいいから。
唇を噛んでも、涙が止まらないのなら
少しだけ、言ってみてもいいかな。
「君に逢いたい」と。
この海は、君のもとへと続いている。
そう信じて、僕は海に白い薔薇の花束を手渡した。
君に届けて欲しいと、心から願って。
いつか、その薔薇たちが君の色に染ったら、
夢で逢おう。
その時は、
僕の目が覚めるまで、そばにいてくれるかい。
君を心から愛してる。
※あとがき
あなたは、大切な人を亡くした経験がありますか。
私は、高校生の頃に母を亡くしました。
時間が経つにつれ、母と過ごした記憶から、真っ先に盗られたものは「声」でした。
それを、この物語の主人公に置き換えて、紡いでおります。
この物語では、主人公が最愛の彼女を亡くし、時間が経つにつれ、声も、笑ってた顔も思い出せなくなり、記憶が改竄されつつある様子が紡がれています。
あなたにも、こんな経験はありませんか。
自分の覚えている顔に、誰の声かも分からない声をその人に当てて、その人の声にしてしまう。
なんて、経験が。
少なくとも、私にはありました。
それを少しだけ、紡がせて頂きました。
人は声から忘れるという説がありますが、
この主人公はせめて、1度だけ名前を呼んでくれたら、君を思い出せるかもしれないのにという儚い願いを持っています。
叶わないとわかっていても、願ってしまうのが本当の「愛」なのかもしれませんね。
その願いが叶わないと認めてしまった時、我慢していたものが、涙となって溢れてしまう。
唇を噛んで、泣くのを我慢しようとするも、涙は止まらない。
どうせ止まらないのなら、今まで我慢していえなかった「君に逢いたい」を言ってしまおうという彼の心情がここで紡がれております。
白い薔薇の花言葉に「あなたの色で私を染めて」というものがあります。
それを終わりで紡がせて頂きました。
「いつか、その薔薇たちが君の色に染ったら、夢で逢おう。」
あなたもこんなことを願ったことはありませんか。
夢でもいいから、逢いたいと。
それを彼は白い薔薇の花束を用いて、
彼女と会う口実を作ろうとしているのです。
逢えないとはわかっていても、逢いたいという願いだけは捨てることが出来なかった。
きっと、彼は今も「君を心から愛している。」という想いを心に宿しながら、夢で会えるその時をずっと待ち続けているのでしょうね。
切ない……。
けれど、この先の物語はあなた次第で変わります。
この先の物語をどう紡いでいくかは、あなた次第。
夢で彼と彼女を再会させるか。
逢えずに彼女を忘れてしまうか。
それとも、彼は彼女を追ってしまうのか。
彼と彼女の未来は、ご自由に想像してお楽しみください。
あなたの心に残る朗読台本を。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説

アレンジ可シチュボ等のフリー台本集77選
上津英
大衆娯楽
シチュエーションボイス等のフリー台本集です。女性向けで書いていますが、男性向けでの使用も可です。
一人用の短い恋愛系中心。
【利用規約】
・一人称・語尾・方言・男女逆転などのアレンジはご自由に。
・シチュボ以外にもASMR・ボイスドラマ・朗読・配信・声劇にどうぞお使いください。
・個人の使用報告は不要ですが、クレジットの表記はお願い致します。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
👨一人用声劇台本「寝落ち通話」
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
彼女のツイートを心配になった彼氏は彼女に電話をする。
続編「遊園地デート」もあり。
ジャンル:恋愛
所要時間:5分以内
男性一人用の声劇台本になります。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

声劇・シチュボ台本たち
ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。
声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。
使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります)
自作発言・過度な改変は許可していません。

一人用声劇台本
ふゎ
恋愛
一人用声劇台本です。
男性向け女性用シチュエーションです。
私自身声の仕事をしており、
自分の好きな台本を書いてみようという気持ちで書いたものなので自己満のものになります。
ご使用したい方がいましたらお気軽にどうぞ
【フリー台本】一人向け(ヤンデレもあるよ)
しゃどやま
恋愛
一人で読み上げることを想定した台本集です。五分以下のものが大半になっております。シチュエーションボイス/シチュボとして、声劇や朗読にお使いください。
別名義しゃってんで投稿していた声劇アプリ(ボイコネ!)が終了したので、お気に入りの台本や未発表台本を投稿させていただきます。どこかに「作・しゃどやま」と記載の上、個人・商用、収益化、ご自由にお使いください。朗読、声劇、動画などにご利用して頂いた場合は感想などからURLを教えていただければ嬉しいのでこっそり見に行きます。※転載(本文をコピーして貼ること)はご遠慮ください。
フリー台本と短編小説置き場
きなこ
ライト文芸
自作のフリー台本を思いつきで綴って行こうと思います。
短編小説としても楽しんで頂けたらと思います。
ご使用の際は、作品のどこかに"リンク"か、"作者きなこ"と入れていただけると幸いです。
フリー声劇台本〜1万文字以内短編〜
摩訶子
大衆娯楽
ボイコネのみで公開していた声劇台本をこちらにも随時上げていきます。
ご利用の際には必ず「シナリオのご利用について」をお読み頂ますようよろしくお願いいたしますm(*_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる