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本編

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 祈り続けてどれ程の時間が経ったのだろう。

「妾を呼ぶのはそなたか? ミリアム」

「レイティア様……?」

「そうじゃ。そなたの強い呼び声に喚ばれた様じゃな」

「私の……大切な人を助けてください…。何でもします。私の命と引き換えでもいいです……」

「困ったのう。そなたは敬虔な信者だ。そなたを喪ってまでダークエルフを生き返らせて、妾になんの特があると言うのじゃ…?」

「ならば……、私が説得して必ずや彼を貴方の信者にしてみせます。どうか……、今回だけでも助けて頂けませんか?」

 しばらく考え込んだレイティア様だったけど「その約束違えるでないぞ……」そう言い残し姿を消した。

 ふと見て見るとヘルメスの傷はふさがり、呼吸の為か胸が上下に小さく動いていた。

 信じられなくて、胸に触れると、小さくも確かな心音が響いた。

「生き返って…」

 ヘルメスか小さく呻いたかと思うと、金色の瞳で私を射止めた。

「俺は……?」


 黒髪だったはずの髪は、切りそろえた短く綺麗な金色に変わっており、柔らかそう髪を揺らしながら起き上がる。

「…知られてしまったんだな」

 何をとは口にしないけれど、褐色の手を見つめながら彼が言う。

「ダークエルフだったのですね…」

「幻滅しただろう? 髪色を変え、肌の色を変え仲間を欺いていたのだから…」

「貴方は盗賊として生きて行くのを良しとしなかっただけでしょう…? ダークエルフを仲間にする人達は少ないし、当然の行動かと…」

「何故生きている……? 恐らく意識のない間に、君達を襲ったのだろう? マントはカースアイテムだった…? 違うのかな…」

「覚えているのですか?」

「途中からボンヤリとしているけどね…」

「そう…」

「ダークエルフとわかったんだ生き返らせるのは並大抵の事ではなかっただろう? どうやったんだい?」

「ふふっ、レイティア様に直談判かしら」

「エルフである君が…?」

「そう…、私が。だってダークエルフだからって見捨てられるのは違うと思うもの…」

「俺は君の奴隷にでもなればいいのかな…」

「生きててくれれば、それで良い…。長い時の中、私を見てくれなくても良い。ただ…、少しでもレイティア様を…、いつか信じてくれたら嬉しい…」

「君は……」

「まだ血は足りないと思うから、ゆっくり休んでいて」

 それだけ言うと、ヘルメスから離れた。好きだから生き返って嬉しいそんな本音は、なかった様に覆い隠して。

 マジェスティの元に行き、「ヘルメス、生き返ってくれた…」それだけ言うと、「良かったですわね」そういってマジェスティは長い髪をとくように、頭をなでてくれた。
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