続きは第一図書室で

蒼キるり

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51.初めてのこと

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 放課後の図書室はいつも少し肌寒い。
 それなのに、今は五月なのにも関わらず何故か体が火照っている。
 どうしてだろう、なんて考える必要もない。俺は今同級生の東原浩也にキスされている。
 ただの同級生でも、友達でもない。
 つい今しがたとはいえ、俺達は恋人になったのだ。
 だからこんな風にする事をもう不安がらなくて良いのだという事が嬉しかった。
 寒いから上は余り脱がずお互いボタンを外してネクタイを取るに収めた。
 キスで息が上がり、渋々お互い離れる。
 浩也に火照った素肌を優しく撫でられると体が震えた。
 本でもよくある、胸の尖りを掠められると小さく声が漏れた。

「こう、や……んっ」

 男がそんなとこで感じるはずもないと笑いながら読み飛ばしていたけど、好きな人に触られればどこもかしこも感じてしまうのだ。
 恐らく赤く尖ってしまったそこを唇で吸い上げられると、自分とは思えない甲高い声が漏れた。

「直斗、可愛い」

 そう囁かれるだけで感じすぎてくらくらする。

「浩也……」

 そう言うと辛そうに眉をひそめて、浩也の手が下へ下へと伸びてくる。
 いつかはとは思っていても、やはり恥ずかしくて顔を逸らしてしまう。
 ズボンを履いていても気づかれてしまうだろう反応しているそこを緩く撫でられる。
 びくりと震えるとやわりと揉み込まれて首を振る。

「浩也、は?」

「……待って」

 耳にキスを落とされ、浩也の熱い吐息が耳にかかる。
 ズボンを落とされ、浩也の手が直接それに触れる。
 声はもう我慢できなかった。
 ゆるゆると手を動かされて、指を滑らされるのが気持ち良いのに、何か物足りなくて浩也の名前を呼ぶ。

「浩也……こうやぁ、あっ」

「……っ、ごめんもう待てない」

 手を離されて息を整えていると、浩也もズボンを下ろして浩也のものが露わになる。
 抱き寄せられ、浩也のものが俺のものに触れる。

「……あっ」

「っ、直斗」

 緩く触れ合い、溢れる液体を手につけて浩也がまとめて擦り上げると頭が真っ白になる。
 ゆるりと触れ合うたびに気持ちが良くて、そのまま達してしまいたくなる。
 でもまだ終わりたくなくて、必死に耐える。
 声は先ほどから漏れ続けていて、それに羞恥心を感じる暇もない。
 先端の震えもお互いに伝わって、びくりびくりと体の震えが止まらない。

「こう、や。浩也……ごめ、イク……あっ、あぁ!」

「俺も、んっ」

 浩也の手が一層強く刺激を与え、ほとんど同時に果てた。
 どちらともなく、口づけをかわすと胸にじわりと幸福感が広がった。
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