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ー光ー 第九章 鬼神と無能神様
第百十八話 体力が
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夕食後、皆は席に着いたまま、鬼神について話すことにした。
「......現れたか」
天光琳は違和感を覚えた。天宇軒は驚かず、まるで知っていたかのように見えた。
「光琳はしばらく外出を控えた方が良いわね」
天光琳は頷いた。そうなるだろうと思っていた。
しかし修行と稽古ができなくなると思うと、悔しくなる。
早く鬼神を倒さなければ............いや、倒しても意味がないのではないか?
天光琳がいる限り消えることはない......ということは......
(僕が死ななければ鬼神は死なない......)
天光琳は顔が真っ青になり、震えが止まらなくなった。
自分はどうするべきなのか、分からなかった。いや、分かるが、分からない......ということにしたい。だって......自分が消えれば皆幸せになるのだから。天光琳は消えなければいけない。
(なんで僕ばっかりこんなことになるんだろう......)
まだ生きたい。生きて神の力が使えるようになって幸せな生活を送りたい。
皆と笑い合いたい。
昔のように皆と喋って楽しみたい。
(...どうすれば......)
「とりあえず今日はもう解散だ」
「...え?」
皆は驚いた。まだ始まって数分しか経っていない。
こんな大切な話......天光琳の命がかかっている話だと言うのにもう終わりにするのか?
......もしかしたら天宇軒は天光琳のことを大切に思っていないのかもしれない。
いや、そもそも既に大切な息子だと思われていないだろう。
天光琳はそう思った。
(僕はいらない子なんだよね)
そう思った。
......と、いきなり扉付近に立っていた波浪が走ってきた。
何事かと思った瞬間、視線の端からふらっと何者かが倒れるのが見えた。
それは天宇軒だった。
波浪は何とか天宇軒を受け止め、地面と接触するのを防いだ。
「宇軒様!?」
「すまない......」
天宇軒の意識はあるそうだ。
「父上!」「貴方......!」
「......立ちくらみしただけだ」
そう言って天宇軒はゆっくりと立ち上がった。しかし疲れ切り、もう体力がないように見える。
恐らく昨晩も塔へ行っていたのだろう。
「貴方......無理しすぎよ......」
「兄上......まさかまだ神の力をたくさん使っているのですか?......いつ...そんなに使っているのか分かりませんが仕事がきついようでしたら手伝いますのに......」
どうやら皆、天宇軒が夜中に塔へ行っていることを知らないのだろう。
......いや、天麗華は知っているのか?
天宇軒のそばで何か話しているように見える。小さい声で話しているため、全く聞こえない。
天光琳は知っているが黙っておくことにした。
......しかしなぜ夜中まで追い込んで人間の願いを叶える必要があるのだろうか。
能力をたくさん手に入れたいのか?それとも天光琳が評価下げているからそれを補うためか?
「問題ない。波浪、行くぞ」
「は......はい......」
そう言って天宇軒と波浪は食事部屋から去っていった。
「私も行くわね」
天麗華は焦った様子で急いで部屋を出た。
天宇軒のところに行くのかもしれない。
「...大丈夫かな......宇軒様......」
いつの間にか後ろに天俊熙が立っていた。
「大丈夫......だといいけど......」
「......現れたか」
天光琳は違和感を覚えた。天宇軒は驚かず、まるで知っていたかのように見えた。
「光琳はしばらく外出を控えた方が良いわね」
天光琳は頷いた。そうなるだろうと思っていた。
しかし修行と稽古ができなくなると思うと、悔しくなる。
早く鬼神を倒さなければ............いや、倒しても意味がないのではないか?
天光琳がいる限り消えることはない......ということは......
(僕が死ななければ鬼神は死なない......)
天光琳は顔が真っ青になり、震えが止まらなくなった。
自分はどうするべきなのか、分からなかった。いや、分かるが、分からない......ということにしたい。だって......自分が消えれば皆幸せになるのだから。天光琳は消えなければいけない。
(なんで僕ばっかりこんなことになるんだろう......)
まだ生きたい。生きて神の力が使えるようになって幸せな生活を送りたい。
皆と笑い合いたい。
昔のように皆と喋って楽しみたい。
(...どうすれば......)
「とりあえず今日はもう解散だ」
「...え?」
皆は驚いた。まだ始まって数分しか経っていない。
こんな大切な話......天光琳の命がかかっている話だと言うのにもう終わりにするのか?
......もしかしたら天宇軒は天光琳のことを大切に思っていないのかもしれない。
いや、そもそも既に大切な息子だと思われていないだろう。
天光琳はそう思った。
(僕はいらない子なんだよね)
そう思った。
......と、いきなり扉付近に立っていた波浪が走ってきた。
何事かと思った瞬間、視線の端からふらっと何者かが倒れるのが見えた。
それは天宇軒だった。
波浪は何とか天宇軒を受け止め、地面と接触するのを防いだ。
「宇軒様!?」
「すまない......」
天宇軒の意識はあるそうだ。
「父上!」「貴方......!」
「......立ちくらみしただけだ」
そう言って天宇軒はゆっくりと立ち上がった。しかし疲れ切り、もう体力がないように見える。
恐らく昨晩も塔へ行っていたのだろう。
「貴方......無理しすぎよ......」
「兄上......まさかまだ神の力をたくさん使っているのですか?......いつ...そんなに使っているのか分かりませんが仕事がきついようでしたら手伝いますのに......」
どうやら皆、天宇軒が夜中に塔へ行っていることを知らないのだろう。
......いや、天麗華は知っているのか?
天宇軒のそばで何か話しているように見える。小さい声で話しているため、全く聞こえない。
天光琳は知っているが黙っておくことにした。
......しかしなぜ夜中まで追い込んで人間の願いを叶える必要があるのだろうか。
能力をたくさん手に入れたいのか?それとも天光琳が評価下げているからそれを補うためか?
「問題ない。波浪、行くぞ」
「は......はい......」
そう言って天宇軒と波浪は食事部屋から去っていった。
「私も行くわね」
天麗華は焦った様子で急いで部屋を出た。
天宇軒のところに行くのかもしれない。
「...大丈夫かな......宇軒様......」
いつの間にか後ろに天俊熙が立っていた。
「大丈夫......だといいけど......」
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