2 / 4
違和感
しおりを挟む
「そう、あれは絶え間なく雨音が聞こえる豪雨の日でした。
小学三年生の私は話し声が響く、小学校の玄関前で青空を一つも思わせない灰色の空を見上げてました。
普段、テレビを見るより本を読む方が断然楽しいと思えるとてつもなく大人しい子でした。とてつもなく。
なので、天気予報も当然見ません。教えてくれそうな親も先に仕事に出ていました。
傘を忘れました。
傘を貸してもらおうと思いましたが、内気な私は先生に話しかけられなかったんです。というか、とても怖い先生でした。
そんな事を後悔していた時でしたかね。
これ使う?、といつの間にか後ろに立っていた男の子が私に傘を差し出してきました。僕は折りたたみ傘があるから、と去っていきました。それでは申し訳ないと思い、その子を追いかけてお礼を言いました。
偶然だったのでしょう。私はその子と同じ帰り道だったんです。
その時が初めてだったんですよ。
話したい、という気持ちが浮かんだのは。」
「おー。」パチパチ
何に対しての拍手なんだよ...
「これで良いですか?」
「一緒に傘に入ろうよ、という甘々なシチュエーションでは無かったのかー。残念」
「なんで先輩がガッカリするんですか...」
「ていうか、傘貸してくれる友達とか居なかったの?」
確かに。
今思えばそうだ。
「友達は...確か、ナーちゃんが友達だった...と思います。」
秋月 菜々葉。ナーチャンは私の親友と言ってもいいだろう。しっかりしてて、女子バスケ部の次期キャプテンと呼ばれている。私に高校に行こうと誘ってくれた張本人。生きる希望を与えてくれた人。
「フーン。ナーちゃんなら、しっかりしてるし貸してくれるだろうにね。」
「そう...ですよね。」
おかしい。何かがすっぽりと抜けてしまっている様。
空を見上げている時、もう1人確か誰か居た...。思い出せない...。もう6年くらい前だ。分かんなくて当然だろう。
「てか、先輩。一つ良いですか。」
「んー?なにー?」
箸を咥えたまま言う。
食べるか、喋るかどっちかにしなさい。
「さっきから視線が痛いんです。」
「私の?」
「周囲の!!」
「しょうがない、私美しいから。」
何だこのナルシスト。てかサラッと言ってますが、多分それ正解です。視線が痛いのは大体男子ですから。先輩、美人なんです。もう美人かナルシストなのかどっちかにしてください。正直ムカついてる自分がいます。
「そーいや、最近葵ちゃんどうなの?」
「この間、また大会に優勝したらしいですよ。」
「えぇ!?すごいなー。これは二年生抜かれるなぁ。」
「しょうがないですよ。5歳からつよいクラブに入っているそうですから。」
武下 葵ちゃん。ガチ系のバスケットボールプレイヤー。もう大学からは推薦が来てるとか。ポニーテールがよく似合うとてつもない美人さんです。あっちは思っているか分からないけど、友達です。
「私達も頑張らないとね!」
「巻き込まないで下さい...。あの子とは月とスッポンくらいの差があります。」
「ツッキーこの前ランニング最後だったもんねー。」
結構刺さる事をそんな笑顔で言わないで下さい。憎らしいけど、可愛いな。
「おっと。そろそろ昼休み終わりだー。片付けて帰ろうか。」
「もうそんな時間でしたか。はやいですねー。教室に戻りたくないです...」
「まぁまぁ、明日暇だったらまた昼休み来るからさ?元気出そうぜ?じゃあまた、部活でねー!」
クソゥ。散々色々言われたのに憎めない...。
まぁいい。教室に戻ろう。それにしても、何だったのだろう。あの昔話は。何かが抜けている。絵本のページが一ページ無いように。よりにもよって、多分それは大事なページ。
ずっと悩んでいると、誰かにぶつかった。
「わ、すみません!」
「いや、こっちもスイマセン。」
「...!?」
「...マキ君?」
小学三年生の私は話し声が響く、小学校の玄関前で青空を一つも思わせない灰色の空を見上げてました。
普段、テレビを見るより本を読む方が断然楽しいと思えるとてつもなく大人しい子でした。とてつもなく。
なので、天気予報も当然見ません。教えてくれそうな親も先に仕事に出ていました。
傘を忘れました。
傘を貸してもらおうと思いましたが、内気な私は先生に話しかけられなかったんです。というか、とても怖い先生でした。
そんな事を後悔していた時でしたかね。
これ使う?、といつの間にか後ろに立っていた男の子が私に傘を差し出してきました。僕は折りたたみ傘があるから、と去っていきました。それでは申し訳ないと思い、その子を追いかけてお礼を言いました。
偶然だったのでしょう。私はその子と同じ帰り道だったんです。
その時が初めてだったんですよ。
話したい、という気持ちが浮かんだのは。」
「おー。」パチパチ
何に対しての拍手なんだよ...
