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ー光ー 第十章 鬼使神差
第百四十七話 神王と鬼神王の決戦
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昔......それは天俊杰が亡くなり、桜雲天国が持ち直したぐらいの時だ。
草沐阳の助けがあったと聞き、美梓豪は桜雲天国にきて草沐阳と話した。
その時に剣術について学んだのだろう。
天光琳より腕は劣るが、今の天光琳は左手で戦っている。
それに天光琳は大量出血でフラフラしている。天光琳にしては一撃が軽い。
だがそれでも強い。
美梓豪は天光琳に攻撃をするのではなく、自分の身を守るだけだった。
攻撃しなくても、天光琳は大量出血でいずれ倒れる。
それを狙っているのだ。
天光琳はその狙いに気づかず、容赦なく攻撃する。
激しい動きをすればするほど、血が流れるというのに、それでも攻撃をする。
「光琳!思い出せ!皆のことを、お前を大切に思ってくれた仲間たちのことを!」
「知らない!知らない知らない!!」
天光琳の動きはさらに速くなった......が。
美梓豪の剣に三回ぶつけたぐらいで、天光琳はフラっと後ろにふらついた。
もう立つのもきつくなってきたようで、剣を地面に刺し、体重をかけている。
シュヴェルツェはまだ神々と戦っているようで、天光琳が危険だということに気づいていない。
「......くそ...」
天光琳は頭を抑えている。
目眩がしてきたようだ。
これはいつ倒れてもおかしくない。
「光琳!」
美梓豪は倒れそうな天光琳を支えに行こうと走った。
......と、美梓豪がすぐ近くまで来たその時。
天光琳は勢いよく剣を抜き、美梓豪に突き刺した。
美梓豪は剣で防ごうとしたが遅かった。
天光琳の剣は美梓豪の胸元に刺さっている。
「梓豪様!」
美梓豪が刺されていることに気づいた神がそう叫ぶと皆は美梓豪たちの方を見た。
天光琳が勢いよく剣を抜くと、美梓豪は地面に倒れ込んだ。
シュヴェルツェは神々がよそを向いている隙に狙おうとしたが、天光琳が今にでも倒れそうな姿を見て、天光琳の方へ向かった。
しかし途中で神々が攻撃してきた。
「どけ」
「梓豪様に近づくな!!」
神々はどかなかった。
数名が美梓豪のところへいき、残りはシュヴェルツェと戦う。
神々の数は三十神ほどだろうか。
シュヴェルツェにとって三十神なんて余裕なのだが、時間がかかる。
今すぐに助けに行きたいのだが、これでは難しそうだ。
天光琳はふらつきながらも、助けに来た神々を剣で斬っていく。そして助けに来た神は一瞬で皆殺されてしまった。
「光琳......やめるんだ......」
意識が朦朧とするなか、美梓豪は傷口を押さえながら天光琳の元へ近づいていく。
立ち上がれず、産まれたばかりの赤子のような姿勢で向かっていく。
そして剣を抜き......後ろから天光琳の左腕を剣で刺した。
同時に、天光琳は振り返り、美梓豪の腹部を刺した。
「梓豪様!」「光琳様!」
シュヴェルツェたちは攻撃をやめ、二神を見た。
神王と鬼神王は同時に倒れた。
美梓豪の意識は無い。
天光琳は少し意識があるようで、左手を動かし、起き上がろうとした。
......が。
左手は刺されてしまったため、起き上がろうと体重をかけるとドッと滝のように血が流れていく。
天光琳の頭は真っ白になった。目眩がする。
そして......
いち早く二神に気づいたある一神が、美梓豪の剣を持ち、後ろから天光琳の心臓がある部分を突き刺した。
「っ!」
目の前は真っ赤に染まったと思ったら急に暗くなった。
そして「光琳様!」と叫ぶ声がどんどん小さくなっていく。
(......僕は......死んだのかな......)
もう何も見えない。何も聞こえない。
先程までの強い痛みも感じなくなった。
『幸せ』とは何だったのだろう。
『幸せ』を求めてきたのに、結局『幸せ』とは出会えなかった。
(疲れたな......。)
天光琳はもう目を開かなかった。
神王と鬼神王は並んで倒れている。
神王は死んだ。
鬼神王は......どうなったのか、神々は知らない。
・-・・ ・・-・- -・・・ --・-- ・・・-
暗闇の中、星々が流れる。
星々は輝いたり、消えたりする。
・-・・ ・・-・- -・・・ --・-- ・・・-
暗闇の中、途切れどぎれの音が聞こえる。
-・-・・ --・-・ --・-・ ・-・-・ -・-・- ・---
この光は......この音はなにを意味している?
