私の親友

蒼キるり

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6.慣れてるので

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 瑠衣が落ち着かない様子で指先で髪をいじっている。
 さらさらとした黒髪は短いこともあってか癖が少しもなくて、癖っ毛の私はいいなぁと昔から何度目かの羨ましさを感じた。

 みんなのストレッチが終わった辺りで体育委員が近くに集まるように指示をした。
 長ったらしい説明のチーム分けなんかを聞いて、うんうんと適当に頷く。
 最初の試合は待機だった私と瑠衣が端に寄ることにした。とりあえず参加しなくて良いからラッキーと言っていいのか、後から参加しなければいけないから結局先に終わらせておいた方が良いのかは微妙なところだ。

 まあとにかく良いように考えようと、人数多いからなかなか順番が回ってこないからラッキーだと瑠衣と話した。
 そうしていると、あからさまにこちらを見ながらひそひそと話している女子を見つけて、思わずため息を吐いてしまった。
 私に聞こえようにだろう。わざとらしく声を大きくして、あの二人いっつも一緒だよね、なんて悪口になってなくて笑ってしまう。
 仲のいい人と一緒にいるのが、そんなに羨ましいのだろうか。自分にはそんな人いないから妬ましいです。って言われてる風にしか取れないのだけど。私は意地悪だから。


「ねえ、なんの話?」


 黙っておくのも面倒で、私が鈍感なふりをして話しかけると、動揺する人もいればむしろ面白そうに返事をしてくる人もいた。
 嫌味が通じないとでも思ったのか、あからさまに話を逸らされる。馬鹿みたい。最初から言わなきゃいいのに。
 瑠衣が隣にいるから言えないのだ。馬鹿は馬鹿なりにその辺りの理性は働くらしい。なんて、ちょっと口が悪すぎるだろうか。


「別に。安藤は背が高いからいいねって話」


 確かに私はクラスの女子の中で一番背が高い。それもかなり飛び抜けている方だと自負している。
 今から行うバスケでは少しばかり有利だろうから、誤魔化しとしては上手い方だろうか?
 まさか、そんな言い訳通るはずもない。きっと分かって言っているのだろう。私が先に激昂するように。
 そうすれば完全に私が悪くなる。それを狙っているのだろう。おあいにく様、乗ってなんてやらないけど。
 ふーん、と気のない返事をして瑠衣と一緒に離れた場所に座る。あの人はどんな顔をしてるのだろう。見たくもないけど。瑠衣にも見せたくないし。


「大丈夫?」

「全然、平気。慣れてるし」


 私の言葉に瑠衣が顔を顰めた。言葉選びを間違えたな、と少しだけ反省して、ほら神崎出てるよと言って瑠衣の興味を逸らした。
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