「これで良いですか?」
「一緒に傘に入ろうよ、という甘々なシチュエーションでは無かったのかー。残念」
「なんで先輩がガッカリするんですか...」
「ていうか、傘貸してくれる友達とか居なかったの?」
確かに。
今思えばそうだ。
「友達は...確か、ナーちゃんが友達だった...と思います。」
秋月 菜々葉。ナーチャンは私の親友と言ってもいいだろう。しっかりしてて、女子バスケ部の次期キャプテンと呼ばれている。私に高校に行こうと誘ってくれた張本人。生きる希望を与えてくれた人。
「フーン。ナーちゃんなら、しっかりしてるし貸してくれるだろうにね。」
「そう...ですよね。」
おかしい。何かがすっぽりと抜けてしまっている様。
空を見上げている時、もう1人確か誰か居た...。思い出せない...。もう6年くらい前だ。分かんなくて当然だろう。
「てか、先輩。一つ良いですか。」
「んー?なにー?」
箸を咥えたまま言う。
食べるか、喋るかどっちかにしなさい。
「さっきから視線が痛いんです。」
「私の?」
「周囲の!!」
「しょうがない、私美しいから。」
何だこのナルシスト。てかサラッと言ってますが、多分それ正解です。視線が痛いのは大体男子ですから。先輩、美人なんです。もう美人かナルシストなのかどっちかにしてください。正直ムカついてる自分がいます。
「そーいや、最近葵ちゃんどうなの?」
「この間、また大会に優勝したらしいですよ。」
「えぇ!?すごいなー。これは二年生抜かれるなぁ。」
「しょうがないですよ。5歳からつよいクラブに入っているそうですから。」
武下 葵ちゃん。ガチ系のバスケットボールプレイヤー。もう大学からは推薦が来てるとか。ポニーテールがよく似合うとてつもない美人さんです。あっちは思っているか分からないけど、友達です。
「私達も頑張らないとね!」
「巻き込まないで下さい...。あの子とは月とスッポンくらいの差があります。」
「ツッキーこの前ランニング最後だったもんねー。」
結構刺さる事をそんな笑顔で言わないで下さい。憎らしいけど、可愛いな。
「おっと。そろそろ昼休み終わりだー。片付けて帰ろうか。」
「もうそんな時間でしたか。はやいですねー。教室に戻りたくないです...」
「まぁまぁ、明日暇だったらまた昼休み来るからさ?元気出そうぜ?じゃあまた、部活でねー!」
クソゥ。散々色々言われたのに憎めない...。
まぁいい。教室に戻ろう。それにしても、何だったのだろう。あの昔話は。何かが抜けている。絵本のページが一ページ無いように。よりにもよって、多分それは大事なページ。
ずっと悩んでいると、誰かにぶつかった。
「わ、すみません!」
「いや、こっちもスイマセン。」
「...!?」
「...マキ君?」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
創作ピエロ
すのう
ホラー
主人公、愛菜(まな)はクラスの中で人気者だった。そのクラスの中で「匿名チャット」というのがあった。その中で愛菜と仲良かったある親友が愛菜に嫉妬心を持ち出した。そこから、愛菜に怖い思いをさせたいという思いから作り話で都市伝説を話し始めた。
だが、その都市伝説が本当であり愛菜は信じてしまった!親友の出来心からの恐怖の出来事が始まる…!?
5分後に絶望する幻想物語
ズマ@怪異語り
ホラー
幻想怪奇×絶望の短編集!
どの物語も異なるテイストで、圧倒的絶望へと導く!
ある日とつぜん自分の家と誰かの家が繋がってしまったり……
卒業旅行でおとずれた遊園地でデスゲームが開催されたり……
幽霊の少女に異世界へ誘われたり……
とんでもなく理不尽で、儚い幻想物語。
どの物語にも共通しているのは、「手軽に読める」こと、そして「絶望的なラストである」こと!
そのどんでん返しに驚愕し、恐怖し、戦慄し……思う存分楽しんでいただきたい。
〜不定期更新中〜
毎日投稿している短編集も別にあるのでよかったらどぞ。
復讐の花束を君に
紫苑
ホラー
とある女子校で殺人事件が起きた。被害者は高校1年生である31人の女子生徒。加害者は同じクラスの栗花落澪(つゆりみお)という生徒だった。澪はクラス内でいじめを受けていた。それは、中学生の時からずっと。いじめに耐え続け限界が近づいたある日、澪は海凪風優人(みなぎふゆと)という謎の男と出会う。彼は何かを企むような笑みを浮かべて澪に囁いた。
『復讐の舞台を用意してあげる』
その舞台が用意された時、地獄のようなデスゲームが開始される。
澪は小さく呟いた。
「皆とっとと死んじゃえ」
魂(たま)抜き地蔵
Hiroko
ホラー
遠い過去の記憶の中にある五体の地蔵。
暗く濡れた山の中、私はなぜ母親にそこに連れて行かれたのか。
このお話は私の考えたものですが、これは本当にある場所で、このお地蔵さまは実在します。写真はそのお地蔵さまです。あまりアップで見ない方がいいかもしれません。
短編ホラーです。
ああ、原稿用紙十枚くらいに収めるつもりだったのに……。
どんどん長くなってしまいました。
怪異相談所の店主は今日も語る
くろぬか
ホラー
怪異相談所 ”語り部 結”。
人に言えない“怪異”のお悩み解決します、まずはご相談を。相談コース3000円~。除霊、その他オプションは状況によりお値段が変動いたします。
なんて、やけにポップな看板を掲げたおかしなお店。
普通の人なら入らない、入らない筈なのだが。
何故か今日もお客様は訪れる。
まるで導かれるかの様にして。
※※※
この物語はフィクションです。
実際に語られている”怖い話”なども登場致します。
その中には所謂”聞いたら出る”系のお話もございますが、そういうお話はかなり省略し内容までは描かない様にしております。
とはいえさわり程度は書いてありますので、自己責任でお読みいただければと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる