12 / 13
第4章 遠出
2
しおりを挟む
「マグノリア、しっかり掴まっていろ」
ペリウィンクル殿下が、私の背中越しに声を掛けてくる。
ペリウィンクル殿下は、私を背中から抱くようにして馬の手綱を握っている。
私は、ペリウィンクル殿下と同じ馬に乗っていた。
「ペリウィンクル殿下、私たち2人が乗っても、馬は大丈夫なのでしょうか」
「大丈夫だ、問題ない。少し速度を上げるぞ」
ペリウィンクル殿下は、馬の脇を軽く踵で叩く。
私たちは、朝早くから、昨日バルコニーから見た灯台に向けて馬を走らせていた。
ペリウィンクル殿下の意向で、お供の方も少数に留められている。
「見ろ、海が見えるだろう、潮の匂いもしてきた。マグノリア、この先は少し山道に入るが、山を抜ければ、灯台まではすぐだ」
私は、遠くに見える海を凝視する。
1艘の船が、港に向かっていた。
あの船が、とても大きな汽笛を鳴らすのだ。
私は、馬の体にしがみつき、汽笛に驚かないようにと祈っていた。
「マグノリア、少し登りがきつくなった。馬の負担にならないように降りて歩こう」
ペリウィンクル殿下が、馬から降りるように言ってくる。
私たちが馬から降りると、お供の方も馬から降りた。
しばらくすると、海から大きな汽笛の音がする。
汽笛の音に驚いた馬が暴れたが、ペリウィンクル殿下が馬をなだめて落ち着かせる。
ペリウィンクル殿下は、馬の首を優しく撫でていた。
「マグノリア、そろそろ登り坂も終る。ここからは、また馬に乗って行こう」
私たちは、再び馬に乗り山道を下り始めた。
山道を抜け、しばらく進むと港が見えてくる。
港には、先ほど大きな汽笛を鳴らした船が入っていた。
「さっきの汽笛は、この船だな。大きな汽笛だったな、マグノリア」
ペリウィンクル殿下は、灯台に向けて馬を走らせながら言った。
やがて、私たちは灯台へと着いた。
「これが昨日見た灯台だ、マグノリア」
「ペリウィンクル殿下。思っていたより大きいのですね。バルコニーから見たら、それほど大きくないと思っていたのに」
私の言葉に、ペリウィンクル殿下は微笑む。
「そうだな、バルコニーから見るのと、実際に見るのでは違うからな。これからも、いろんなところに2人で行くとしよう」
私たちは、潮の匂いをかぎながら、しばらく海を見ていた。
「さあ、そろそろ帰ろう。あまり遅くなると、いろいろと言われるからな」
私は、お供の方が差し出した補助具を使って馬の背に乗る。
ペリウィンクル殿下が、私の後に座る。
私たちは、王宮に向かって戻り始めた。
ペリウィンクル殿下が、私の背中越しに声を掛けてくる。
ペリウィンクル殿下は、私を背中から抱くようにして馬の手綱を握っている。
私は、ペリウィンクル殿下と同じ馬に乗っていた。
「ペリウィンクル殿下、私たち2人が乗っても、馬は大丈夫なのでしょうか」
「大丈夫だ、問題ない。少し速度を上げるぞ」
ペリウィンクル殿下は、馬の脇を軽く踵で叩く。
私たちは、朝早くから、昨日バルコニーから見た灯台に向けて馬を走らせていた。
ペリウィンクル殿下の意向で、お供の方も少数に留められている。
「見ろ、海が見えるだろう、潮の匂いもしてきた。マグノリア、この先は少し山道に入るが、山を抜ければ、灯台まではすぐだ」
私は、遠くに見える海を凝視する。
1艘の船が、港に向かっていた。
あの船が、とても大きな汽笛を鳴らすのだ。
私は、馬の体にしがみつき、汽笛に驚かないようにと祈っていた。
「マグノリア、少し登りがきつくなった。馬の負担にならないように降りて歩こう」
ペリウィンクル殿下が、馬から降りるように言ってくる。
私たちが馬から降りると、お供の方も馬から降りた。
しばらくすると、海から大きな汽笛の音がする。
汽笛の音に驚いた馬が暴れたが、ペリウィンクル殿下が馬をなだめて落ち着かせる。
ペリウィンクル殿下は、馬の首を優しく撫でていた。
「マグノリア、そろそろ登り坂も終る。ここからは、また馬に乗って行こう」
私たちは、再び馬に乗り山道を下り始めた。
山道を抜け、しばらく進むと港が見えてくる。
港には、先ほど大きな汽笛を鳴らした船が入っていた。
「さっきの汽笛は、この船だな。大きな汽笛だったな、マグノリア」
ペリウィンクル殿下は、灯台に向けて馬を走らせながら言った。
やがて、私たちは灯台へと着いた。
「これが昨日見た灯台だ、マグノリア」
「ペリウィンクル殿下。思っていたより大きいのですね。バルコニーから見たら、それほど大きくないと思っていたのに」
私の言葉に、ペリウィンクル殿下は微笑む。
「そうだな、バルコニーから見るのと、実際に見るのでは違うからな。これからも、いろんなところに2人で行くとしよう」
私たちは、潮の匂いをかぎながら、しばらく海を見ていた。
「さあ、そろそろ帰ろう。あまり遅くなると、いろいろと言われるからな」
私は、お供の方が差し出した補助具を使って馬の背に乗る。
ペリウィンクル殿下が、私の後に座る。
私たちは、王宮に向かって戻り始めた。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
たとえこの想いが届かなくても
白雲八鈴
恋愛
恋に落ちるというのはこういう事なのでしょうか。ああ、でもそれは駄目なこと、目の前の人物は隣国の王で、私はこの国の王太子妃。報われぬ恋。たとえこの想いが届かなくても・・・。
王太子は愛妾を愛し、自分はお飾りの王太子妃。しかし、自分の立場ではこの思いを言葉にすることはできないと恋心を己の中に押し込めていく。そんな彼女の生き様とは。
*いつもどおり誤字脱字はほどほどにあります。
*主人公に少々問題があるかもしれません。(これもいつもどおり?)
さようなら、わたくしの騎士様
夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。
その時を待っていたのだ。
クリスは知っていた。
騎士ローウェルは裏切ると。
だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
結婚して5年、初めて口を利きました
宮野 楓
恋愛
―――出会って、結婚して5年。一度も口を聞いたことがない。
ミリエルと旦那様であるロイスの政略結婚が他と違う点を挙げよ、と言えばこれに尽きるだろう。
その二人が5年の月日を経て邂逅するとき
妻のち愛人。
ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。
「ねーねー、ロナぁー」
甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。
そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる