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ー光ー 第九章 鬼神と無能神様
第百十五話 謝る
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その頃天光琳は。
「......」
天光琳は白い布を被り、桜雲天国の市場の通路の端に立ち尽くし、苦笑いしている。
なぜ苦笑いしているかと言うと......
(俊熙とはぐれた......)
久しぶりに桜の宴に行っていて、その帰りだった。
迷子...ではない。城への帰り方はわかる。
しかし勝手に帰って良いのだろうか。
天俊熙は今頃自分を探してくれているだろう。
だからといってここでずっと立ち尽くす訳にも行かない。もう日が暮れてしまうのだ。
城に帰って天麗華に言い、連絡してもらおう......いや、天麗華は今出かけている。どこに行ったのかは聞いていなかった。
天万姫は今玲瓏美国に帰っている。
帰ってくるのは三日後だ。
天李偉には怖いため頼めないし、天李静は年下に頼むなんて恥ずかしい。
......となると天宇軒しかいない。
天宇軒は前よりゆっくり出来る時間が増えたようだ。恐らく例の仕事が無くなったのだろう。
しかし、天宇軒はまだ疲れているように見える。
まだ夜中に塔に言っているのだろうか?
......話を戻すと、頼めるのは天宇軒しかいない...ということだが......。
天宇軒も怖い。あまり話してこなかったため、どう話せばいいのか、どう頼めば良いのかも分からない。
さらに最近怖くて目も合わせられないのだ。
そんな相手に頼めるか?
(あぁ~~神の力が使えればぁっ!!)
天光琳は悔しくてたまらなかった。
(......?)
天光琳はある神に目が止まった。
あの後ろ姿は......見覚えがある。
千秋だ!
天光琳は走って千秋を追いかけた。
そして
「千秋くん!」
「......えっ......光琳......?!」
天光琳はここであることに気づいた。
(しまった......)
何も考えずに追いかけ、名前を呼んでしまった。
これでは白い布を被っている意味が無い。
天光琳に近くにいた神々の視線が集まった。
天光琳が慌てていると、千秋は「来て!」と言って、天光琳の腕を引っ張って、建物の裏に隠れた。
「あの......千秋くん......」
千秋は黙って下を向いたままだ。
「ごめんなさい......。...庵くんと伽耶斗さんを守れなくて......逆に、こんな僕のためにあの二神は僕を守って酷い目にあった......伽耶斗さんなんて......」
「父上から聞いたの?」
天光琳が言葉につまりながらゆっくり言っていると、千秋が被せて言った。
「庵は僕のこと"千秋(ちあき)"という呼び方しか知らない。だから庵が僕のこと話したとしても、千秋(ちあき)って言っているはずだから、光琳は僕のことだとは知らないはず......それなのに知っているってことは、聞いたんだよね」
天光琳は頷いた。
地下入口から入ったあの日、聞いた。
あの日のことを追い出すと、脚がズキズキと痛むように感じだ。
「ごめんなさい」
「......え?」
天光琳はまさか謝られるとは思っていなかったため驚いた。
何に対して誤っているのだろう。悪いのは自分なのに......
「僕......ずっと謝りたくて......その...光琳を嫌っていたことを......。それと光琳たちが天国に帰ってきたあと直ぐに、僕たち家族は鳳条国に行ったんだ。そして僕は庵と話した。......光琳、謝ってるけどさ......君、何も悪くないじゃん」
天光琳は何を言えばいいのか思いつかず、そのまま話を聞くことにした。
「悪いのは僕の父さんだよ。悪くない光琳を傷つけて怪我をさせた。それで父さんはクビになったんだよ。......そんなの当然じゃん」
最近見ないと思ったらクビになったのか。
天光琳はクビになった聞き、自分のせいでクビになったと言われるのではないかと思ったが違った。
「もう......怪我は治った?」
「え......あ...うん......」
千秋は昔仲良かった時のように心配してくれたため、天光琳は信じられないと小さく返事をした。
「おー千秋!やっぱり光琳といたんだな。よく捕まえた!」
(......え?)
すると、後ろから声が聞こえた。
睿、填可、明貴だ。
天光琳はその三神を見た瞬間焦りだした。
「この前は優しい俊熙が邪魔をしてくれたからさ」
まさか千秋がこんなに優しく接してくれたのも、天光琳を油断させるための罠だったのか?
......ということは千秋は今、毒針を持っているかもしれない。
天光琳は一歩づつ後ろに下がって行った。
「どうした?千秋。光琳を見つけたらその毒針を刺すんじゃなかったのか?」
やはり持っているようだ。
大丈夫。天光琳は逃げ足が早い。この前のように掴まれていないため、逃げれるだろう。
(......あれ...?)
なんと脚が動かなかった。
震えている訳では無い......もしかすると、誰かが神の力を使ったのか!?
千秋は先程とは違い暗い顔で天光琳の方へ向かってきた。
千秋の右手には光が出ている。
狩りが得意な千秋......もしかしたら千秋が脚を麻痺させる能力を持っているのかもしれない。
そしていつの間にか千秋の左手には針があった。
(殺されるの......?)
せっかくここまで頑張ってきたのに、ここで殺されるのか?
......そして千秋が左手をあげ、天光琳に針を刺した。
「......っ!」
「......動かないで」
(......?)
千秋は天光琳の耳元で言った。
痛くない。
......刺されていないのだ。
しかしその瞬間、天光琳の体は凍りついたかのように動けなくなり、体がズシンと重くなった。
そして千秋が針を抜いたように見せかけ、手を引っ込めたあと、天光琳の体をそっと押した。
天光琳は後ろに倒れていった。
手足が動かないまま後ろに倒れる......となると、頭をぶつける可能性がある。
天光琳は絶対に痛いと判断し焦った。
......が。
地面と体が接触する際、ふわりと体が浮いたように感じ、ゆっくりと地面の上に倒れた。
倒れたのに痛くなかった。
天光琳はこの状況に理解出来ず、混乱している。
刺されていないのだが、何故か体が動かない。これは千秋の能力なのか?
「さすがだ千秋!......よし」
睿たちがニヤリと怪しい笑を浮かべ、歩いてきた。
逃げたいのだが逃げられない。
せめて千秋が麻痺の能力を解いてくれれば良いのだが......。
すると、千秋は天光琳と睿たちの間に立った。
「あのさ......前......言ったよね?僕の友人は光琳のせいで死んだって。......だからさ、僕が殺してもいい?復讐したいんだ」
先程と言っていたことが違う。天光琳の心臓は大きくなった。
千秋が謝っていたのは嘘だったのか?
千秋と昔みたいに戻れるなんて思ってしまった先程の自分がバカバカしい。
「確かにそうだな」
「面白くねぇけど、千秋が殺すならそれでいいか!」
「......」
填可、明貴は笑いながらそう言ったが、睿はなぜが納得していないように見える。
やはり殺す気だったのだ。
昔はあんなに仲良くしていたのに、それが嘘だったかのように思える。
「ありがとう。......悪いけど、ここから離れてくれないかな?君たちには見せられないほどぐちゃぐちゃにするつもりなんだ」
千秋は見たことの無い狂った笑みを見せたため、睿たちは鳥肌がたち、一歩後ろに下がった。
「......わ、分かった......」
「頑張れよ......!」
「に、逃がしたら許さないからな!」
そう言って睿たちは走って離れていった。
天光琳も千秋のあんな恐ろしい笑みを見たことがなく、全身が震えている。
睿たちが見えなくなると、千秋はくるりと向きを変え、天光琳の方を見た。
(......ひっ!)
しかし千秋は先程の表情とは違い、悲しそうな表情をしていた。
(あれ......?)
千秋はパチンと指を鳴らすと、天光琳の体はスっと軽くなっていった。
そして動けるようになった。
動けるとわかった瞬間、天光琳は急いで立ち上がって、千秋から少し離れた。
「光琳くん。大丈夫。殺さないから」
「......」
しかし天光琳は信用出来なかった。
じゃああの笑みは一体なんだったのだろう。
「さっきのは全部嘘。睿たちを追い払うためにね」
「千秋くんは僕のこと......どう思っているの?」
天光琳は警戒しながら言った。
すると千秋は一度深呼吸をし、口を開いた。
「......尊敬してるんだよ」
「......え...?」
千秋は眉をひそめて微笑んだ。
「......」
天光琳は白い布を被り、桜雲天国の市場の通路の端に立ち尽くし、苦笑いしている。
なぜ苦笑いしているかと言うと......
