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第一章 異世界召喚と旅立ち
006 現状確認と作戦会議
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アルストリア王国の王宮に召喚された日本人4人は、それぞれに部屋を用意されて、メイドも一人ずつ付けてもらい、まさに至れり尽くせりの状態だった。
しかし、高町仁の号令により部屋に案内された後、4人はすぐに高町の部屋に全員集合していた。
「ねぇ、何かするんならさっさとやってくんない? あんな綺麗な部屋泊ったことないし! 楽しみなんだけど!」
メイドさんもついてるし! そう言ってソワソワしている相川大愛。
「現状の確認と俺たちの今後の方針を決めといたほうがいいんじゃないか? 城のやつらも不測の事態だと言っていたしな」
そう言って全体の指揮をとろうとする高町。
「そうですね、とりあえずは日本に帰ることを最優先にしていけばいいんじゃないかしら」
「うん、僕もそう思う」
おばあさんの山下絹江と小学生の峰岸隆太は、そういって自分の意見を述べる。
「そだね~っていうか、このカップと皿、スゲー高そうじゃね?」
そういって大愛はメイドに出してもらった紅茶とお菓子の写メを撮っている。
「もう今からじゃ合コンにも間に合わないだろうし、泊めてくれるっていうんなら、しばらくここでのんびりさせてもらえばいいんじゃん?」
そう言ってまた携帯をイジリ出す相川、異世界召喚とかここが日本じゃないとか、そういうことにはあまり興味がないようだ。
「まあ、今の俺たちはそうするしか選択肢はないんだがな。おい、相川」
「ん、なーに?」
携帯から視線を上げずに返事をする相川。
「インスタやってるんだよな? いまからお前の携帯でインスタに画像をアップしてみろ」
「えー、いま沢山撮った写メ整理してるんですけどー、ちょっと今出来ないしー」
「たぶんここからはどこにも電波が繋がらないはずだ、携帯を使いたいなら確認しておいたほうが良いだろ」
むっとして携帯から顔を上げて、視線で抗議する相川だったが、じっとこちらを睨みつける高町に気圧されて、渋々といった感じで言われたとおりにやりはじめる。
「ったく、何言ってるかわかんないんだけど、どこにも繋がらないとか今の時代ありえねーし」
ぶつぶつ言いながらしばらく携帯を操作していた相川だったが、そのうち手を止めて部屋の中をウロウロと歩き回り始めた。
「あれー、この部屋電波弱いのかなー? 全然アンテナ立ってないじゃん」
すげー田舎なのかなー? と首をかしげて部屋の中をぐるぐる歩き回る相川を無視して話を続ける高町
「今の状態は、おそらく漫画やネット小説で最近流行っている"異世界召喚された"ってやつだとおもう」
この発言に首をかしげる山下おばあさんと隆太。相川は話を聞いていない。
「さっき宰相や姫が話していたから分かっているかもしれないが…ここは日本じゃない」
「はあ、じゃあイセカイっていうのはどのあたりの国なんですか? 先程の方々を見た感じだと白人の方が住んでる国なのでしょうけど、ヨーロッパかしら?」
やはりおばあさんには判りづらい話だったのだろう。大阪の新世界の親戚程度に思っているみたいで、あまり理解していないようだ。
「異世界ってのは日本やアメリカ、中国、そういった国がない全く別の場所だ。たぶん地球ですらないはずだ。」
「そうなんですか、日本やアメリカがない、地球でもない……」
いまいち理解していない様子の山下さんに、高町は自分が知っている異世界小説の説明してみる。
「おとぎ話とかであるだろう? 伝説の剣をもった勇者が、魔法使いに知恵を借りて、ドラゴンに攫われたお姫様を助け出す物語。だいたいそういうのが定番だな、そういった世界に連れてこられたってことだ。まあ、実際のところは確認してみないことにはわからないが……剣と魔法のファンタジー世界ってやつだ」
「剣と魔法! すげーー! ドラゴンもいるの?」
