6 / 10
6.慣れてるので
しおりを挟む
瑠衣が落ち着かない様子で指先で髪をいじっている。
さらさらとした黒髪は短いこともあってか癖が少しもなくて、癖っ毛の私はいいなぁと昔から何度目かの羨ましさを感じた。
みんなのストレッチが終わった辺りで体育委員が近くに集まるように指示をした。
長ったらしい説明のチーム分けなんかを聞いて、うんうんと適当に頷く。
最初の試合は待機だった私と瑠衣が端に寄ることにした。とりあえず参加しなくて良いからラッキーと言っていいのか、後から参加しなければいけないから結局先に終わらせておいた方が良いのかは微妙なところだ。
まあとにかく良いように考えようと、人数多いからなかなか順番が回ってこないからラッキーだと瑠衣と話した。
そうしていると、あからさまにこちらを見ながらひそひそと話している女子を見つけて、思わずため息を吐いてしまった。
私に聞こえようにだろう。わざとらしく声を大きくして、あの二人いっつも一緒だよね、なんて悪口になってなくて笑ってしまう。
仲のいい人と一緒にいるのが、そんなに羨ましいのだろうか。自分にはそんな人いないから妬ましいです。って言われてる風にしか取れないのだけど。私は意地悪だから。
「ねえ、なんの話?」
黙っておくのも面倒で、私が鈍感なふりをして話しかけると、動揺する人もいればむしろ面白そうに返事をしてくる人もいた。
嫌味が通じないとでも思ったのか、あからさまに話を逸らされる。馬鹿みたい。最初から言わなきゃいいのに。
瑠衣が隣にいるから言えないのだ。馬鹿は馬鹿なりにその辺りの理性は働くらしい。なんて、ちょっと口が悪すぎるだろうか。
「別に。安藤は背が高いからいいねって話」
確かに私はクラスの女子の中で一番背が高い。それもかなり飛び抜けている方だと自負している。
今から行うバスケでは少しばかり有利だろうから、誤魔化しとしては上手い方だろうか?
まさか、そんな言い訳通るはずもない。きっと分かって言っているのだろう。私が先に激昂するように。
そうすれば完全に私が悪くなる。それを狙っているのだろう。おあいにく様、乗ってなんてやらないけど。
ふーん、と気のない返事をして瑠衣と一緒に離れた場所に座る。あの人はどんな顔をしてるのだろう。見たくもないけど。瑠衣にも見せたくないし。
「大丈夫?」
「全然、平気。慣れてるし」
私の言葉に瑠衣が顔を顰めた。言葉選びを間違えたな、と少しだけ反省して、ほら神崎出てるよと言って瑠衣の興味を逸らした。
さらさらとした黒髪は短いこともあってか癖が少しもなくて、癖っ毛の私はいいなぁと昔から何度目かの羨ましさを感じた。
みんなのストレッチが終わった辺りで体育委員が近くに集まるように指示をした。
長ったらしい説明のチーム分けなんかを聞いて、うんうんと適当に頷く。
最初の試合は待機だった私と瑠衣が端に寄ることにした。とりあえず参加しなくて良いからラッキーと言っていいのか、後から参加しなければいけないから結局先に終わらせておいた方が良いのかは微妙なところだ。
まあとにかく良いように考えようと、人数多いからなかなか順番が回ってこないからラッキーだと瑠衣と話した。
そうしていると、あからさまにこちらを見ながらひそひそと話している女子を見つけて、思わずため息を吐いてしまった。
私に聞こえようにだろう。わざとらしく声を大きくして、あの二人いっつも一緒だよね、なんて悪口になってなくて笑ってしまう。
仲のいい人と一緒にいるのが、そんなに羨ましいのだろうか。自分にはそんな人いないから妬ましいです。って言われてる風にしか取れないのだけど。私は意地悪だから。
「ねえ、なんの話?」
黙っておくのも面倒で、私が鈍感なふりをして話しかけると、動揺する人もいればむしろ面白そうに返事をしてくる人もいた。
嫌味が通じないとでも思ったのか、あからさまに話を逸らされる。馬鹿みたい。最初から言わなきゃいいのに。
瑠衣が隣にいるから言えないのだ。馬鹿は馬鹿なりにその辺りの理性は働くらしい。なんて、ちょっと口が悪すぎるだろうか。
「別に。安藤は背が高いからいいねって話」
確かに私はクラスの女子の中で一番背が高い。それもかなり飛び抜けている方だと自負している。
今から行うバスケでは少しばかり有利だろうから、誤魔化しとしては上手い方だろうか?
