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第4章
思案2
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そのまま荷物と一緒に、受け取った書籍や巻物といった文献を持ち、正門へと向かう。
正門前で箱馬車を捕まえて乗り、車内で揺られながら手に取った本を眺める。
今回、僕が図書館で予約したものはすべて、英雄に関することが書かれたものばかりだ。
この国の図書館にある英雄に関する一般書籍は、前回過去の世界に戻った際にすべて目を通した。でも英雄を見つける手がかりにはならなかった。
王宮の貴族や騎士たちに、英雄についての情報や噂を訊いてみたものの皆、「それは神話の世界の話だろ」と首をかしげる。
ビルのツテを使って、神話や英雄譚についてを研究している教授や博士に話を聞く日取りが決まったところで、牢屋送りになってしまった。
今回が最後のチャンスだ。
こういうときこそ元気を出して、あらゆる策を講じ、絶対に英雄を見つけると意気込まなきゃいけないとわかってる。
でも……英雄なんて見つからない。きっと何をしても未来は変わらなくて前回と同じような過ちを繰り返すだけ、と弱気な状態になっている。
未来は決まっていて、僕みたいな、なんの力も持たない人間には変えられない。神々から与えられた試練を乗り越えたり、使命をまっとうすることは不可能だと後ろ向きな気持ちでいる。
それでも、僕のせいで大好きな人たちが悲しみ、苦しむ姿は見たくない。
今、僕が一番やらなくてはいけないこと、できること――それが何か、わかっていたから。
本を閉じ、箱馬車の窓から外の景色を眺める。恨めしいくらいに青い空を自由に飛ぶ鳥たちの姿を目にして拳を作った。
正門前で箱馬車を捕まえて乗り、車内で揺られながら手に取った本を眺める。
今回、僕が図書館で予約したものはすべて、英雄に関することが書かれたものばかりだ。
この国の図書館にある英雄に関する一般書籍は、前回過去の世界に戻った際にすべて目を通した。でも英雄を見つける手がかりにはならなかった。
王宮の貴族や騎士たちに、英雄についての情報や噂を訊いてみたものの皆、「それは神話の世界の話だろ」と首をかしげる。
ビルのツテを使って、神話や英雄譚についてを研究している教授や博士に話を聞く日取りが決まったところで、牢屋送りになってしまった。
今回が最後のチャンスだ。
こういうときこそ元気を出して、あらゆる策を講じ、絶対に英雄を見つけると意気込まなきゃいけないとわかってる。
でも……英雄なんて見つからない。きっと何をしても未来は変わらなくて前回と同じような過ちを繰り返すだけ、と弱気な状態になっている。
未来は決まっていて、僕みたいな、なんの力も持たない人間には変えられない。神々から与えられた試練を乗り越えたり、使命をまっとうすることは不可能だと後ろ向きな気持ちでいる。
それでも、僕のせいで大好きな人たちが悲しみ、苦しむ姿は見たくない。
今、僕が一番やらなくてはいけないこと、できること――それが何か、わかっていたから。
本を閉じ、箱馬車の窓から外の景色を眺める。恨めしいくらいに青い空を自由に飛ぶ鳥たちの姿を目にして拳を作った。
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