俺の幼馴染はよく溶ける

5.これはまじでやばい

　由那の特異体質ってまじでどうにかなんねえのかな、と俺は授業中にぼーっとしながら思った。
　午後一の授業はみんなそうだとは思うがどうしても集中できない。
　なんとか一応読めるレベルの文字でノートだけ取りつつ、俺は何度も考えてきたことを性懲りも無く考える。

　でも由那がどうにかしない限りどうしようもないんだよなぁ、なんて考えながら隣の隣に座る由那の方を見た。
　ぽけーっと口あけてやがって、と思わず笑いそうになる。
　くっくっと笑いを噛み殺していると、俺の気配に気づいたのか由那がこちらを見た。

　こてん、と首を傾げる由那に「ま、え、む、け」と少し笑いながら口をパクパクさせて伝える。
　気づかれたら俺まで怒られそうだからそう言ったのに、由那は何故か頬を赤く染めてしまう。
　なにしてんだ、と俺まで首を傾げていると、突如とんでもないことが起こった。

　由那がぶるぶると小刻みに震え始めたのだ。それが由那が溶ける前の合図なのだということを俺はよく知っている。
　やべえ、と一気に覚醒した。
　こんなところで溶けてみろ。大変なことになる。今まで授業中に溶けたことはあまりない。正確に言うと体育の時間にはあるが、あれは外だったからどうとてもなった。
　でも今は室内だ。教室だ。やばい。やばすぎる。


「せ、せんせい！」


　俺は咄嗟にそう叫んで手をビシッと上げた。