無双したけりゃ他所でやれ～最強戦姫とモブ系兵士～

1章 出会い

4話

｢ごめん……なさい。｣

 少女が1人、座り込んで泣いていた。
その傍らには、倒れ伏した男の姿が。
どれほどの衝撃を食らったのだろう。男の体はズタボロになっていた。

 だが次の瞬間、少女が男の体に手を触れると、男の傷は綺麗に消え去り、死人同然だった顔色も、生気を取り戻していた。

(……あれ？あの男の顔、見覚えがあるような。)

 どうやら俺の姿は少女には気づかれていないらしい。 
 ならばと、男の顔を確かめようと、その場所へと近づいた。そっと少女の後ろからのぞき込み、男の顔を見る。

 泣きはらす少女に抱えられてた男の顔は、
ーー俺、そのものだった。




｢ーー、ハッ！｣

 目を覚ました俺がまず目にしたのは、見覚えのない天井だった。どうやら俺が寝ている間に誰かがこの部屋まで運んでくれたようだ。

 ｢はぁ、はぁ。……、なんだ、夢か。｣

 寝覚めが悪い夢だ。まるで俺が一度死んだみたい……。
 っ！そうだ、あの女の子の声が聞こえた後、凄い衝撃を食らって……。
 でも、それにしては傷が少ないし……。
 くそっ、何も思い出せねぇ。あの後、一体俺に何があったんだ。

｢おや、もう起きてましたか。｣

 突如部屋の入口から声が聞こえた。
声の主は見たことのない女性だった。
彼女はチガヤ・サカザキと名乗ると、こう言い放った。

｢寝起きのとこ悪いけど、貴方には今から英雄になってもらいます。拒否権はありません。｣

｢…………、は？｣