リトル英雄

恐怖

ヒーロー社会人
相変わらずヤマハの主催レースは続いていたがレベルも上がりスプリントレースは参加台数も増えジュニアクラスとノービスクラスと２クラスになった。
ヒーローはジュニアクラスだったが最高で3位に入るのがやっとになっていた。
全体的にレベルも上がったがヒーローより速い連中は18歳前後の若い人達だった。
この頃からチームの数人は筑波サーキットで走り始めていた。
ヒーローも時々筑波サーキットで走っていた。
ミニバイクレースとは違い体重差はさほど影響は無かった。
ヒーローはＳＰ２５０クラスでＴＺＲ２５０で練習をしていた。
他のチームメンバーはノービス２５０とＳＰ１２５クラスで練習をしていた。
ある日の練習走行中にヒーローはちょっとした違和感が頭をよぎった。
今までは１秒でも速く走る事を考えて走っていた。
例えばブレーキングポイントはどこまで遅れさせるとか、アクセルはどこから全開にするとか試行錯誤をしていた。
ライン取りを変えて前走者を抜くとか色々考えて走っていた。
ヒーローが感じた違和感とは「怖い」だった。
常に怖い訳では無く、時々怖いと感じる事が有った。
ヒーローが全盛期にある人から言われた事を思い出した。
「バイクのレースは怖いと思ったら終わりにした方が良い」だった。
ヒーローの本格的なレース活動がここで終わった。