俺の幼馴染はよく溶ける

12.今のところ

　考えてみれば由那と休日に二人で出掛けるなんて久しぶりかもしれない。
　平日は毎日会ってるし休日もお互いの家に行くことがあったからそうとは思わなかったけど。


「た、た、楽しみ、だね！」


　今日は一緒に映画を観ようということで待ち合わせをしたのに、由那が口を開くや否や大変強張った顔でそんなことを言った。


「なんでそんな緊張してんの」


　三年ぶりに会った親戚でもそんな緊張しないだろというくらいのガチガチっぷりだ。だいたい毎日会ってると思うんだが。


「だって、これ、で、デート、でしょ！」


　でしょでしょ、と由那に言われるとこっちまで薄っすら恥ずかしくなる。
　いや、まあ、はい、そうですけど。

　あれからようやく由那への思いを確かめた俺と数年越しの想いを伝えた由那。色々と確認しあった俺たちはしばらく「いやいやいやお互い早く言えよー！」と悶絶しあった後に付き合うことになった。
　それからというもの由那が溶けることはない。まあ今のところ、なので要注意ではある。
　由那のお母さんにはもうほとんど安心ってお墨付き貰ったけど。由那のお母さんも結婚してからは溶けてないと言っていた。
　結婚、は、まあ、うん、おいおい考えようと思う。まだ学生なのでね、はい。


「うー、あー、ドキドキする」

「心臓持たねえぞ」