一気にテンションが上がる隆太
「たとえばの話だ、たとえば。でも、召喚の儀式がどうのこうの言っていたからな、少なくとも魔法はありそうだ」
「そっかー、魔法はあるのかーすげー!」
元気になった隆太を微笑ましそうに山下さんが眺めている。
「なるほどね、おとぎ話の中に迷い込んだみたいなことなのかしら?」
「そういう認識で間違ってはいないだろう。だから、日本に帰るっていうのがとても困難なことになるとおもう。あいつらも不測の事態だとか言っていたからな」
「でも、魔法があるっていうなら、パパーっと魔法をかけてくれて、元いた場所に返してくれるかもしれないよ?」
帰るのが難しいという意見に隆太は楽観的だ。魔法があると聞いてどうにかなりそうだと思い始めたようだ。
「まぁ、何にせよこちらは多少警戒しておく、くらいしかできることはないな」
高町はそういって話し合いを締めくくった。
うんわかったーと言いながら隆太は出されたお菓子を頬張り、その横で山下さんは紅茶を飲んでいる。
食事に何かを入れられている可能性を考えて止めようとしたが、いつまでも何も食べないわけにもいかないだろうと考え直し、放置することにする。
そこに扉をバンと開いて、いつの間にか外に出ていた相川が入ってくる。
「ねえねえ! みてみて! すっごいから!」
そう鼻息荒く捲し立てる相川の後ろで、メイドの女性が笑顔をピクピクと引きつらせている。
「お待ちください相川様、その者は不法侵入者です。危険ですから離れてください!」
「えー、ダイジョーブじゃん? こんなに可愛いんだからさー、それにほっとくなんてかわいそうだし!」
どうやら携帯の電波が届くところを探して城の中を徘徊していて、その先で何かを見つけてきたらしい。
「私たちが飛ばされてきたあの場所にいったら、この娘がひとりで泣いてたんだよね。ほら、見てみて超可愛いっしょ!」
そう言って抱きかかえていたモノ(ヒト?)を前に突き出してくる。
「ほらほら~、この子頭をなでるとセンパ~イって鳴くんだよ」
相川は抱きかかえて、頭をなでる。
「せんぱ~い…」
その子は相川の胸元に抱かれて、真っ赤に泣きはらした目をしていた。
薄水色の髪の毛を長く伸ばした頭に、ウサギの様な耳を生やした小さな女の子だった。
しかし、高町仁の号令により部屋に案内された後、4人はすぐに高町の部屋に全員集合していた。
「ねぇ、何かするんならさっさとやってくんない? あんな綺麗な部屋泊ったことないし! 楽しみなんだけど!」
メイドさんもついてるし! そう言ってソワソワしている相川大愛。
「現状の確認と俺たちの今後の方針を決めといたほうがいいんじゃないか? 城のやつらも不測の事態だと言っていたしな」
そう言って全体の指揮をとろうとする高町。
「そうですね、とりあえずは日本に帰ることを最優先にしていけばいいんじゃないかしら」
「うん、僕もそう思う」
おばあさんの山下絹江と小学生の峰岸隆太は、そういって自分の意見を述べる。
「そだね~っていうか、このカップと皿、スゲー高そうじゃね?」
そういって大愛はメイドに出してもらった紅茶とお菓子の写メを撮っている。
「もう今からじゃ合コンにも間に合わないだろうし、泊めてくれるっていうんなら、しばらくここでのんびりさせてもらえばいいんじゃん?」
そう言ってまた携帯をイジリ出す相川、異世界召喚とかここが日本じゃないとか、そういうことにはあまり興味がないようだ。
「まあ、今の俺たちはそうするしか選択肢はないんだがな。おい、相川」
「ん、なーに?」
携帯から視線を上げずに返事をする相川。
「インスタやってるんだよな? いまからお前の携帯でインスタに画像をアップしてみろ」
「えー、いま沢山撮った写メ整理してるんですけどー、ちょっと今出来ないしー」
「たぶんここからはどこにも電波が繋がらないはずだ、携帯を使いたいなら確認しておいたほうが良いだろ」
むっとして携帯から顔を上げて、視線で抗議する相川だったが、じっとこちらを睨みつける高町に気圧されて、渋々といった感じで言われたとおりにやりはじめる。
