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ー光ー 第九章 鬼神と無能神様
第百十七話 悪現る
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「どういうこと......」
「さぁ、どういうことだと思う?......言ったら...光琳様は自分を責めて自分を殺してしまうかもしれないからなぁ......"まだ"教えないよ」
自分を殺してしまう.....どういうことだろうか。
そして『まだ』教えない......ということは何か企んでいるのではないか?
......と。
「光琳のせいで悪神が存在するのなら、光琳を殺してしまえば良い!」
「無能神様なんていらないわ!!」
「......!?」
街にいた神々は声を揃えてそう叫んだ。
中には泣いているものもいる。恐らく先程ドロドロの生物に家族が殺されたのだろう。
「何言ってるんだ!?」
千秋は必死に皆にそう言ったが、皆は聞かない。
「ほぉ......。光琳様可哀想......。光琳様、どうですか?コイツら......"殺しちゃいませんか"?」
鬼神がそう言うと皆は顔を青ざめ黙り込んだ。
天光琳はその様子を見てふと嫌なことを思ってしまった。
(悪神といれば......僕は...笑われたりしない......?)
無敵だ。みなからもう笑われなくて済む。誰も天光琳をバカに出来ないのだ。だって......馬鹿にされたら殺せばよいのだから。
......いや、何を言っている?
そんなの許されることなのか?
そんなことしたらどうなる......恐らく、天俊熙や天麗華、千秋など大切な仲間は離れていくだろう。
そんなのは良くない。
「殺さない......お前の仲間にもならない......!」
「......そうか。ではまだ足りないか」
足りないとはどういうことだろう。
すると、鬼神はフッと消えていった。
鬼神がいなくなったのを確認すると、先程まで黙り込んでいた神々は再び怒鳴り出した。
「光琳を殺せ!」
「殺される前に殺すのよ!」
「国のお荷物だし、ちょうど良いだろ!」
「私の娘を返して!!」
天光琳は立ち尽くした。
なぜが逃げる気がしなかった。
このままでは殺されてしまう。
しかし脚が動かないのだ。......怖いとかでは無い。心のどこかに逃げようとしない自分がいるのだ。
死にたくない、殺されたくない......しかし自分がいるから鬼神は存在する......ならば.........。
「光琳!!」
すると何者かが天光琳の腕を引っ張った。
......はぐれていた天俊熙だ。
そして天李静もいた。
天俊熙は天光琳の腕を引っ張りながら走っていく。
気のせいだろうか。天俊熙の手はすごく震えているように感じた。
「待って!」
千秋も後ろから追いかけてきた。
神通りの少ない所へ移動すると、天俊熙は天光琳の腕を離し、千秋の方を見た。
「お前......なんでついてきた!?」
「俊熙、千秋くんは大丈夫だよ」
天光琳がそう言ったのなら大丈夫だろう。
しかし天俊熙はまだ納得していないようだ
。
「俊熙、この神は大丈夫だと思うよ。さっきだって......光琳と一緒に戦ってたし」
天李静もそう言うと、天俊熙は千秋に対する警戒を緩めた。
「それにしてもお前、なんで逃げなかった......」
「分からない」
天光琳は下を向いたまま言った。
それ以外何も言わなかった。
天光琳自身もよく分かっていないのだ。なぜあの時逃げられなかったのか。
「とりあえずもう暗くなるから城に戻ろう。......千秋」
「......はい」
千秋は天俊熙が怖いようで小さな声で返事をした。
昔はそんなこと無かったのだが、今の天俊熙はなんだか怖く感じる。
「毒針は?」
「あれには毒は入ってないし、捨てたからもう持ってないよ。それに、もう光琳と俊熙とは前みたいに戻りたいから......もう傷つけたりはしない」
千秋は真剣な顔で言ったため、天俊熙は千秋を信じることにした。
「俊熙、行こ」
三神は千秋と別れ、城に戻って行った。
千秋は三神の姿を眺めていた。
......すると。
「やっぱり怪しいと思ったよ」
「......!?」
千秋は驚き、振り返った。
すると睿、填可、明貴が立っていた。
いつからいたのだろうか。
「睿......」
「光琳を殺せと言ったはずだ。俺たちは光琳のせいでどれだけ苦しい思いをしてきたのか、知らないのか!?」
睿はそう言って千秋の頬を殴った。
そして胸ぐらを掴んだ。
「アイツのせいなんだよ!?俺の母さんが死んだのはっ!!」
睿の母はもう死んだのか?そんなの知らない。
「昔......俺の母さんは光琳のことを可愛がっていた。それで光琳が神の力を使えない無能神様だと言うことがわかった時、天光琳の悪口を言うやつが増えただろ?その時、「母さんは光琳をバカにしないで」と悪口を言っていたやつの前で言った。そしたらどうなったか......俺の母さんまで馬鹿にされるようになったんだよ。それだけじゃない。俺も父さんもだ。......俺の母さんは優しかったからさ......自分のせいだと責めて......亡くなった」
填可、明貴はその事を知っているようだ。
千秋は初耳だ。もしかしたら結構前から疑われていたのかもしれない。
「だからアイツを殺したいんだ。それなのにお前は邪魔をして......」
「邪魔......?僕は別に邪魔なんて」
「うるせえっ!!」
千秋は強く押され、転んでしまった。
別に邪魔はしていない。元々千秋が天光琳と話していた時に割り込んできたのだから。
「お前も殺してやる!填可、明貴!」
睿がそう怒鳴ったが、二神はどうしようか戸惑っているようだ。
「なにしてる!」と睿が振り返って言ったのと同時に、千秋は立ち上がり逃げ出した。
「待て!!」
日は落ちて、辺りは暗い。
直ぐに千秋の姿が見えなくなってしまった。
「さぁ、どういうことだと思う?......言ったら...光琳様は自分を責めて自分を殺してしまうかもしれないからなぁ......"まだ"教えないよ」
自分を殺してしまう.....どういうことだろうか。
そして『まだ』教えない......ということは何か企んでいるのではないか?
