10 / 53
9.言いたいこと
しおりを挟む
放課後にこの人の少ない廊下を歩く事にひどく慣れているという事に今更ながら気付いた。
慣れているというよりも、ここを歩いて第一図書室に向かうのは至極当然の事のように思えてくる。
まだ数日しか経っていないのに。
そうだ。考えてみれば、浩也と話し始めてからも数日しか経っていない。
なのに、昨日も今日の授業中も、もしかしたら美奈に指摘されたようにそれよりも前から浩也の事をよく考えているというのは少しだけ不思議だった。
クラスで話す奴は居るけど、未だに放課後遊びに誘われるほど仲の良い奴もいない。だからこそこんなに第一図書室に通えるのだが、そんな俺がどうして浩也の事ばかり考えてしまうのかは考えれば考えるほど不思議な事に思えた。
でもそれが不愉快じゃない、というのが一番不思議だった。
考え事をしながらも第一図書室には着いてしまうもので、昨日までは平然と開けていた戸が今は開けずらい。
いやいや、浩也はまた明日って言ってくれただろ、俺。気にせず開ければ良いんだ……多分。
いくら人通りが少ないといっても、ここでぐだくだしていると変な目で見られてしまう。
軽く息を吸って戸に手を掛ける。
いつもより慎重に開けたせいか、いつもより音が小さかった。
中を覗くと浩也はいつものように本棚の整理をしていた。だからこちらからは顔が見えなくて、浩也がいつも通りなのか怒っているのかは正直に言うと分からなかった。
「こう……」
呼びかけてどうするんだ。
昨日みたいに整理手伝うとか言うのか?昨日の事に何も触れずに?無かったように?
そう思ったら、口が先に動いていた。
慣れているというよりも、ここを歩いて第一図書室に向かうのは至極当然の事のように思えてくる。
まだ数日しか経っていないのに。
そうだ。考えてみれば、浩也と話し始めてからも数日しか経っていない。
なのに、昨日も今日の授業中も、もしかしたら美奈に指摘されたようにそれよりも前から浩也の事をよく考えているというのは少しだけ不思議だった。
クラスで話す奴は居るけど、未だに放課後遊びに誘われるほど仲の良い奴もいない。だからこそこんなに第一図書室に通えるのだが、そんな俺がどうして浩也の事ばかり考えてしまうのかは考えれば考えるほど不思議な事に思えた。
でもそれが不愉快じゃない、というのが一番不思議だった。
考え事をしながらも第一図書室には着いてしまうもので、昨日までは平然と開けていた戸が今は開けずらい。
いやいや、浩也はまた明日って言ってくれただろ、俺。気にせず開ければ良いんだ……多分。
いくら人通りが少ないといっても、ここでぐだくだしていると変な目で見られてしまう。
軽く息を吸って戸に手を掛ける。
いつもより慎重に開けたせいか、いつもより音が小さかった。
中を覗くと浩也はいつものように本棚の整理をしていた。だからこちらからは顔が見えなくて、浩也がいつも通りなのか怒っているのかは正直に言うと分からなかった。
「こう……」
呼びかけてどうするんだ。
昨日みたいに整理手伝うとか言うのか?昨日の事に何も触れずに?無かったように?
そう思ったら、口が先に動いていた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
少年野球で知り合ってやけに懐いてきた後輩のあえぎ声が頭から離れない
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
少年野球で知り合い、やたら懐いてきた後輩がいた。
ある日、彼にちょっとしたイタズラをした。何気なく出したちょっかいだった。
だがそのときに発せられたあえぎ声が頭から離れなくなり、俺の行為はどんどんエスカレートしていく。
当たって砕けていたら彼氏ができました
ちとせあき
BL
毎月24日は覚悟の日だ。
学校で少し浮いてる三倉莉緒は王子様のような同級生、寺田紘に恋をしている。
教室で意図せず公開告白をしてしまって以来、欠かさずしている月に1度の告白だが、19回目の告白でやっと心が砕けた。
諦めようとする莉緒に突っかかってくるのはあれ程告白を拒否してきた紘で…。
寺田絋
自分と同じくらいモテる莉緒がムカついたのでちょっかいをかけたら好かれた残念男子
×
三倉莉緒
クールイケメン男子と思われているただの陰キャ
そういうシーンはありませんが一応R15にしておきました。
お気に入り登録ありがとうございます。なんだか嬉しいので載せるか迷った紘視点を追加で投稿します。ただ紘は残念な子過ぎるので莉緒視点と印象が変わると思います。ご注意ください。
お気に入り登録100ありがとうございます。お付き合いに浮かれている二人の小話投稿しました。
解放
papiko
BL
過去にCommandされ、名前を忘れた白銀の髪を持つ青年。年齢も分からず、前のDomさえ分からない。瞳は暗く影が落ち、黒ずんで何も映さない。
偶々、甘やかしたいタイプのアルベルに拾われ名前を貰った白銀の青年、ロイハルト。
アルベルが何十という数のDomに頼み込んで、ロイハルトをDropから救い出そうとした。
――――そして、アルベル苦渋の決断の末、選ばれたアルベルの唯一無二の親友ヴァイス。
これは、白銀の青年が解放される話。
〘本編完結済み〙
※ダイナミクスの設定を理解してる上で進めています。一応、説明じみたものはあります。
※ダイナミクスのオリジナル要素あります。
※3Pのつもりですが全くやってません。
※番外編、書けたら書こうと思います。
【リクエストがあれば執筆します。】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる