俺の幼馴染はよく溶ける

11.溶けてしまう

　そんな由那の顔を見ると、思わずドギマギとしてしまう。いやなんでだよ、と自分にツッコミを入れるのさえ覚束ない。


「なんでって、そんなの」


　分かるわけないだろ、と口ごもると完全に元に戻った由那が一歩こちらに踏み出してきた。
　今まで見たことがないくらいに思い詰めた顔をしている。赤くなった顔から湯気が出そうだ。


「あのね、ずっと言わなかったけど……私が溶けるのには理由があるの」


　なんで今まで教えてくれなかったんだ、とこんな時だけど俺が目を丸くしている間に由那が顔を赤くしたまま言い募る。


「ドキドキする時に溶けるの！心がぎゅうっとなって、いてもたってもいられなくなって、そんな風にドキドキする時だけ、私は溶けるの！」


　それからまるで睨みつけるように、でも溶けそうな目で俺を見てくる。
　その瞳に思わず身が話せなくなる。とても綺麗だった。


「私をそんな風にさせられるのは、勝谷だけなの！」

「は？」

「もう！この意味、分かるでしょ！」


　また溶けちゃいそうなんだけど！と地団駄を踏む由那に俺はなんとか口を開こうとするけど、上手くいかない。
　ああ、俺も溶けてしまいそうだ。