「ったく、何言ってるかわかんないんだけど、どこにも繋がらないとか今の時代ありえねーし」
ぶつぶつ言いながらしばらく携帯を操作していた相川だったが、そのうち手を止めて部屋の中をウロウロと歩き回り始めた。
「あれー、この部屋電波弱いのかなー? 全然アンテナ立ってないじゃん」
すげー田舎なのかなー? と首をかしげて部屋の中をぐるぐる歩き回る相川を無視して話を続ける高町
「今の状態は、おそらく漫画やネット小説で最近流行っている"異世界召喚された"ってやつだとおもう」
この発言に首をかしげる山下おばあさんと隆太。相川は話を聞いていない。
「さっき宰相や姫が話していたから分かっているかもしれないが…ここは日本じゃない」
「はあ、じゃあイセカイっていうのはどのあたりの国なんですか? 先程の方々を見た感じだと白人の方が住んでる国なのでしょうけど、ヨーロッパかしら?」
やはりおばあさんには判りづらい話だったのだろう。大阪の新世界の親戚程度に思っているみたいで、あまり理解していないようだ。
「異世界ってのは日本やアメリカ、中国、そういった国がない全く別の場所だ。たぶん地球ですらないはずだ。」
「そうなんですか、日本やアメリカがない、地球でもない……」
いまいち理解していない様子の山下さんに、高町は自分が知っている異世界小説の説明してみる。
「おとぎ話とかであるだろう? 伝説の剣をもった勇者が、魔法使いに知恵を借りて、ドラゴンに攫われたお姫様を助け出す物語。だいたいそういうのが定番だな、そういった世界に連れてこられたってことだ。まあ、実際のところは確認してみないことにはわからないが……剣と魔法のファンタジー世界ってやつだ」
「剣と魔法! すげーー! ドラゴンもいるの?」
一気にテンションが上がる隆太
「たとえばの話だ、たとえば。でも、召喚の儀式がどうのこうの言っていたからな、少なくとも魔法はありそうだ」
「そっかー、魔法はあるのかーすげー!」
元気になった隆太を微笑ましそうに山下さんが眺めている。
「なるほどね、おとぎ話の中に迷い込んだみたいなことなのかしら?」
「そういう認識で間違ってはいないだろう。だから、日本に帰るっていうのがとても困難なことになるとおもう。あいつらも不測の事態だとか言っていたからな」
「でも、魔法があるっていうなら、パパーっと魔法をかけてくれて、元いた場所に返してくれるかもしれないよ?」
帰るのが難しいという意見に隆太は楽観的だ。魔法があると聞いてどうにかなりそうだと思い始めたようだ。
「まぁ、何にせよこちらは多少警戒しておく、くらいしかできることはないな」
高町はそういって話し合いを締めくくった。
うんわかったーと言いながら隆太は出されたお菓子を頬張り、その横で山下さんは紅茶を飲んでいる。
食事に何かを入れられている可能性を考えて止めようとしたが、いつまでも何も食べないわけにもいかないだろうと考え直し、放置することにする。
そこに扉をバンと開いて、いつの間にか外に出ていた相川が入ってくる。
「ねえねえ! みてみて! すっごいから!」
そう鼻息荒く捲し立てる相川の後ろで、メイドの女性が笑顔をピクピクと引きつらせている。
「お待ちください相川様、その者は不法侵入者です。危険ですから離れてください!」
「えー、ダイジョーブじゃん? こんなに可愛いんだからさー、それにほっとくなんてかわいそうだし!」
どうやら携帯の電波が届くところを探して城の中を徘徊していて、その先で何かを見つけてきたらしい。
「私たちが飛ばされてきたあの場所にいったら、この娘がひとりで泣いてたんだよね。ほら、見てみて超可愛いっしょ!」
そう言って抱きかかえていたモノ(ヒト?)を前に突き出してくる。
「ほらほら~、この子頭をなでるとセンパ~イって鳴くんだよ」
相川は抱きかかえて、頭をなでる。
「せんぱ~い…」
その子は相川の胸元に抱かれて、真っ赤に泣きはらした目をしていた。
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