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第4章
溺れる者は藁をも摑む2※
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「そんなことしなくていいよ。今すぐ突っ込んで」
すると男が顔を上げ、クスリと唇に弧を描いた。
「やだよ」
「なんで?」
「だって俺、加虐趣味はないし。無理矢理突っ込んで、痛い思いはしたくないから」
「大丈夫だよ、お風呂で準備してきたから」とぼくが内心苛つきながら言っても男は首を振る。
「秋くん、Mでもないのに、そういうことを簡単に言わないほうがいいよ。もしも相手が鬼畜な男だったら気持ちよくなれるどころか、痛いプレイをされて散々な目に遭うだけだから」
まるで労るかのように左の乳首を吸われ、舌で舐められる。
それだけで、ぼくの身体は震える。
反対の右の乳首を男の指先で優しくつままれて甘いため息が口からこぼれる。
「相手の男なんて忘れるくらい気持ちよくしてあげる」
「あっ、んぅ……ほんと?」
「うん、本当」
そうして左右の乳首を手と唇で愛撫される。
セフレがいなくなった後は、人恋しくても航大を思いながら自身を慰めた。一度男の味を知った身体は何をすればいいのかを熟知し、目の前の男の愛撫に反応する。
左だけでなく右の乳首も吸われる。
壁の薄いアパートではなく久しぶりのラブホ。ぼくは周りを気にせず感じるままに喘いだ。
男の唾液でテラテラと濡れた乳首を、指の腹でそっと押しつぶされ、転がされるだけで下腹部に熱が溜まる。
「あ……あっ、や……あ……」
「かわいいよ、秋くん。もっと啼いて」
そうして男の唇がぼくの首筋をなぞる。ついで耳朶を甘嚙みされた。
ゆっくり時間を掛けた男の愛撫に翻弄されていく。
「やだ。も、触って……」
「ん? 触っているよ」と男に、はぐらかされてしまう。
「ちが……お願い……下も触って」
ぼくが懇願すれば、男の唇が頬に落ちる。
そのまま右手が胸から腹へ下りてきて、ぼくの兆し始めている性器に触れた。
先走り液をダラダラ垂らしている先端を撫でられ、力加減をした手でゆるく上下に擦られる。
「あっ、あぁ……あ……」
「大丈夫、痛くない?」
「へいき……きもちぃ……」
そうして、ぼくも男の勃起し始めている男根へ手を伸ばす。
ふたりで互いの性器を擦り合う。
男の顔が近づき、唇に触れる。唇を食み合い、舌と舌を絡ませる。口内に溜まる男の無味無臭な唾液を飲み込んだ。
そうして、ほぼ同時にふたりで果てた。白濁液が腹部へ飛び散った。
だけど、ぼくの身体は満足するわけもなく、奥の窄まりを引くつかせた。
荒い呼吸を整えていると精液のついた男の骨ばった指が、収縮する後孔にピトリと触れる。でも男はすぐに指を入れてはくれない。焦らすように周りを撫でられる。男の意地悪な指の動きにぼくは泣きついた。
「すごいね、こんなに口をパクパクさせて」
「やだ……やめて……はずかし、から……」
「入れてほしい?」
微笑みかけられてぼくは、馬鹿みたいに首を何度も振った。
自らの膝の裏を手で押さえて、男の前で足をこれでもかと広げる。
「うん……入れて」
甘ったるい声で強請る。
そうすれば、男がパックのローションの封を切る。すでに風呂で解してきたと伝えたのに、手の平で透明な液体を温める。そうして触れられることを期待している後孔に、ツプリと人差し指の第一間接が入ってくる。じれったいほどに、ゆっくりと指が体内に沈んでいく。
「あ、んっ……おねが……もっと奥に来てぇ……!」
頬にキスをされ、宥められる。
「そんなに急かさないで。大丈夫、ちゃんと秋くんの気持ちいいところを、触ってあげるから」
そうして、じっくり奥へ奥へと侵入してきた男の指が前立腺に触れる。ビリリとそこを指の腹でトントンと押され、円を描くように撫でられる。
「やっ……そこ、そこぉ……!」
「いい?」
「うん! ……いいから……シテ、もっと……! そこを触って……あ、やあっ、……あっ……!」
生理的な涙が目からこぼれる。唇の端から唾液を垂らして男の指をしゃぶる
指が一本から二本、二本から三本と増える。前立腺を弄くり回されながら、中を広げられていく。
一度射精をしてから、ぼくの自身は男にいっさい触れられていないというのにガチガチに勃起して、先走り液をパタパタと散らした。
次第に身体がガクガクと痙攣し始めて目の前に星が飛ぶ。ぞくぞくとした快感が背筋を駆け抜ける。
「だめ……やあ! イッちゃ……イッちゃうから! ああ……や……」
「いいよ、いっぱいイッて」
「あ、来る……来ちゃう……あ、あっ……ああっ!」
そうして身体をのけ反らせて派手にイク。男の指をギュッと締めつける。
断続的に精液を出していると全身を多幸感に包まれる。航大のことも、芝谷さんのことも全部忘れて頭の中が真っ白になった。
すべてを出し終えて胸を上下させる。ひどく疲労感を感じて足を持ち上げていた手が、ベッドの白いシーツの上に落ちる。足を開きっぱなしのまま息を整えていると男の指が出ていってしまう。
男がコンドームを手に取り、完全に勃起しているものにスルスルとつけていく。小さくパチンと音がした。
