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第4章 遠出

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「マグノリア、しっかり掴まっていろ」

ペリウィンクル殿下が、私の背中越しに声を掛けてくる。

ペリウィンクル殿下は、私を背中から抱くようにして馬の手綱を握っている。

私は、ペリウィンクル殿下と同じ馬に乗っていた。

「ペリウィンクル殿下、私たち2人が乗っても、馬は大丈夫なのでしょうか」

「大丈夫だ、問題ない。少し速度を上げるぞ」

ペリウィンクル殿下は、馬の脇を軽く踵で叩く。

私たちは、朝早くから、昨日バルコニーから見た灯台に向けて馬を走らせていた。

ペリウィンクル殿下の意向で、お供の方も少数に留められている。

「見ろ、海が見えるだろう、潮の匂いもしてきた。マグノリア、この先は少し山道に入るが、山を抜ければ、灯台まではすぐだ」

私は、遠くに見える海を凝視する。

1艘の船が、港に向かっていた。

あの船が、とても大きな汽笛を鳴らすのだ。

私は、馬の体にしがみつき、汽笛に驚かないようにと祈っていた。

「マグノリア、少し登りがきつくなった。馬の負担にならないように降りて歩こう」

ペリウィンクル殿下が、馬から降りるように言ってくる。

私たちが馬から降りると、お供の方も馬から降りた。

しばらくすると、海から大きな汽笛の音がする。

汽笛の音に驚いた馬が暴れたが、ペリウィンクル殿下が馬をなだめて落ち着かせる。

ペリウィンクル殿下は、馬の首を優しく撫でていた。

「マグノリア、そろそろ登り坂も終る。ここからは、また馬に乗って行こう」

私たちは、再び馬に乗り山道を下り始めた。

山道を抜け、しばらく進むと港が見えてくる。

港には、先ほど大きな汽笛を鳴らした船が入っていた。

「さっきの汽笛は、この船だな。大きな汽笛だったな、マグノリア」

ペリウィンクル殿下は、灯台に向けて馬を走らせながら言った。

やがて、私たちは灯台へと着いた。

「これが昨日見た灯台だ、マグノリア」

「ペリウィンクル殿下。思っていたより大きいのですね。バルコニーから見たら、それほど大きくないと思っていたのに」

私の言葉に、ペリウィンクル殿下は微笑む。

「そうだな、バルコニーから見るのと、実際に見るのでは違うからな。これからも、いろんなところに2人で行くとしよう」

私たちは、潮の匂いをかぎながら、しばらく海を見ていた。

「さあ、そろそろ帰ろう。あまり遅くなると、いろいろと言われるからな」

私は、お供の方が差し出した補助具を使って馬の背に乗る。

ペリウィンクル殿下が、私の後に座る。

私たちは、王宮に向かって戻り始めた。
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