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ー光ー 第八章 佳宵星国
第百九話 覚悟
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「そんな......ことが......」
星玉風は涙を流しながらゆっくりと話してくれた。辛い思い出なのに、丁寧に話してくれた。
天光琳もつられて涙が溢れてきた。
「一昨日の夜......実は玉風様と連杰様の会話......聞いてしまったんです」
「そうなんですね......それは話が早いです」
星玉風は怒ることなく、むしろ安心したように言った。
「私は光琳さんを殺させたりはしない」
それは天光琳が妹たちに似ているからだろうか。......それもあると思うが、これ以上、神が父星連杰によって殺されるところを見たくないのだろう。
「たびたび嘘をついてしまってすいませんでした。私が勝手に呼び出したことも、昨日の朝食のことも、全て麗華さんが光琳さんと食べたいって言っていたから......と全て嘘をつきました」
「父上は私と麗華さんを結婚させたいようです。だから麗華さんが言ったことにすれば、嫌われないようにそうした......と言い訳ができる。麗華さんには本当に申し訳ないことをしました......」
星玉風は申し訳なさそうな顔をし、頭を下げた。
「いえ、そのおかげで僕は助かりました。僕が頭を下げるべきです」
すると星玉風はゆっくりと頭を上げた。
しかしまだ下を向いている。
天光琳はあることを思い出した。
「あ......あの時...姉上の話......聞いていましたよね......」
天麗華が他に心に決めた神がいると言っていたのも、ちゃんと聞こえていただろう。
天光琳は心配になったのだ。
「はい。ですが私......麗華さんは良い神だと思いますが、結婚したいとか...そういう意味では好きではないのです」
それを聞いた瞬間、天光琳はホッ安心した。
天麗華はまだ京極伽耶斗のことを思い続けている。そう簡単には変わらないだろう。
「星連杰が勝手に言っているだけです。それに私と麗華さんなんて、結構年の差ありますし......」
「えっ......玉風さん、姉上と同じぐらいでは無いのですか!?」
天光琳は驚いた。
「えぇ。今年で三十七歳です」
なんと十四歳差だったとは。
まだまだ二十代に見える。
天光琳は驚きを隠せなかった。
「あと一つ......話しておかなければいけないことがあります」
星玉風は真剣な顔をした。
しかしどこか寂しそうな感じがする。
とても大切なことなのだろう。
天光琳は背筋を伸ばした。
「私、明日の夜、星連杰を殺してこの国を滅ぼします」
「...えっ?!」
そんなことを言うとは思っておらず、天光琳は声を出して驚いてしまった。
星玉風が父である星連杰を殺す......だと?
「でも......そんなことをしたら...玉風さんが......!!」
「それも承知の上です。星連杰を殺せば私は封印される。そして星国の跡継ぎがいなくなり、滅びる......。そうすれば次は玲瓏美国の美梓豪さんが王になり、神界は今より過ごしやすくなるでしょう」
星玉風は分かって言っているようだ。
しかし天光琳は納得しなかった。
「そんなの嫌です!!玉風さんは......玉風さんは生きていて欲しいです!!他に方法があるはずです!」
天光琳は涙を流し、強く言った。
しかし星玉風は首を横に振った。
「先程...話したじゃないですか......。祖父も父上も王になってから性格が変わった......。怖いんです......私も王になったら...父上や祖父みたいになるのでは無いかって......」
星玉風は震えている。今までそうだった。自分も同じようになってしまうのが怖いのだ。
しかし星玉風のような神が星連杰のようになってしまうのだろうか。
そうは思わない。しかし星連杰も当時皆にそう思われていたのだろう。
「このことは......誰にも言わないでくださいね」
またこのセリフだ。
天光琳が誰かに言い、止められたらどうなるのだろうか。
星玉風は助かるのだろうか?
しかし神王を殺すつもりだったため、封印される可能性が高い。どっちみち星玉風が封印されることは避けられないかもしれない。
「嫌です......嫌です......そんなの......嫌だ......」
天光琳がテーブルに肘をつき、両手で顔を隠しながら泣いていると、星玉風が天光琳の頭を撫でた。
「光琳さんには重いことを頼みます。どうか誰にも言わないで......。そして自分を責めないでください」
「玉風さん......」
星玉風はまるで妹たちを見ているかのように感じた。
泣かないで欲しい。笑って欲しい。
だって天光琳が笑うと、その顔は妹たちとそっくりなのだから。
星玉風は涙を流しながらゆっくりと話してくれた。辛い思い出なのに、丁寧に話してくれた。
天光琳もつられて涙が溢れてきた。
「一昨日の夜......実は玉風様と連杰様の会話......聞いてしまったんです」
「そうなんですね......それは話が早いです」
星玉風は怒ることなく、むしろ安心したように言った。
「私は光琳さんを殺させたりはしない」
それは天光琳が妹たちに似ているからだろうか。......それもあると思うが、これ以上、神が父星連杰によって殺されるところを見たくないのだろう。
「たびたび嘘をついてしまってすいませんでした。私が勝手に呼び出したことも、昨日の朝食のことも、全て麗華さんが光琳さんと食べたいって言っていたから......と全て嘘をつきました」
「父上は私と麗華さんを結婚させたいようです。だから麗華さんが言ったことにすれば、嫌われないようにそうした......と言い訳ができる。麗華さんには本当に申し訳ないことをしました......」
星玉風は申し訳なさそうな顔をし、頭を下げた。
「いえ、そのおかげで僕は助かりました。僕が頭を下げるべきです」
すると星玉風はゆっくりと頭を上げた。
しかしまだ下を向いている。
天光琳はあることを思い出した。
「あ......あの時...姉上の話......聞いていましたよね......」
天麗華が他に心に決めた神がいると言っていたのも、ちゃんと聞こえていただろう。
天光琳は心配になったのだ。
「はい。ですが私......麗華さんは良い神だと思いますが、結婚したいとか...そういう意味では好きではないのです」
それを聞いた瞬間、天光琳はホッ安心した。
天麗華はまだ京極伽耶斗のことを思い続けている。そう簡単には変わらないだろう。
「星連杰が勝手に言っているだけです。それに私と麗華さんなんて、結構年の差ありますし......」
「えっ......玉風さん、姉上と同じぐらいでは無いのですか!?」
天光琳は驚いた。
「えぇ。今年で三十七歳です」
なんと十四歳差だったとは。
まだまだ二十代に見える。
天光琳は驚きを隠せなかった。
「あと一つ......話しておかなければいけないことがあります」
星玉風は真剣な顔をした。
しかしどこか寂しそうな感じがする。
とても大切なことなのだろう。
天光琳は背筋を伸ばした。
「私、明日の夜、星連杰を殺してこの国を滅ぼします」
「...えっ?!」
そんなことを言うとは思っておらず、天光琳は声を出して驚いてしまった。
星玉風が父である星連杰を殺す......だと?
「でも......そんなことをしたら...玉風さんが......!!」
「それも承知の上です。星連杰を殺せば私は封印される。そして星国の跡継ぎがいなくなり、滅びる......。そうすれば次は玲瓏美国の美梓豪さんが王になり、神界は今より過ごしやすくなるでしょう」
星玉風は分かって言っているようだ。
しかし天光琳は納得しなかった。
「そんなの嫌です!!玉風さんは......玉風さんは生きていて欲しいです!!他に方法があるはずです!」
天光琳は涙を流し、強く言った。
しかし星玉風は首を横に振った。
「先程...話したじゃないですか......。祖父も父上も王になってから性格が変わった......。怖いんです......私も王になったら...父上や祖父みたいになるのでは無いかって......」
星玉風は震えている。今までそうだった。自分も同じようになってしまうのが怖いのだ。
しかし星玉風のような神が星連杰のようになってしまうのだろうか。
そうは思わない。しかし星連杰も当時皆にそう思われていたのだろう。
「このことは......誰にも言わないでくださいね」
またこのセリフだ。
天光琳が誰かに言い、止められたらどうなるのだろうか。
星玉風は助かるのだろうか?
しかし神王を殺すつもりだったため、封印される可能性が高い。どっちみち星玉風が封印されることは避けられないかもしれない。
「嫌です......嫌です......そんなの......嫌だ......」
天光琳がテーブルに肘をつき、両手で顔を隠しながら泣いていると、星玉風が天光琳の頭を撫でた。
「光琳さんには重いことを頼みます。どうか誰にも言わないで......。そして自分を責めないでください」
「玉風さん......」
星玉風はまるで妹たちを見ているかのように感じた。
泣かないで欲しい。笑って欲しい。
だって天光琳が笑うと、その顔は妹たちとそっくりなのだから。
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