まさか、そんな言い訳通るはずもない。きっと分かって言っているのだろう。私が先に激昂するように。
そうすれば完全に私が悪くなる。それを狙っているのだろう。おあいにく様、乗ってなんてやらないけど。
ふーん、と気のない返事をして瑠衣と一緒に離れた場所に座る。あの人はどんな顔をしてるのだろう。見たくもないけど。瑠衣にも見せたくないし。
「大丈夫?」
「全然、平気。慣れてるし」
私の言葉に瑠衣が顔を顰めた。言葉選びを間違えたな、と少しだけ反省して、ほら神崎出てるよと言って瑠衣の興味を逸らした。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
土俵の華〜女子相撲譚〜
葉月空
青春
土俵の華は女子相撲を題材にした青春群像劇です。
相撲が好きな美月が女子大相撲の横綱になるまでの物語
でも美月は体が弱く母親には相撲を辞める様に言われるが美月は母の反対を押し切ってまで相撲を続けてる。何故、彼女は母親の意見を押し切ってまで相撲も続けるのか
そして、美月は横綱になれるのか?
ご意見や感想もお待ちしております。

俺たちの共同学園生活
雪風 セツナ
青春
初めて執筆した作品ですので至らない点が多々あると思いますがよろしくお願いします。
2XXX年、日本では婚姻率の低下による出生率の低下が問題視されていた。そこで政府は、大人による婚姻をしなくなっていく風潮から若者の意識を改革しようとした。そこて、日本本島から離れたところに東京都所有の人工島を作り上げ高校生たちに対して特別な制度を用いた高校生活をおくらせることにした。
しかしその高校は一般的な高校のルールに当てはまることなく数々の難題を生徒たちに仕向けてくる。時には友人と協力し、時には敵対して競い合う。
そんな高校に入学することにした新庄 蒼雪。
蒼雪、相棒・友人は待ち受ける多くの試験を乗り越え、無事に学園生活を送ることができるのか!?
彗星と遭う
皆川大輔
青春
【✨青春カテゴリ最高4位✨】
中学野球世界大会で〝世界一〟という称号を手にした。
その時、投手だった空野彗は中学生ながら152キロを記録し、怪物と呼ばれた。
その時、捕手だった武山一星は全試合でマスクを被ってリードを、打っては四番とマルチの才能を発揮し、天才と呼ばれた。
突出した実力を持っていながら世界一という実績をも手に入れた二人は、瞬く間にお茶の間を賑わせる存在となった。
もちろん、新しいスターを常に欲している強豪校がその卵たる二人を放っておく訳もなく。
二人の元には、多数の高校からオファーが届いた――しかし二人が選んだのは、地元埼玉の県立高校、彩星高校だった。
部員数は70名弱だが、その実は三年連続一回戦負けの弱小校一歩手前な崖っぷち中堅高校。
怪物は、ある困難を乗り越えるためにその高校へ。
天才は、ある理由で野球を諦めるためにその高校へ入学した。
各々の別の意思を持って選んだ高校で、本来会うはずのなかった運命が交差する。
衝突もしながら協力もし、共に高校野球の頂へ挑む二人。
圧倒的な実績と衝撃的な結果で、二人は〝彗星バッテリー〟と呼ばれるようになり、高校野球だけではなく野球界を賑わせることとなる。
彗星――怪しげな尾と共に現れるそれは、ある人には願いを叶える吉兆となり、ある人には夢を奪う凶兆となる。
この物語は、そんな彗星と呼ばれた二人の少年と、人を惑わす光と遭ってしまった人達の物語。
☆
第一部表紙絵制作者様→紫苑*Shion様《https://pixiv.net/users/43889070》
第二部表紙絵制作者様→和輝こころ様《https://twitter.com/honeybanana1》
第三部表紙絵制作者様→NYAZU様《https://skima.jp/profile?id=156412》
登場人物集です→https://jiechuandazhu.webnode.jp/%e5%bd%97%e6%98%9f%e3%81%a8%e9%81%ad%e3%81%86%e3%80%90%e7%99%bb%e5%a0%b4%e4%ba%ba%e7%89%a9%e3%80%91/
冬の水葬
束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。
凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。
高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。
美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた――
けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。
ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】カワイイ子猫のつくり方
龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。
無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。
俯く俺たちに告ぐ
凜
青春
【第13回ドリーム小説大賞優秀賞受賞しました。有難う御座います!】
仕事に悩む翔には、唯一頼りにしている八代先輩がいた。
ある朝聞いたのは八代先輩の訃報。しかし、葬式の帰り、自分の部屋には八代先輩(幽霊)が!
幽霊になっても頼もしい先輩とともに、仕事を次々に突っ走り前を向くまでの青春社会人ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる