132 / 184
ー光ー 第十章 鬼使神差
第百三十一話 お兄様
しおりを挟む
「お姉様!!」
二神がそこへ行くと、ドロドロの生物に掴まれ血を流している天李偉とそばでしゃがみこんでいる天李静の姿が見えた。
「......光琳......?」
「え......?」
天李偉がそう言うと天李静は振り返った。
そして天李静は立ち上がって走ってきた。
「光琳お兄様、助けて!!」
「......」
天李静は泣きながら天光琳の服の袖を引っ張った。
しかし天光琳は黙って天李静を見つめた。
「光琳お兄様......お姉様を助けて......」
天李偉は今にでも死にそうだ。
すると天光琳は天李偉の方へ歩いていった。
「光琳......」
「......」
天光琳が近づくと、ドロドロの生物は天李偉を離した。
天李静は助けてくれたのだと安心した。......が。
天光琳は近くで倒れていた護衛神や桜雲天国の神々の手足に糸を付け、操った。
既に死んでいるため、動きが人形のようだった。
そして天光琳は操っている者に悪神の力で作った剣を持たせた。
「......光琳お兄様......なにを......」
すると操られた護衛神は天李偉を襲いかかった。
天李偉は悲鳴をあげる。
「やめて!」
天李静は足が動かず目を閉じた。
今姉はどうなっているのだろうか。
「......光...琳.........あなたを...いじ、めて......ごめんなさい......」
「......」
天光琳はどうせ嘘なんだろう。とりあえず謝っておこうと思って謝っているのだと思った。
天李偉が謝るわけが無い。
そのため、天光琳は聞き流した。
すると天李偉は悔しそうに涙を浮かべた。
「...光...琳......」
そう言って天李偉は目を閉じた。
もう悪口を聞くことは無いだろう。
今まで悪口を言ってきた天李偉は死んだのだから。
そして次は天李静の方をむく。
天李静は酷く震えている。
「どう...して......」
天李静は"鬼使神差"という説話のことはあまり知らない。そのため天光琳が鬼神に操られているなど思っていない。
これはいつも通りの天光琳なのだと思っていた。
しかし違った。
目の前で姉を殺したのだ。
「光琳お兄様......どうしてこんなことをするの...?」
天李静がそう言うと、天光琳は右手を握りしめた。
すると天李偉を襲っていた操られている神々は天李静の方を目掛けて襲ってきた。
「いやっ!!」
しかしもう遅かった。
天李静は喉を剣で突き刺され何も喋れなくなってしまった。
「......、......、!!」
喋ろうとする度口から血が流れてくる。
そして苦しい。息が出来ないのだ。
天光琳は天李静に背を向け、ずっと黙ってそばにいた落暗と共に歩きだした。
天李静はゆっくり立ち上がりフラフラと天光琳について行こうとしたが、落ちていた護衛神の鎧に躓き転んでしまった。
転んだ時に口から大量の血を吐き出したが、それでも何度もついて行こうとする。
すると天光琳は天李静に背を向けたまま右手を動かすと、天李静の首元に糸が絡みついた。
そして......天李静は倒れた。
首を取る前に大量出血で意識を失った。
ここでトドメを刺さなくても時期に死ぬだろう。
天光琳は糸を消し、歩いていった。
目の前でどんどん建物が崩れていき、そこに隠れていた神はドロドロの生物たちに食べられたり殺されたりしていく。
しかし天光琳はなんとも思わなかった。
そしてある目的地へ進んでいる。
そこは......天桜山だ。
二神がそこへ行くと、ドロドロの生物に掴まれ血を流している天李偉とそばでしゃがみこんでいる天李静の姿が見えた。
「......光琳......?」
「え......?」
天李偉がそう言うと天李静は振り返った。
そして天李静は立ち上がって走ってきた。
「光琳お兄様、助けて!!」
「......」
天李静は泣きながら天光琳の服の袖を引っ張った。
しかし天光琳は黙って天李静を見つめた。
「光琳お兄様......お姉様を助けて......」
天李偉は今にでも死にそうだ。
すると天光琳は天李偉の方へ歩いていった。
「光琳......」
「......」
天光琳が近づくと、ドロドロの生物は天李偉を離した。
天李静は助けてくれたのだと安心した。......が。
