俺の幼馴染はよく溶ける

蒼キるり

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19.幼馴染は溶ける

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 昔、幼馴染が目の前で溶けたことがある。
 光を浴びた幼馴染の由宇の瞳がいつもと違った風に見えたのだ。


「綺麗な目をしてるんだね」


 そう言うと、由宇はしばらく固まって、何か言う前にドロドロに溶けたのだ。目の前で。叫ばなかったのが奇跡だ。
 ひえええええ、と思いながらも固まっていると、しばらくして元に戻って、


「うわー、まじかー、これかー」


 とだけ言って、うんうんと自己完結したように頷いたのだ。


「秘密にしてくれる?溶けるの」

「え、ああああうんうんうん」


 必死で頷いた。なんかすごい秘密なのかもと思ったから。地球侵略に来た宇宙人となそういうのかもしれない。地球人にしか見えないが。そして侵略なんてしそうにはない。

 それからというもの、幼馴染はたびたび目の前で溶けるようになった。不思議である。バレてはいけないようなので隠すのを手伝うこともしばしばだ。
 大抵褒めると溶けるのはなんとも不思議である。


「髪切った?似合ってる」


 中学生になったある日、何の気なしにふとそんなことを言うと、溶け始めてしまってまたやってしまった!と思う。全く自分はなんて学ばない人間なのだろう。我ながら呆れてしまう。最近では一日に一度は溶けているところをもくけきしているきかする。
 今日も幼馴染は溶けるのだ。
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