7 / 13
7.弟と思えば可愛いもの
しおりを挟む「今夜は寝台を使ってください。私は床でも椅子でも構わないので」
「そ、それは身体に悪いだろう」
「殿下を寝台以外で寝させることの方が問題です」
ミアは最もらしく言い募り、風邪を引くと困るので掛けるものは借りたいですと告げる。
そんなミアを前にして、皇子は青かった顔を一変させ赤くなりながら宣言した。
「い、一緒に寝台を使えばいいじゃないか」
ミアは驚きのあまり目を瞬かせ、本気なのか問うように首を傾げた。
「……私は構いませんが、殿下は大丈夫なのですか?」
私は今日会ったばかりの人ですよ、と当たり前のことをミアが丁寧に告げると、頬を赤らめながらも皇子は頷いた。
「だって、何もしないと約束してくれただろう?」
ミアを見る皇子の目は純粋そのものだった。この人はこんなに無垢なのによくぞ今まで頭から喰われてしまわなかったものだと、ミアは感心していた。
一度言い出した手前引けないのか、皇子が積極的に寝台に上がるように勧めてくるのでミアは皇子に気を遣いながら控えめに寝台に腰を下ろした。
「それで寝れるんですか?」
ミアが寝台に上がった途端、皇子は出来るだけ距離を取ろうとしてか寝台の端に身を寄せてしまう。
それだと眠れないのではないかと思ったミアが声を掛けると、皇子はようやくそろそろと足を伸ばし始めたが、依然として体も顔も強張っている。
「……すぐには、眠れないかもしれない」
「そうですか。私も特に疲れていないので、まだ眠くないです」
遠くから今日来たばかりなのに、と驚いて目を瞬かせる皇子にミアは曖昧に微笑んだ。
「あ、そうだ。何か本とかないか?眠くなるまで、読みたいんだが」
「すみません。本は勉学の為なら読むのですが、趣味では読まないので、ここには持ち込んでいません」
あまり後宮に長居するつもりはないので、という言葉は流石に無礼過ぎるだろうと飲み込んだ。
「殿下は本がお好きなのですか?」
「……本は、読むと自由になれるから、好きだ」
遠くを見るように目を細めて寝台に寝転ぶ皇子から距離を保ったまま、ミアはそっと寝台の端に寝転んだ。
「では、眠くなるまで殿下の好きな本のお話を話してくれたら嬉しいです」
それなら暇潰しになるだろうとミアが提案すると、皇子は安心したような笑顔で頷いた。
「ああ、いいぞ」
何の話がいいか、と視線を巡らせる皇子は同じ年回りだというのにやはり庇護欲を煽るほど幼く見えるのだ。
ミアは小さく笑みを零しながら皇子の話に耳を傾けた。
「そ、それは身体に悪いだろう」
「殿下を寝台以外で寝させることの方が問題です」
ミアは最もらしく言い募り、風邪を引くと困るので掛けるものは借りたいですと告げる。
そんなミアを前にして、皇子は青かった顔を一変させ赤くなりながら宣言した。
「い、一緒に寝台を使えばいいじゃないか」
ミアは驚きのあまり目を瞬かせ、本気なのか問うように首を傾げた。
「……私は構いませんが、殿下は大丈夫なのですか?」
私は今日会ったばかりの人ですよ、と当たり前のことをミアが丁寧に告げると、頬を赤らめながらも皇子は頷いた。
「だって、何もしないと約束してくれただろう?」
ミアを見る皇子の目は純粋そのものだった。この人はこんなに無垢なのによくぞ今まで頭から喰われてしまわなかったものだと、ミアは感心していた。
一度言い出した手前引けないのか、皇子が積極的に寝台に上がるように勧めてくるのでミアは皇子に気を遣いながら控えめに寝台に腰を下ろした。
「それで寝れるんですか?」
ミアが寝台に上がった途端、皇子は出来るだけ距離を取ろうとしてか寝台の端に身を寄せてしまう。
それだと眠れないのではないかと思ったミアが声を掛けると、皇子はようやくそろそろと足を伸ばし始めたが、依然として体も顔も強張っている。
「……すぐには、眠れないかもしれない」
「そうですか。私も特に疲れていないので、まだ眠くないです」
遠くから今日来たばかりなのに、と驚いて目を瞬かせる皇子にミアは曖昧に微笑んだ。
「あ、そうだ。何か本とかないか?眠くなるまで、読みたいんだが」
「すみません。本は勉学の為なら読むのですが、趣味では読まないので、ここには持ち込んでいません」
あまり後宮に長居するつもりはないので、という言葉は流石に無礼過ぎるだろうと飲み込んだ。
「殿下は本がお好きなのですか?」
「……本は、読むと自由になれるから、好きだ」
遠くを見るように目を細めて寝台に寝転ぶ皇子から距離を保ったまま、ミアはそっと寝台の端に寝転んだ。
「では、眠くなるまで殿下の好きな本のお話を話してくれたら嬉しいです」
それなら暇潰しになるだろうとミアが提案すると、皇子は安心したような笑顔で頷いた。
「ああ、いいぞ」
何の話がいいか、と視線を巡らせる皇子は同じ年回りだというのにやはり庇護欲を煽るほど幼く見えるのだ。
ミアは小さく笑みを零しながら皇子の話に耳を傾けた。
0
お気に入りに追加
82
あなたにおすすめの小説
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる