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第二章 迷宮都市ロベリア
051 魔力欠乏症とピンクのTQB
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獣人の女の子は、私が渡したバッグの中を漁っている。
これでちょっとは警戒心を解いてくれたかな? 私は離れた距離のままじっと様子を見守る。
あのバッグには何が入っているのだろう? ハンカチか何かを取り出して、濡らして頭を冷やしてあげるのだろうか?
いろいろと怪我の対処法について考えを巡らせていた私の予想に反して、バッグの中から取り出されたのは、何かの液体が入った小瓶だった。
女の子はバッグから取り出したそれを、地面に何本も並べ始めた。そして、そのうちの一本の小瓶の栓を抜いて、男の頭に振りかける。
小瓶の中身をかけられた男の頭が、フワリと淡い光に覆われる。
「これで怪我は治るはず……」
ま、まさかアレは、治癒のポーション!?
そんな高級品をあんなに何本も持っているなんて!
「せんぱい? 起きてください! 怪我は治りましたよ?」
ペチペチと男の顔を叩く女の子。
だが、一向に男が目を覚ます様子はない。
「まだ治ってないのかな? もう一本使ってみよう」
そう言って女の子は、無造作にもう一本の治癒のポーションの栓を抜いた。
「ちょっ、ちょっと! なにしてるの、もったいない!」
女の子の蛮行を阻止するため、私は素早く彼女の後ろに回り込んで、羽交い絞めにするが、女の子は短い手足をバタバタと振り回して、私の拘束から逃れようと暴れ始めた。
「は、放してください! 先輩の怪我を早く治してあげないと、死んじゃったらどうするんですか!?」
「まって、落ち着いて! 治癒のポーションを連続で何本も使ったって、勿体ないだけだよ! 手を振り回さないで、零れる、ポーションが零れちゃう!!」
なんとか、振り回していた手からポーションを確保して、栓を閉め直す。
「落ち着いて、ね? 治癒のポーションを使って起きないのなら、怪我以外の理由があるはずだから」
残りのポーションも取り上げてから、取り乱している女の子に言い聞かせるのだが、恨めしそうにこちらを見上げている。
「ううう……盗られた……」
「盗ってないからね! すぐに返してあげるから、ちょっとだけまってて……私が診てみるから」
そう言って、いまだに倒れたままの男の顔をのぞきこむ。
改めて見てみると、この男まだ全然若い。17~8といったところか?
こんな若さで奴隷を侍らせているなんて、どこぞのの富豪の息子なのかな? ホントにろくでもないな。
おっと、今はそんなことを考えている場合じゃない、ちゃんと診てあげないと。
男の顔は青白く血色が悪いのだが、その息づかいは早く荒い……とても苦しそうにしている。
首筋を触って脈をはかると、荒い息づかいとは反して、ゆっくりで弱々しく脈打っている。
両手で頬を挟み込むように持って、親指で瞼の下を引っ張ると、下瞼の裏側は真っ白になっていた。
ふむ、なるほどなるほど。
私は女の子の方を振り向いて質問した。
「この人、もしかして新米の魔術師かなにか?」
「~~っ! ち、ちがいますけど!?」
心配そうな顔でこちらを窺っていた女の子は、何故か明らかに挙動不審になり否定してきた。
「ホント?」
「ほ、ほんとうです! ウソじゃないですからね!」
「あっそう……」
この反応、どうやら私の見立ては間違っていなかったらしい。
こいつは"魔力欠乏症"で倒れたのだろう……貧血によく似た症状だけど、脈拍数が極端に少なくなるのが、この症状と貧血の違うところだ。
新米の魔術師が自分の持つ魔力量を把握できていなかったり、魔術に使用する魔力量を加減できなかったりした場合に、体内魔力が枯渇して発症する。
寒気、眩暈、意識の混濁、体温の低下を起こし、酷い場合は死んでしまうこともあるらしい。
だけど……そんなに極限まで魔力を消費する前の段階で、大抵の人間は気を失ってしまうので、実際に魔力欠乏症がもとで死んだという人間の話を、私は聞いたことが無い。
ほっとけば魔力が回復して治るし、寝ていればもっと早く治る。そんな程度のどうってことないものなのだ。
「こいつの症状は、私が知っているものと同じだと思う、対処法も知ってる」
「ほ、ほんとうですか? 教えてください!」
必死な顔で縋りついてくる女の子。
乱れたライトブルーの髪の毛がその肌に濡れて張り付いていて、なんだか歳と不相応に色気を感じさせられる。
それに、わずかに紅潮したほっぺと、泣きはらした赤い瞳は、女の私から見ても保護欲を強く刺激された。