天光琳は近くで倒れていた護衛神や桜雲天国の神々の手足に糸を付け、操った。
既に死んでいるため、動きが人形のようだった。
そして天光琳は操っている者に悪神の力で作った剣を持たせた。
「......光琳お兄様......なにを......」
すると操られた護衛神は天李偉を襲いかかった。
天李偉は悲鳴をあげる。
「やめて!」
天李静は足が動かず目を閉じた。
今姉はどうなっているのだろうか。
「......光...琳.........あなたを...いじ、めて......ごめんなさい......」
「......」
天光琳はどうせ嘘なんだろう。とりあえず謝っておこうと思って謝っているのだと思った。
天李偉が謝るわけが無い。
そのため、天光琳は聞き流した。
すると天李偉は悔しそうに涙を浮かべた。
「...光...琳......」
そう言って天李偉は目を閉じた。
もう悪口を聞くことは無いだろう。
今まで悪口を言ってきた天李偉は死んだのだから。
そして次は天李静の方をむく。
天李静は酷く震えている。
「どう...して......」
天李静は"鬼使神差"という説話のことはあまり知らない。そのため天光琳が鬼神に操られているなど思っていない。
これはいつも通りの天光琳なのだと思っていた。
しかし違った。
目の前で姉を殺したのだ。
「光琳お兄様......どうしてこんなことをするの...?」
天李静がそう言うと、天光琳は右手を握りしめた。
すると天李偉を襲っていた操られている神々は天李静の方を目掛けて襲ってきた。
「いやっ!!」
しかしもう遅かった。
天李静は喉を剣で突き刺され何も喋れなくなってしまった。
「......、......、!!」
喋ろうとする度口から血が流れてくる。
そして苦しい。息が出来ないのだ。
天光琳は天李静に背を向け、ずっと黙ってそばにいた落暗と共に歩きだした。
天李静はゆっくり立ち上がりフラフラと天光琳について行こうとしたが、落ちていた護衛神の鎧に躓き転んでしまった。
転んだ時に口から大量の血を吐き出したが、それでも何度もついて行こうとする。
すると天光琳は天李静に背を向けたまま右手を動かすと、天李静の首元に糸が絡みついた。
そして......天李静は倒れた。
首を取る前に大量出血で意識を失った。
ここでトドメを刺さなくても時期に死ぬだろう。
天光琳は糸を消し、歩いていった。
目の前でどんどん建物が崩れていき、そこに隠れていた神はドロドロの生物たちに食べられたり殺されたりしていく。
しかし天光琳はなんとも思わなかった。
そしてある目的地へ進んでいる。
そこは......天桜山だ。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
妹と人生を入れ替えました〜皇太子さまは溺愛する相手をお間違えのようです〜
鈴宮(すずみや)
恋愛
「俺の妃になって欲しいんだ」
従兄弟として育ってきた憂炎(ゆうえん)からそんなことを打診された名家の令嬢である凛風(りんふぁ)。
実は憂炎は、嫉妬深い皇后の手から逃れるため、後宮から密かに連れ出された現皇帝の実子だった。
自由を愛する凛風にとって、堅苦しい後宮暮らしは到底受け入れられるものではない。けれど憂炎は「妃は凛風に」と頑なで、考えを曲げる様子はなかった。
そんな中、凛風は双子の妹である華凛と入れ替わることを思い付く。華凛はこの提案を快諾し、『凛風』として入内をすることに。
しかし、それから数日後、今度は『華凛(凛風)』に対して、憂炎の補佐として出仕するようお達しが。断りきれず、渋々出仕した華凛(凛風)。すると、憂炎は華凛(凛風)のことを溺愛し、籠妃のように扱い始める。
釈然としない想いを抱えつつ、自分の代わりに入内した華凛の元を訪れる凛風。そこで凛風は、憂炎が入内以降一度も、凛風(華凛)の元に一度も通っていないことを知る。
『だったら最初から『凛風』じゃなくて『華凛』を妃にすれば良かったのに』
憤る凛風に対し、華凛が「三日間だけ元の自分戻りたい」と訴える。妃の任を押し付けた負い目もあって、躊躇いつつも華凛の願いを聞き入れる凛風。しかし、そんな凛風のもとに憂炎が現れて――――。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる