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本編

36(アレク視点)

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「現にここにいる者は、信じているだろう? 不可能を可能にしたのだから…」

「そうですね。みんなで顔合わせできるように頑張りましょう」

 思わず微笑む俺の頬に、不意打ちを狙った様に、リルは唇を押しつけてきた。

「隙ありです…」

 そう言うと、リルは赤くなった顔を隠すようにして下を向いた。

「リルが可愛くてつらい…!」

 口を開いたまま、ぽかんと俺を見つめるリル。取り乱した姿も愛らしい。

「俺らもいるんスけど……」

 ところかまず俺らイチャイチャする姿に、呆れたセイルと、コクコクと同意するフィールにまた笑いが込み上げた。

「そんな事言うなら、外してもいいだろ。リルくらいなら俺だけで守れるし」

「まぁ、アレク様だけでも大丈夫でしょうけど、ロイパパさん怖いんスよ。娘に何かあったら、どうしてくれる!って。だからわかるっスよね……」

 2人がいたことを忘れていたらしいリルは、真っ赤になった頬を隠すように顔を覆った。

「そうそう。二人きりになりたいなら、籍を入れないと駄目だと思うよ…」

 呆れた体で、とんでもないことを言うフィール。リルは、更に赤くした顔を恥ずかしそうに隠した。

 俺は「可愛いなリルは」とか、「お前ら相手だから出来るに決まっているだろ」とかいっていたら、そういう問題じゃないと怒られた。



「そういえば、差し入れたフルーツは、食べられましたか? 体調が悪いのかと思って……」

 ふと思い出したのか、リルが言った。

「今ならそう見えた理由…。わかるだろ……?」

 熱くなる頬を押さえつつ、俺は言った

「もしかして照れて赤くなってただけ……、なの?」


「いいや……? 食べてないよ」

 無駄には出来ないので、時間制約のない、空間収納をしてそのままだった。

「せっかく冷やしたのに、残念です」

 食材をムダにしてしまったと、ションボリしているリルを宥めた。

「リルを泣かせたのは、勘違いさせた、俺の不手際だけど……、リルと思いあえて嬉しい……」

 そう言って、笑顔を見せると、リルも嬉しそうに笑った。

「リルが用意してくれたフルーツ。傷ませないように空間収納に入れていたんだ。みんなを読んでたべよう? 新しい果実なのだろう? 皆喜ぶよ、きっと…」

「はい! 食べないで探して、くれてたんですね……。それに、きちんと傷まないように、取っていてくれたなんて……。すごく嬉しいです!」

 そう言って笑うリルは可愛かった。

 スイカと言う緑の皮黒い縞の入ったいった赤い実の果物は甘く瑞々しい。パイナップルという黄色い実は、中央をくり抜いてあって、甘酸っぱく少し歯ごたえのある食感で、みんな喜んで完食した。叔母がシレッと当たり前の様に、いたのは謎だか。
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