男に両腿を持ち上げられる。物欲しそうにローションを垂らしている後孔に、男の熱いペニスの先が触れる。
すると男が顔を上げ、クスリと唇に弧を描いた。
「やだよ」
「なんで?」
「だって俺、加虐趣味はないし。無理矢理突っ込んで、痛い思いはしたくないから」
「大丈夫だよ、お風呂で準備してきたから」とぼくが内心苛つきながら言っても男は首を振る。
「秋くん、Mでもないのに、そういうことを簡単に言わないほうがいいよ。もしも相手が鬼畜な男だったら気持ちよくなれるどころか、痛いプレイをされて散々な目に遭うだけだから」
まるで労るかのように左の乳首を吸われ、舌で舐められる。
それだけで、ぼくの身体は震える。
反対の右の乳首を男の指先で優しくつままれて甘いため息が口からこぼれる。
「相手の男なんて忘れるくらい気持ちよくしてあげる」
「あっ、んぅ……ほんと?」
「うん、本当」
そうして左右の乳首を手と唇で愛撫される。
セフレがいなくなった後は、人恋しくても航大を思いながら自身を慰めた。一度男の味を知った身体は何をすればいいのかを熟知し、目の前の男の愛撫に反応する。
左だけでなく右の乳首も吸われる。
壁の薄いアパートではなく久しぶりのラブホ。ぼくは周りを気にせず感じるままに喘いだ。
男の唾液でテラテラと濡れた乳首を、指の腹でそっと押しつぶされ、転がされるだけで下腹部に熱が溜まる。
「あ……あっ、や……あ……」
「かわいいよ、秋くん。もっと啼いて」
そうして男の唇がぼくの首筋をなぞる。ついで耳朶を甘嚙みされた。
ゆっくり時間を掛けた男の愛撫に翻弄されていく。
「やだ。も、触って……」
「ん? 触っているよ」と男に、はぐらかされてしまう。
「ちが……お願い……下も触って」
ぼくが懇願すれば、男の唇が頬に落ちる。
そのまま右手が胸から腹へ下りてきて、ぼくの兆し始めている性器に触れた。
先走り液をダラダラ垂らしている先端を撫でられ、力加減をした手でゆるく上下に擦られる。
「あっ、あぁ……あ……」
「大丈夫、痛くない?」
「へいき……きもちぃ……」
そうして、ぼくも男の勃起し始めている男根へ手を伸ばす。
ふたりで互いの性器を擦り合う。
男の顔が近づき、唇に触れる。唇を食み合い、舌と舌を絡ませる。口内に溜まる男の無味無臭な唾液を飲み込んだ。
そうして、ほぼ同時にふたりで果てた。白濁液が腹部へ飛び散った。
だけど、ぼくの身体は満足するわけもなく、奥の窄まりを引くつかせた。
荒い呼吸を整えていると精液のついた男の骨ばった指が、収縮する後孔にピトリと触れる。でも男はすぐに指を入れてはくれない。焦らすように周りを撫でられる。男の意地悪な指の動きにぼくは泣きついた。
「すごいね、こんなに口をパクパクさせて」
「やだ……やめて……はずかし、から……」
「入れてほしい?」
微笑みかけられてぼくは、馬鹿みたいに首を何度も振った。
自らの膝の裏を手で押さえて、男の前で足をこれでもかと広げる。
「うん……入れて」
甘ったるい声で強請る。
そうすれば、男がパックのローションの封を切る。すでに風呂で解してきたと伝えたのに、手の平で透明な液体を温める。そうして触れられることを期待している後孔に、ツプリと人差し指の第一間接が入ってくる。じれったいほどに、ゆっくりと指が体内に沈んでいく。
「あ、んっ……おねが……もっと奥に来てぇ……!」
頬にキスをされ、宥められる。
「そんなに急かさないで。大丈夫、ちゃんと秋くんの気持ちいいところを、触ってあげるから」
そうして、じっくり奥へ奥へと侵入してきた男の指が前立腺に触れる。ビリリとそこを指の腹でトントンと押され、円を描くように撫でられる。
「やっ……そこ、そこぉ……!」
「いい?」
「うん! ……いいから……シテ、もっと……! そこを触って……あ、やあっ、……あっ……!」
生理的な涙が目からこぼれる。唇の端から唾液を垂らして男の指をしゃぶる
指が一本から二本、二本から三本と増える。前立腺を弄くり回されながら、中を広げられていく。
一度射精をしてから、ぼくの自身は男にいっさい触れられていないというのにガチガチに勃起して、先走り液をパタパタと散らした。
次第に身体がガクガクと痙攣し始めて目の前に星が飛ぶ。ぞくぞくとした快感が背筋を駆け抜ける。
「だめ……やあ! イッちゃ……イッちゃうから! ああ……や……」
「いいよ、いっぱいイッて」
「あ、来る……来ちゃう……あ、あっ……ああっ!」
そうして身体をのけ反らせて派手にイク。男の指をギュッと締めつける。
断続的に精液を出していると全身を多幸感に包まれる。航大のことも、芝谷さんのことも全部忘れて頭の中が真っ白になった。
すべてを出し終えて胸を上下させる。ひどく疲労感を感じて足を持ち上げていた手が、ベッドの白いシーツの上に落ちる。足を開きっぱなしのまま息を整えていると男の指が出ていってしまう。
男がコンドームを手に取り、完全に勃起しているものにスルスルとつけていく。小さくパチンと音がした。
男に両腿を持ち上げられる。物欲しそうにローションを垂らしている後孔に、男の熱いペニスの先が触れる。
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