歳の割に肉付きの良い太ももと、異常なほどに整った顔は、幼いながらにもきっと将来は、沢山の男の人生を狂わせるような、そんな女性になるであろうことが予感させられる。
それでいて、ここまで必死に主の心配をしてくれるのだ……不覚にもこの子を着飾り、指輪を付けさせてまで独占したがった、この男の気持ちが少しわかってしまった。
だけど、ボンボンの魔術師と獣人の女の子か……どうしたものだろう。
嵐の夜に外をフラフラするには、少しばかりおかしな組み合わせだ。
まず間違いなく問題ごとを抱え込んでいるだろうな……ここは心を鬼にして、しっかりと尋問をするべきだろう。
「この症状の治し方を教えてあげる前に答えて欲しいの、どうして馬小屋に忍び込んだりしたのかな?」
「……」
女の子は質問に答えない、きっと男に口止めされているのだろう。
「話してくれたら、衛兵に突き出さないし、こいつの治療方法も教えてあげる」
「えっ? えっ?」
女の子は、苦しそうな男と私の顔を交互に見て、狼狽えている。
すこし意地悪な言い方だったかもしれない。この言い方だと、話さなかったら衛兵に突き出すと言っているようなものだ。
「ど、どうしよう……」
女の子はオドオドとした様子で、私の顔や倒れたままの男の顔を見ながら、どうするべきか考えている様子だ。
そんな様子を見ながら、私はじっとこの子を見つめながら、この後について考えていた。
この子はずっとパンツ一枚だけど寒くないのだろうか? いくら白の中月(五月)になったとはいえ、まだまだ夜は肌寒い。
後で、私の部屋の暖炉に久しぶりに火を入れて、この子を温めてあげよう。
火かき棒は……まぁ、無くてもどうとでもなるよね。
それにしても、裸だとこの子の肌の白さが際立つなぁ……透き通るように真っ白だ。それに、慎ましやかな二つの丘の上の小さなつぼみは、綺麗なピンク色をしている。
指輪をした女奴隷のくせに……ちょっと羨ましい。
で、でも私だって、最近は外での仕事を手伝っていたせいで、多少は陽に焼けてはいるけど……母さんは色白の美人だったのだから、肌に気を遣えばもっと綺麗になるはずなのだ!
そんな益体もないことを考えていると、彼女は考えがまとまったのか、意を決したようにこちらに向かって問いかけてきた。
「ほ、本当に、衛兵に突き出したりしないですか?」
「うん、あなたたちが犯罪者でもない限りは、衛兵に突き出したりしないよ」
「うっ!」
そう答えた私の顔を見て、女の子は、想定外と言った顔でこちらを見ている。
「え? なにしたの?」
「……」
黙り込んでしまった。
どうしよう……
これでちょっとは警戒心を解いてくれたかな? 私は離れた距離のままじっと様子を見守る。
あのバッグには何が入っているのだろう? ハンカチか何かを取り出して、濡らして頭を冷やしてあげるのだろうか?
いろいろと怪我の対処法について考えを巡らせていた私の予想に反して、バッグの中から取り出されたのは、何かの液体が入った小瓶だった。
女の子はバッグから取り出したそれを、地面に何本も並べ始めた。そして、そのうちの一本の小瓶の栓を抜いて、男の頭に振りかける。
小瓶の中身をかけられた男の頭が、フワリと淡い光に覆われる。
「これで怪我は治るはず……」
ま、まさかアレは、治癒のポーション!?
そんな高級品をあんなに何本も持っているなんて!
「せんぱい? 起きてください! 怪我は治りましたよ?」
ペチペチと男の顔を叩く女の子。
だが、一向に男が目を覚ます様子はない。
「まだ治ってないのかな? もう一本使ってみよう」
そう言って女の子は、無造作にもう一本の治癒のポーションの栓を抜いた。
「ちょっ、ちょっと! なにしてるの、もったいない!」
女の子の蛮行を阻止するため、私は素早く彼女の後ろに回り込んで、羽交い絞めにするが、女の子は短い手足をバタバタと振り回して、私の拘束から逃れようと暴れ始めた。
「は、放してください! 先輩の怪我を早く治してあげないと、死んじゃったらどうするんですか!?」
「まって、落ち着いて! 治癒のポーションを連続で何本も使ったって、勿体ないだけだよ! 手を振り回さないで、零れる、ポーションが零れちゃう!!」
なんとか、振り回していた手からポーションを確保して、栓を閉め直す。
「落ち着いて、ね? 治癒のポーションを使って起きないのなら、怪我以外の理由があるはずだから」
残りのポーションも取り上げてから、取り乱している女の子に言い聞かせるのだが、恨めしそうにこちらを見上げている。
「ううう……盗られた……」
「盗ってないからね! すぐに返してあげるから、ちょっとだけまってて……私が診てみるから」
そう言って、いまだに倒れたままの男の顔をのぞきこむ。
改めて見てみると、この男まだ全然若い。17~8といったところか?
こんな若さで奴隷を侍らせているなんて、どこぞのの富豪の息子なのかな? ホントにろくでもないな。
おっと、今はそんなことを考えている場合じゃない、ちゃんと診てあげないと。
男の顔は青白く血色が悪いのだが、その息づかいは早く荒い……とても苦しそうにしている。
首筋を触って脈をはかると、荒い息づかいとは反して、ゆっくりで弱々しく脈打っている。
両手で頬を挟み込むように持って、親指で瞼の下を引っ張ると、下瞼の裏側は真っ白になっていた。
ふむ、なるほどなるほど。
私は女の子の方を振り向いて質問した。
「この人、もしかして新米の魔術師かなにか?」
「~~っ! ち、ちがいますけど!?」
心配そうな顔でこちらを窺っていた女の子は、何故か明らかに挙動不審になり否定してきた。
「ホント?」
「ほ、ほんとうです! ウソじゃないですからね!」
「あっそう……」
この反応、どうやら私の見立ては間違っていなかったらしい。
こいつは"魔力欠乏症"で倒れたのだろう……貧血によく似た症状だけど、脈拍数が極端に少なくなるのが、この症状と貧血の違うところだ。
新米の魔術師が自分の持つ魔力量を把握できていなかったり、魔術に使用する魔力量を加減できなかったりした場合に、体内魔力が枯渇して発症する。
寒気、眩暈、意識の混濁、体温の低下を起こし、酷い場合は死んでしまうこともあるらしい。
だけど……そんなに極限まで魔力を消費する前の段階で、大抵の人間は気を失ってしまうので、実際に魔力欠乏症がもとで死んだという人間の話を、私は聞いたことが無い。
ほっとけば魔力が回復して治るし、寝ていればもっと早く治る。そんな程度のどうってことないものなのだ。
「こいつの症状は、私が知っているものと同じだと思う、対処法も知ってる」
「ほ、ほんとうですか? 教えてください!」
必死な顔で縋りついてくる女の子。
乱れたライトブルーの髪の毛がその肌に濡れて張り付いていて、なんだか歳と不相応に色気を感じさせられる。
それに、わずかに紅潮したほっぺと、泣きはらした赤い瞳は、女の私から見ても保護欲を強く刺激された。
歳の割に肉付きの良い太ももと、異常なほどに整った顔は、幼いながらにもきっと将来は、沢山の男の人生を狂わせるような、そんな女性になるであろうことが予感させられる。
それでいて、ここまで必死に主の心配をしてくれるのだ……不覚にもこの子を着飾り、指輪を付けさせてまで独占したがった、この男の気持ちが少しわかってしまった。
だけど、ボンボンの魔術師と獣人の女の子か……どうしたものだろう。
嵐の夜に外をフラフラするには、少しばかりおかしな組み合わせだ。
まず間違いなく問題ごとを抱え込んでいるだろうな……ここは心を鬼にして、しっかりと尋問をするべきだろう。
「この症状の治し方を教えてあげる前に答えて欲しいの、どうして馬小屋に忍び込んだりしたのかな?」
「……」
女の子は質問に答えない、きっと男に口止めされているのだろう。
「話してくれたら、衛兵に突き出さないし、こいつの治療方法も教えてあげる」
「えっ? えっ?」
女の子は、苦しそうな男と私の顔を交互に見て、狼狽えている。
すこし意地悪な言い方だったかもしれない。この言い方だと、話さなかったら衛兵に突き出すと言っているようなものだ。
「ど、どうしよう……」
女の子はオドオドとした様子で、私の顔や倒れたままの男の顔を見ながら、どうするべきか考えている様子だ。
そんな様子を見ながら、私はじっとこの子を見つめながら、この後について考えていた。
この子はずっとパンツ一枚だけど寒くないのだろうか? いくら白の中月(五月)になったとはいえ、まだまだ夜は肌寒い。
後で、私の部屋の暖炉に久しぶりに火を入れて、この子を温めてあげよう。
火かき棒は……まぁ、無くてもどうとでもなるよね。
それにしても、裸だとこの子の肌の白さが際立つなぁ……透き通るように真っ白だ。それに、慎ましやかな二つの丘の上の小さなつぼみは、綺麗なピンク色をしている。
指輪をした女奴隷のくせに……ちょっと羨ましい。
で、でも私だって、最近は外での仕事を手伝っていたせいで、多少は陽に焼けてはいるけど……母さんは色白の美人だったのだから、肌に気を遣えばもっと綺麗になるはずなのだ!
そんな益体もないことを考えていると、彼女は考えがまとまったのか、意を決したようにこちらに向かって問いかけてきた。
「ほ、本当に、衛兵に突き出したりしないですか?」
「うん、あなたたちが犯罪者でもない限りは、衛兵に突き出したりしないよ」
「うっ!」
そう答えた私の顔を見て、女の子は、想定外と言った顔でこちらを見ている。
「え? なにしたの?」
「……」
黙り込んでしまった。
どうしよう……
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