(俊熙とはぐれた......)
久しぶりに桜の宴に行っていて、その帰りだった。
迷子...ではない。城への帰り方はわかる。
しかし勝手に帰って良いのだろうか。
天俊熙は今頃自分を探してくれているだろう。
だからといってここでずっと立ち尽くす訳にも行かない。もう日が暮れてしまうのだ。
城に帰って天麗華に言い、連絡してもらおう......いや、天麗華は今出かけている。どこに行ったのかは聞いていなかった。
天万姫は今玲瓏美国に帰っている。
帰ってくるのは三日後だ。
天李偉には怖いため頼めないし、天李静は年下に頼むなんて恥ずかしい。
......となると天宇軒しかいない。
天宇軒は前よりゆっくり出来る時間が増えたようだ。恐らく例の仕事が無くなったのだろう。
しかし、天宇軒はまだ疲れているように見える。
まだ夜中に塔に言っているのだろうか?
......話を戻すと、頼めるのは天宇軒しかいない...ということだが......。
天宇軒も怖い。あまり話してこなかったため、どう話せばいいのか、どう頼めば良いのかも分からない。
さらに最近怖くて目も合わせられないのだ。
そんな相手に頼めるか?
(あぁ~~神の力が使えればぁっ!!)
天光琳は悔しくてたまらなかった。
(......?)
天光琳はある神に目が止まった。
あの後ろ姿は......見覚えがある。
千秋だ!
天光琳は走って千秋を追いかけた。
そして
「千秋くん!」
「......えっ......光琳......?!」
天光琳はここであることに気づいた。
(しまった......)
何も考えずに追いかけ、名前を呼んでしまった。
これでは白い布を被っている意味が無い。
天光琳に近くにいた神々の視線が集まった。
天光琳が慌てていると、千秋は「来て!」と言って、天光琳の腕を引っ張って、建物の裏に隠れた。
「あの......千秋くん......」
千秋は黙って下を向いたままだ。
「ごめんなさい......。...庵くんと伽耶斗さんを守れなくて......逆に、こんな僕のためにあの二神は僕を守って酷い目にあった......伽耶斗さんなんて......」
「父上から聞いたの?」
天光琳が言葉につまりながらゆっくり言っていると、千秋が被せて言った。
「庵は僕のこと"千秋(ちあき)"という呼び方しか知らない。だから庵が僕のこと話したとしても、千秋(ちあき)って言っているはずだから、光琳は僕のことだとは知らないはず......それなのに知っているってことは、聞いたんだよね」
天光琳は頷いた。
地下入口から入ったあの日、聞いた。
あの日のことを追い出すと、脚がズキズキと痛むように感じだ。
「ごめんなさい」
「......え?」
天光琳はまさか謝られるとは思っていなかったため驚いた。
何に対して誤っているのだろう。悪いのは自分なのに......
「僕......ずっと謝りたくて......その...光琳を嫌っていたことを......。それと光琳たちが天国に帰ってきたあと直ぐに、僕たち家族は鳳条国に行ったんだ。そして僕は庵と話した。......光琳、謝ってるけどさ......君、何も悪くないじゃん」
天光琳は何を言えばいいのか思いつかず、そのまま話を聞くことにした。
「悪いのは僕の父さんだよ。悪くない光琳を傷つけて怪我をさせた。それで父さんはクビになったんだよ。......そんなの当然じゃん」
最近見ないと思ったらクビになったのか。
天光琳はクビになった聞き、自分のせいでクビになったと言われるのではないかと思ったが違った。
「もう......怪我は治った?」
「え......あ...うん......」
千秋は昔仲良かった時のように心配してくれたため、天光琳は信じられないと小さく返事をした。
「おー千秋!やっぱり光琳といたんだな。よく捕まえた!」
(......え?)
すると、後ろから声が聞こえた。
睿、填可、明貴だ。
天光琳はその三神を見た瞬間焦りだした。
「この前は優しい俊熙が邪魔をしてくれたからさ」
まさか千秋がこんなに優しく接してくれたのも、天光琳を油断させるための罠だったのか?
