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婚姻届を出さない夫婦
17話
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藤崎さんの家を訪ねる時に、わざわざ手土産を買って行くのも気を遣われるかもしれないけど、何も持って行かないのは如何なものか。と唐突に思い当たり、昨夜は一通り悩んだりもした。
家には特に渡せるようなものは何も無いから、持って行くのなら早起きして買いに行かなければいけないからだ。
でも特に気兼ねなく来てくれと藤崎さんに言われたことを思い出し、やっぱり気を遣わせるのは悪いから普通に行こうと決めて昨日は眠りについた。
宮くんに早く寝ろと叱られたから、という理由もある。確かに話している途中に眠くなったら申し訳ないし、本末転倒だ。
そのおかげで朝はきちんと起きることが出来た。
「じゃあ、頑張ってね。松ちゃん」
「うん、宮くんも頑張って」
宮くんは仕事に、私は藤崎さんの家に向かうために部屋を出る。
俺は何を頑張るの、と宮くんがくしゃりと笑うので、仕事に決まってるでしょとぽんぽんと肩を叩いた。
お互いに手を振り合い、宮くんはエレベーターで降り、私は階段を登る。一階程度なら歩いた方が早い。運動にもなるし。
上のフロアに着いてから、部屋を間違えないようにきちんと確認をする。ここで合ってるよね、と再度確認してから慎重にインターホンを押した。
今頃、部屋の中ではうちと同じ軽快な音が鳴っているに違いない。
待つ、というのには短すぎるほどの時間で藤崎さんがドアを開けてくれた。
「いらっしゃい、松永さん」
藤崎さんは持ち前の明るい笑顔で私に言い、入って入って、と招き入れてくれる。
「お邪魔します」
私も遠慮せずぺこりと頭を下げてから中に入れてもらう。
リビングに案内され、あんまりじろじろ見るのは失礼だな、と思いつつ目の端でちらちらと部屋を眺めてしまう。
うちのいろんな物を適当にその辺に置いている部屋と違い、綺麗に整頓された部屋にひどく感心する。
私が来るからかな、と一瞬思ったけれど普段からこうなっているような落ち着いた雰囲気があった。
そういえば前に書くのに詰まったら掃除を始めてしまうのだ、と藤崎さんがぼやいていたことを思い出す。試験前に机の片付けをしてしまうのと似たようなものだろうか。
「松永さん、コーヒーは大丈夫?」
「あ、大丈夫です。ありがとうございます」
キッチンにいる藤崎さんに声をかけられ、慌てて頷いた。
アイスかホットかという問いにはどっちでも大丈夫と深く頷いておく。落ち着かない人だと思われたら少し恥ずかしい。
しばらく待っていると藤崎さんが二人分のコーヒーを手に戻って来てほっとする。
他人の家はやっぱり少し緊張する。とはいえ、藤崎さんの家で話したいと言ったのは、私の方なのだけど。
家には特に渡せるようなものは何も無いから、持って行くのなら早起きして買いに行かなければいけないからだ。
でも特に気兼ねなく来てくれと藤崎さんに言われたことを思い出し、やっぱり気を遣わせるのは悪いから普通に行こうと決めて昨日は眠りについた。
宮くんに早く寝ろと叱られたから、という理由もある。確かに話している途中に眠くなったら申し訳ないし、本末転倒だ。
そのおかげで朝はきちんと起きることが出来た。
「じゃあ、頑張ってね。松ちゃん」
「うん、宮くんも頑張って」
宮くんは仕事に、私は藤崎さんの家に向かうために部屋を出る。
俺は何を頑張るの、と宮くんがくしゃりと笑うので、仕事に決まってるでしょとぽんぽんと肩を叩いた。
お互いに手を振り合い、宮くんはエレベーターで降り、私は階段を登る。一階程度なら歩いた方が早い。運動にもなるし。
上のフロアに着いてから、部屋を間違えないようにきちんと確認をする。ここで合ってるよね、と再度確認してから慎重にインターホンを押した。
今頃、部屋の中ではうちと同じ軽快な音が鳴っているに違いない。
待つ、というのには短すぎるほどの時間で藤崎さんがドアを開けてくれた。
「いらっしゃい、松永さん」
藤崎さんは持ち前の明るい笑顔で私に言い、入って入って、と招き入れてくれる。
「お邪魔します」
私も遠慮せずぺこりと頭を下げてから中に入れてもらう。
リビングに案内され、あんまりじろじろ見るのは失礼だな、と思いつつ目の端でちらちらと部屋を眺めてしまう。
うちのいろんな物を適当にその辺に置いている部屋と違い、綺麗に整頓された部屋にひどく感心する。
私が来るからかな、と一瞬思ったけれど普段からこうなっているような落ち着いた雰囲気があった。
そういえば前に書くのに詰まったら掃除を始めてしまうのだ、と藤崎さんがぼやいていたことを思い出す。試験前に机の片付けをしてしまうのと似たようなものだろうか。
「松永さん、コーヒーは大丈夫?」
「あ、大丈夫です。ありがとうございます」
キッチンにいる藤崎さんに声をかけられ、慌てて頷いた。
アイスかホットかという問いにはどっちでも大丈夫と深く頷いておく。落ち着かない人だと思われたら少し恥ずかしい。
しばらく待っていると藤崎さんが二人分のコーヒーを手に戻って来てほっとする。
他人の家はやっぱり少し緊張する。とはいえ、藤崎さんの家で話したいと言ったのは、私の方なのだけど。
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