33 / 44
本編
30
しおりを挟む
最近はアレク様に気がつくと抱きしめられたり、額にキスを落とされたり、「ずっと立ってるのは疲れるだろう?」とか言われ、膝に座らされたり、スキンシップが過剰な気がする。
なのに、恥ずかしいけど幸せで中で私も彼のそばから離れたくないと思っている。
精霊様…、どうすればいいの……。姿が見れるといいのに……。相談に乗って欲しいのに…。
「あれ? 以前精霊様の姿が見えてた……? 声も聞こえてた……? ならなんで今は見えなくなったのかしら……」
「親和性の問題じゃないかな……」
「親和性……?」
「なんていうのかな……。昔は、みんな精霊を信じて、感謝していたんだろう? 精霊の世界と、近かったというか…」
アレク様はうまく言えないみたいで、途中で言い淀む。
「だから、昔は声が聞こえたんじゃないかな…」
「皆が精霊様を信じて感謝をしていけば、再び会えるかもって事ですね……?」
「現にここにいる者は、信じているだろう? 不可能を可能にしたのだから…」
「そうですね。みんなで顔合わせできるように頑張りましょう」
にこやかに見つめるアレク様の頬に、唇で軽く触れた。
「隙ありです…」
…と、赤くなった顔を隠すように俯く。
「リルが可愛くてつらい…!」
普通ですよ! 何言っちゃってるんですか、もうっ! 予想外の言葉に私も取り乱した。
「俺らもいるんスけど……」
呆れた様にいうセイルと、ひたすらにコクコクと同意するフィールにいたたまれなくなる。
「そんな事言うなら、外してもいいだろ。リルくらいなら俺だけで守れるし」
まぁアレク様だけでも大丈夫でしょうけど、ロイパパさん怖いんスよ。娘に何かあったら、どうしてくれる!って。だからわかるっスよね……」
2人がいたことを忘れてた私は、思わず真っ赤になって顔を覆う。
「そうそう。二人きりになりたいなら、籍を入れないと駄目だと思うよ…」
呆れた様に、とんでもないことを言い放つフィールに更に恥ずかしくなった。
そんな私を他所に、彼らのじゃれあいに満ちたやり取りは続いた。
「そういえば、差し入れたフルーツは、食べられましたか? 体調が悪いのかと思って……」
「今ならそう見えた理由…。わかるだろ……?」
「もしかして照れて赤くなってただけ……、なの?」
「いいや……? 食べてないよ」
「せっかく冷やしたのに、残念です」
かなり時間が経っていると思うので、はちみつに浸けたレ以外は無駄にしてしまっただろうか…。
「リルを泣かせたのは、勘違いさせた、俺の不手際だけど……、リルと思いあえて嬉しい……」
そう言って心からの笑顔を見せてくれる、アレク様に私も嬉しくなった。
なのに、恥ずかしいけど幸せで中で私も彼のそばから離れたくないと思っている。
精霊様…、どうすればいいの……。姿が見れるといいのに……。相談に乗って欲しいのに…。
「あれ? 以前精霊様の姿が見えてた……? 声も聞こえてた……? ならなんで今は見えなくなったのかしら……」
「親和性の問題じゃないかな……」
「親和性……?」
「なんていうのかな……。昔は、みんな精霊を信じて、感謝していたんだろう? 精霊の世界と、近かったというか…」
アレク様はうまく言えないみたいで、途中で言い淀む。
「だから、昔は声が聞こえたんじゃないかな…」
「皆が精霊様を信じて感謝をしていけば、再び会えるかもって事ですね……?」
「現にここにいる者は、信じているだろう? 不可能を可能にしたのだから…」
「そうですね。みんなで顔合わせできるように頑張りましょう」
にこやかに見つめるアレク様の頬に、唇で軽く触れた。
「隙ありです…」
…と、赤くなった顔を隠すように俯く。
「リルが可愛くてつらい…!」
普通ですよ! 何言っちゃってるんですか、もうっ! 予想外の言葉に私も取り乱した。
「俺らもいるんスけど……」
呆れた様にいうセイルと、ひたすらにコクコクと同意するフィールにいたたまれなくなる。
「そんな事言うなら、外してもいいだろ。リルくらいなら俺だけで守れるし」
まぁアレク様だけでも大丈夫でしょうけど、ロイパパさん怖いんスよ。娘に何かあったら、どうしてくれる!って。だからわかるっスよね……」
2人がいたことを忘れてた私は、思わず真っ赤になって顔を覆う。
「そうそう。二人きりになりたいなら、籍を入れないと駄目だと思うよ…」
呆れた様に、とんでもないことを言い放つフィールに更に恥ずかしくなった。
そんな私を他所に、彼らのじゃれあいに満ちたやり取りは続いた。
「そういえば、差し入れたフルーツは、食べられましたか? 体調が悪いのかと思って……」
「今ならそう見えた理由…。わかるだろ……?」
「もしかして照れて赤くなってただけ……、なの?」
「いいや……? 食べてないよ」
「せっかく冷やしたのに、残念です」
かなり時間が経っていると思うので、はちみつに浸けたレ以外は無駄にしてしまっただろうか…。
「リルを泣かせたのは、勘違いさせた、俺の不手際だけど……、リルと思いあえて嬉しい……」
そう言って心からの笑顔を見せてくれる、アレク様に私も嬉しくなった。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。
ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。
なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。
妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。
しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。
この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。
*小説家になろう様からの転載です。
溺愛される妻が記憶喪失になるとこうなる
田尾風香
恋愛
***2022/6/21、書き換えました。
お茶会で紅茶を飲んだ途端に頭に痛みを感じて倒れて、次に目を覚ましたら、目の前にイケメンがいました。
「あの、どちら様でしょうか?」
「俺と君は小さい頃からずっと一緒で、幼い頃からの婚約者で、例え死んでも一緒にいようと誓い合って……!」
「旦那様、奥様に記憶がないのをいいことに、嘘を教えませんように」
溺愛される妻は、果たして記憶を取り戻すことができるのか。
ギャグを書いたことはありませんが、ギャグっぽいお話しです。会話が多め。R18ではありませんが、行為後の話がありますので、ご注意下さい。
結婚5年目の仮面夫婦ですが、そろそろ限界のようです!?
宮永レン
恋愛
没落したアルブレヒト伯爵家を援助すると声をかけてきたのは、成り上がり貴族と呼ばれるヴィルジール・シリングス子爵。援助の条件とは一人娘のミネットを妻にすること。
ミネットは形だけの結婚を申し出るが、ヴィルジールからは仕事に支障が出ると困るので外では仲の良い夫婦を演じてほしいと告げられる。
仮面夫婦としての生活を続けるうちに二人の心には変化が生まれるが……
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる