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ー光ー 第八章 佳宵星国

第百十話 別れの時間

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 天光琳と星玉風が大広間へ向かうと、天麗華と出会った。
 ちょうど話が終わったようだ。
 天麗華は星連杰に勝ったようで、堂々としている。

 しかし天光琳は......。


「光琳......?どうしたの...?」

「......うぅ...」


 涙がずっと止まらないのだ。
 星玉風はずっと天光琳の頭を撫でている。


「......玉風様と離れるのが嫌なのかしら?」


 そういうと天光琳は頷いた。
 出来ればこのまま一緒に桜雲天国へ帰りたい。
 しかしそれは出来ない。今日星玉風と別れたらこれが最後だ。


「大丈夫よ。また会えるわ」
  

 何も知らない天麗華は天光琳を慰めるためにそう言ったのだが、天光琳の目からはさらに涙が溢れてきた。


 (もう会えないんだもん......!)


 しかしそれを今言ってはいけない。
 星玉風の計画が台無しになってしまう。
 天光琳は辛くて辛くてたまらなかった。




「そろそろ帰りましょうか」


 別れの時間が近づいてくる。
 二神は荷物を全て持った。
 そして天光琳は片手にくまのぬいぐるみを抱きしめるように持った。
 その様子を見て星玉風は微笑んだ。


「大事にしてくれてありがとう。......出来れば...最後に、笑って欲しいな」


 これは星玉風から貰った大切なものだ。
 天光琳は目を擦った。
 そして悲しい気持ちを抑えて微笑んだ。


「ありがとうございます、玉風様。またいつか会いましょうね」


 会えないことは分かっている。しかしまた会えると思いたい。
 星玉風が封印されない事を祈って。
 天光琳は星玉風の手を握った。
 とても強く握った。
 離したくない。離したらもう会えなくなるからだ。


 天麗華は結界の上に立ち、桜雲天国の紋を描いた。
 すると二神は光に包まれた。
 天光琳はそっと星玉風の手を離した。
 星玉風は目に涙を浮かべ手を振った。
 天光琳も手を振り返したが、涙が溢れてきて途中で目を閉じた。
 そして二神は眩しい光とともに桜雲天国へ帰国した。

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