・--・ ・・・- --・ -・ ・・ --・-・ -・ ・・-- -・・・
よく分からない。
だが、いずれ知ることになるだろう。
・-・・ ・・-・- -・ ・・
そして光と音は消え、真っ暗な闇に包まれた。
-・・・- ・--- -・-・- -・・- --・-・ ・-・--
鬼使神差 第一節 ー光ー 【完】
草沐阳の助けがあったと聞き、美梓豪は桜雲天国にきて草沐阳と話した。
その時に剣術について学んだのだろう。
天光琳より腕は劣るが、今の天光琳は左手で戦っている。
それに天光琳は大量出血でフラフラしている。天光琳にしては一撃が軽い。
だがそれでも強い。
美梓豪は天光琳に攻撃をするのではなく、自分の身を守るだけだった。
攻撃しなくても、天光琳は大量出血でいずれ倒れる。
それを狙っているのだ。
天光琳はその狙いに気づかず、容赦なく攻撃する。
激しい動きをすればするほど、血が流れるというのに、それでも攻撃をする。
「光琳!思い出せ!皆のことを、お前を大切に思ってくれた仲間たちのことを!」
「知らない!知らない知らない!!」
天光琳の動きはさらに速くなった......が。
美梓豪の剣に三回ぶつけたぐらいで、天光琳はフラっと後ろにふらついた。
もう立つのもきつくなってきたようで、剣を地面に刺し、体重をかけている。
シュヴェルツェはまだ神々と戦っているようで、天光琳が危険だということに気づいていない。
「......くそ...」
天光琳は頭を抑えている。
目眩がしてきたようだ。
これはいつ倒れてもおかしくない。
「光琳!」
美梓豪は倒れそうな天光琳を支えに行こうと走った。
......と、美梓豪がすぐ近くまで来たその時。
天光琳は勢いよく剣を抜き、美梓豪に突き刺した。
美梓豪は剣で防ごうとしたが遅かった。
天光琳の剣は美梓豪の胸元に刺さっている。
「梓豪様!」
美梓豪が刺されていることに気づいた神がそう叫ぶと皆は美梓豪たちの方を見た。
天光琳が勢いよく剣を抜くと、美梓豪は地面に倒れ込んだ。
シュヴェルツェは神々がよそを向いている隙に狙おうとしたが、天光琳が今にでも倒れそうな姿を見て、天光琳の方へ向かった。
しかし途中で神々が攻撃してきた。
「どけ」
「梓豪様に近づくな!!」
神々はどかなかった。
数名が美梓豪のところへいき、残りはシュヴェルツェと戦う。
神々の数は三十神ほどだろうか。
シュヴェルツェにとって三十神なんて余裕なのだが、時間がかかる。
今すぐに助けに行きたいのだが、これでは難しそうだ。
天光琳はふらつきながらも、助けに来た神々を剣で斬っていく。そして助けに来た神は一瞬で皆殺されてしまった。
「光琳......やめるんだ......」
意識が朦朧とするなか、美梓豪は傷口を押さえながら天光琳の元へ近づいていく。
立ち上がれず、産まれたばかりの赤子のような姿勢で向かっていく。
そして剣を抜き......後ろから天光琳の左腕を剣で刺した。
同時に、天光琳は振り返り、美梓豪の腹部を刺した。
「梓豪様!」「光琳様!」
シュヴェルツェたちは攻撃をやめ、二神を見た。
神王と鬼神王は同時に倒れた。
美梓豪の意識は無い。
天光琳は少し意識があるようで、左手を動かし、起き上がろうとした。
......が。
左手は刺されてしまったため、起き上がろうと体重をかけるとドッと滝のように血が流れていく。
天光琳の頭は真っ白になった。目眩がする。
そして......
いち早く二神に気づいたある一神が、美梓豪の剣を持ち、後ろから天光琳の心臓がある部分を突き刺した。
「っ!」
目の前は真っ赤に染まったと思ったら急に暗くなった。
そして「光琳様!」と叫ぶ声がどんどん小さくなっていく。
(......僕は......死んだのかな......)
もう何も見えない。何も聞こえない。
先程までの強い痛みも感じなくなった。
『幸せ』とは何だったのだろう。
『幸せ』を求めてきたのに、結局『幸せ』とは出会えなかった。
(疲れたな......。)
天光琳はもう目を開かなかった。
神王と鬼神王は並んで倒れている。
神王は死んだ。
鬼神王は......どうなったのか、神々は知らない。
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暗闇の中、星々が流れる。
星々は輝いたり、消えたりする。
・-・・ ・・-・- -・・・ --・-- ・・・-
暗闇の中、途切れどぎれの音が聞こえる。
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この光は......この音はなにを意味している?
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よく分からない。
だが、いずれ知ることになるだろう。
・-・・ ・・-・- -・ ・・
そして光と音は消え、真っ暗な闇に包まれた。
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鬼使神差 第一節 ー光ー 【完】
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