......と。
「光琳のせいで悪神が存在するのなら、光琳を殺してしまえば良い!」
「無能神様なんていらないわ!!」
「......!?」
街にいた神々は声を揃えてそう叫んだ。
中には泣いているものもいる。恐らく先程ドロドロの生物に家族が殺されたのだろう。
「何言ってるんだ!?」
千秋は必死に皆にそう言ったが、皆は聞かない。
「ほぉ......。光琳様可哀想......。光琳様、どうですか?コイツら......"殺しちゃいませんか"?」
鬼神がそう言うと皆は顔を青ざめ黙り込んだ。
天光琳はその様子を見てふと嫌なことを思ってしまった。
(悪神といれば......僕は...笑われたりしない......?)
無敵だ。みなからもう笑われなくて済む。誰も天光琳をバカに出来ないのだ。だって......馬鹿にされたら殺せばよいのだから。
......いや、何を言っている?
そんなの許されることなのか?
そんなことしたらどうなる......恐らく、天俊熙や天麗華、千秋など大切な仲間は離れていくだろう。
そんなのは良くない。
「殺さない......お前の仲間にもならない......!」
「......そうか。ではまだ足りないか」
足りないとはどういうことだろう。
すると、鬼神はフッと消えていった。
鬼神がいなくなったのを確認すると、先程まで黙り込んでいた神々は再び怒鳴り出した。
「光琳を殺せ!」
「殺される前に殺すのよ!」
「国のお荷物だし、ちょうど良いだろ!」
「私の娘を返して!!」
天光琳は立ち尽くした。
なぜが逃げる気がしなかった。
このままでは殺されてしまう。
しかし脚が動かないのだ。......怖いとかでは無い。心のどこかに逃げようとしない自分がいるのだ。
死にたくない、殺されたくない......しかし自分がいるから鬼神は存在する......ならば.........。
「光琳!!」
すると何者かが天光琳の腕を引っ張った。
......はぐれていた天俊熙だ。
そして天李静もいた。
天俊熙は天光琳の腕を引っ張りながら走っていく。
気のせいだろうか。天俊熙の手はすごく震えているように感じた。
「待って!」
千秋も後ろから追いかけてきた。
神通りの少ない所へ移動すると、天俊熙は天光琳の腕を離し、千秋の方を見た。
「お前......なんでついてきた!?」
「俊熙、千秋くんは大丈夫だよ」
天光琳がそう言ったのなら大丈夫だろう。
しかし天俊熙はまだ納得していないようだ
。
「俊熙、この神は大丈夫だと思うよ。さっきだって......光琳と一緒に戦ってたし」
天李静もそう言うと、天俊熙は千秋に対する警戒を緩めた。
「それにしてもお前、なんで逃げなかった......」
「分からない」
天光琳は下を向いたまま言った。
それ以外何も言わなかった。
天光琳自身もよく分かっていないのだ。なぜあの時逃げられなかったのか。
「とりあえずもう暗くなるから城に戻ろう。......千秋」
「......はい」
千秋は天俊熙が怖いようで小さな声で返事をした。
昔はそんなこと無かったのだが、今の天俊熙はなんだか怖く感じる。
「毒針は?」
「あれには毒は入ってないし、捨てたからもう持ってないよ。それに、もう光琳と俊熙とは前みたいに戻りたいから......もう傷つけたりはしない」
千秋は真剣な顔で言ったため、天俊熙は千秋を信じることにした。
「俊熙、行こ」
三神は千秋と別れ、城に戻って行った。
千秋は三神の姿を眺めていた。
......すると。
「やっぱり怪しいと思ったよ」
「......!?」
千秋は驚き、振り返った。
すると睿、填可、明貴が立っていた。
いつからいたのだろうか。
「睿......」
「光琳を殺せと言ったはずだ。俺たちは光琳のせいでどれだけ苦しい思いをしてきたのか、知らないのか!?」
睿はそう言って千秋の頬を殴った。
そして胸ぐらを掴んだ。
「アイツのせいなんだよ!?俺の母さんが死んだのはっ!!」
睿の母はもう死んだのか?そんなの知らない。
「昔......俺の母さんは光琳のことを可愛がっていた。それで光琳が神の力を使えない無能神様だと言うことがわかった時、天光琳の悪口を言うやつが増えただろ?その時、「母さんは光琳をバカにしないで」と悪口を言っていたやつの前で言った。そしたらどうなったか......俺の母さんまで馬鹿にされるようになったんだよ。それだけじゃない。俺も父さんもだ。......俺の母さんは優しかったからさ......自分のせいだと責めて......亡くなった」
填可、明貴はその事を知っているようだ。
千秋は初耳だ。もしかしたら結構前から疑われていたのかもしれない。
「だからアイツを殺したいんだ。それなのにお前は邪魔をして......」
「邪魔......?僕は別に邪魔なんて」
「うるせえっ!!」
千秋は強く押され、転んでしまった。
別に邪魔はしていない。元々千秋が天光琳と話していた時に割り込んできたのだから。
「お前も殺してやる!填可、明貴!」
睿がそう怒鳴ったが、二神はどうしようか戸惑っているようだ。
「なにしてる!」と睿が振り返って言ったのと同時に、千秋は立ち上がり逃げ出した。
「待て!!」
日は落ちて、辺りは暗い。
直ぐに千秋の姿が見えなくなってしまった。
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