......ということは千秋は今、毒針を持っているかもしれない。
天光琳は一歩づつ後ろに下がって行った。
「どうした?千秋。光琳を見つけたらその毒針を刺すんじゃなかったのか?」
やはり持っているようだ。
大丈夫。天光琳は逃げ足が早い。この前のように掴まれていないため、逃げれるだろう。
(......あれ...?)
なんと脚が動かなかった。
震えている訳では無い......もしかすると、誰かが神の力を使ったのか!?
千秋は先程とは違い暗い顔で天光琳の方へ向かってきた。
千秋の右手には光が出ている。
狩りが得意な千秋......もしかしたら千秋が脚を麻痺させる能力を持っているのかもしれない。
そしていつの間にか千秋の左手には針があった。
(殺されるの......?)
せっかくここまで頑張ってきたのに、ここで殺されるのか?
......そして千秋が左手をあげ、天光琳に針を刺した。
「......っ!」
「......動かないで」
(......?)
千秋は天光琳の耳元で言った。
痛くない。
......刺されていないのだ。
しかしその瞬間、天光琳の体は凍りついたかのように動けなくなり、体がズシンと重くなった。
そして千秋が針を抜いたように見せかけ、手を引っ込めたあと、天光琳の体をそっと押した。
天光琳は後ろに倒れていった。
手足が動かないまま後ろに倒れる......となると、頭をぶつける可能性がある。
天光琳は絶対に痛いと判断し焦った。
......が。
地面と体が接触する際、ふわりと体が浮いたように感じ、ゆっくりと地面の上に倒れた。
倒れたのに痛くなかった。
天光琳はこの状況に理解出来ず、混乱している。
刺されていないのだが、何故か体が動かない。これは千秋の能力なのか?
「さすがだ千秋!......よし」
睿たちがニヤリと怪しい笑を浮かべ、歩いてきた。
逃げたいのだが逃げられない。
せめて千秋が麻痺の能力を解いてくれれば良いのだが......。
すると、千秋は天光琳と睿たちの間に立った。
「あのさ......前......言ったよね?僕の友人は光琳のせいで死んだって。......だからさ、僕が殺してもいい?復讐したいんだ」
先程と言っていたことが違う。天光琳の心臓は大きくなった。
千秋が謝っていたのは嘘だったのか?
千秋と昔みたいに戻れるなんて思ってしまった先程の自分がバカバカしい。
「確かにそうだな」
「面白くねぇけど、千秋が殺すならそれでいいか!」
「......」
填可、明貴は笑いながらそう言ったが、睿はなぜが納得していないように見える。
やはり殺す気だったのだ。
昔はあんなに仲良くしていたのに、それが嘘だったかのように思える。
「ありがとう。......悪いけど、ここから離れてくれないかな?君たちには見せられないほどぐちゃぐちゃにするつもりなんだ」
千秋は見たことの無い狂った笑みを見せたため、睿たちは鳥肌がたち、一歩後ろに下がった。
「......わ、分かった......」
「頑張れよ......!」
「に、逃がしたら許さないからな!」
そう言って睿たちは走って離れていった。
天光琳も千秋のあんな恐ろしい笑みを見たことがなく、全身が震えている。
睿たちが見えなくなると、千秋はくるりと向きを変え、天光琳の方を見た。
(......ひっ!)
しかし千秋は先程の表情とは違い、悲しそうな表情をしていた。
(あれ......?)
千秋はパチンと指を鳴らすと、天光琳の体はスっと軽くなっていった。
そして動けるようになった。
動けるとわかった瞬間、天光琳は急いで立ち上がって、千秋から少し離れた。
「光琳くん。大丈夫。殺さないから」
「......」
しかし天光琳は信用出来なかった。
じゃああの笑みは一体なんだったのだろう。
「さっきのは全部嘘。睿たちを追い払うためにね」
「千秋くんは僕のこと......どう思っているの?」
天光琳は警戒しながら言った。
すると千秋は一度深呼吸をし、口を開いた。
「......尊敬してるんだよ」
「......え...?」
千秋は眉をひそめて微笑んだ。
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