83 / 184
ー光ー 第六章 燦爛鳳条国
第八十二話 鳥
しおりを挟む
さらに二日が経過した。
いまだに悪神は現れていない。
「お腹すいたなー」
「ですよね......」
京極庵が水を出す能力を持っているため、なんとか飲み物はある。
炎の国なのに、水を出す能力は必要ないと笑われたことがあったようだが、まさかこんなところで役に立つとは。
しかし、問題は食料だ。
もう食料は無くなっている。
「どこかに鳥...いないかなー......うぉ、いた!」
「え?どこだ?」
奇跡的に目の前に.........紫色の鳥が三羽いた。
「え......これ、食べらるのですか?色が......」
天光琳は見たことがない鳥だったので、食べられるのか不安になった。
こんな紫色の鳥なんて見たことがない。
「食べれるよー、コイツ、よく鍋にして食べるんだ。美味しいんだ......よっ!」
そう言って京極伽耶斗は三羽目掛けて......飛び込んだ。
神の力を使って捕らえるのかと思いきや......そのまま突っ込むとは。天光琳は驚いた。
「こうやって捕るんだね......」
「いや......アイツが可笑しいだけだ」
京極伽耶斗は三羽の首を持ち、立ち上がった。
そして二神の方を見て、ニッと微笑んだ。
天光琳は苦笑いしながら拍手した。
京極伽耶斗は持っていたミニナイフで鳥をさばき、炎を出して焼いた。
鳥の丸焼きだ。
紫色で食べれるのか不安だったが、結構美味しそうだ。
「美味しそ~!」
久しぶりにこんなに沢山食べられる。
三神は待ちきれないと、焼けたらすぐにかぶりついた。
「「「うんまぁ~!」」」
三神は幸せそうに頬に手を当て微笑んだ。
何日ぶりにこんなに沢山食べただろうか。
「光琳、美味しいでしょ!」
「はい!見た目で判断してはいけないですね!」
三神はガツガツと食べ、あっという間に無くなってしまった。
満腹......ではないが、満足した。これで三日ぐらいは持つだろう。
「新鮮だなー」
「何が?」
天光琳は鳥の骨を見ながら言った。
「僕は捕って焼いて、丸かじりして......なんて、こんな食べ方初めてしたから、良い経験が出来たなって思ったんです!」
「そうか!光琳は王子様だもんね。こんなことやらせてくれないでしょ」
やらせてくれない...という訳では無いが、やらなくてもご飯は出るし、そもそもそんなことをやろうなんて思いつかなかった。
京極伽耶斗は京極庵とよく家に帰らず森で過ごしたことが何度もあるようで、よく狩って食べていたそうだ。
京極伽耶斗は親が嫌いという訳では無いが、弟が一神で寂しそうだと感じたため、勝手についてきているそうだ。
そして次の日親に怒られるという......。
「帰ったらやってみようかな。天国の山にも、沢山鳥がいるんですよ!」
「そうなんだ!いつか行ってみたいなー」
「是非是非!!」
天光琳は笑顔で誘った。
「じゃあ、焔光山から出たら、絶対に行くよ!ね、庵!」
「あぁ」
京極庵は力強く頷いた。
必ず生きて帰ると...そういう思いも込めて。
「さて、行こうか!」
と三神が立ち上がった次の瞬間。
ベタ...ベタ......と崖から落ちる前のあの何者かが近づいてくる音が聞こえてきた。
三神の心臓は一気に大きな音を鳴らす。
「しっ......」
しかし音はどんどん大きくなっていく。
「やばい、逃げるぞ!!」
正体は見えなかったが、どんどん近づいてきたため、危険を感じ、三神は逃げ出した。
すると足音がどんどん早く聞こえてきた。
それも複数いるようだ。
「あいつら走れるのか!?」
「振り向いたらダメだ!まずは逃げよう!」
「うん!!」
三神は「右に間がろう」「ここから飛び降りよう」などと、事前に言ってはぐれないようにした。
そして十分後。
ようやく足音が聞こえなくなった。
「はぁ...はぁ......」
「はぁ......凄いね......光琳。はぁ...はぁ、全然疲れて......ないじゃん......」
「体力だけはあるので......」
二神は疲れている。
天光琳はまだ体力はあるので、剣を構えて見張っている。
京極伽耶斗は岩に持たれようと、ツタまみれの岩にもたれかかった......が。
「うわぁっ!?」
「どうした!?」
京極伽耶斗の姿が見えなかった。
「伽耶兄!?」「伽耶斗さん!?」
二神は必死に叫んだ。......すると。
「ごめんごめん」
ツタの隙間から京極伽耶斗がひょこっと出てきた。
二神はふぅと息を吐いた。
「びっくりしたじゃん......」
「良かった......」
「ごめんて......ここ、洞窟になってるなんて知らなかったからさ」
洞窟......?と二神は聞き返した。
行ってみると、ツタで入口を隠された洞窟があった。
中から水が垂れる音が聞こえてくる。
ツタで入口を隠されているし、ここならゆっくり休めそうだ。
「入ってみるか?」
「いいねー!」
京極伽耶斗はそう言って、洞窟の中へ入っていった。
いまだに悪神は現れていない。
「お腹すいたなー」
「ですよね......」
京極庵が水を出す能力を持っているため、なんとか飲み物はある。
炎の国なのに、水を出す能力は必要ないと笑われたことがあったようだが、まさかこんなところで役に立つとは。
しかし、問題は食料だ。
もう食料は無くなっている。
「どこかに鳥...いないかなー......うぉ、いた!」
「え?どこだ?」
奇跡的に目の前に.........紫色の鳥が三羽いた。
「え......これ、食べらるのですか?色が......」
天光琳は見たことがない鳥だったので、食べられるのか不安になった。
こんな紫色の鳥なんて見たことがない。
「食べれるよー、コイツ、よく鍋にして食べるんだ。美味しいんだ......よっ!」
そう言って京極伽耶斗は三羽目掛けて......飛び込んだ。
神の力を使って捕らえるのかと思いきや......そのまま突っ込むとは。天光琳は驚いた。
「こうやって捕るんだね......」
「いや......アイツが可笑しいだけだ」
京極伽耶斗は三羽の首を持ち、立ち上がった。
そして二神の方を見て、ニッと微笑んだ。
天光琳は苦笑いしながら拍手した。
京極伽耶斗は持っていたミニナイフで鳥をさばき、炎を出して焼いた。
鳥の丸焼きだ。
紫色で食べれるのか不安だったが、結構美味しそうだ。
「美味しそ~!」
久しぶりにこんなに沢山食べられる。
三神は待ちきれないと、焼けたらすぐにかぶりついた。
「「「うんまぁ~!」」」
三神は幸せそうに頬に手を当て微笑んだ。
何日ぶりにこんなに沢山食べただろうか。
「光琳、美味しいでしょ!」
「はい!見た目で判断してはいけないですね!」
三神はガツガツと食べ、あっという間に無くなってしまった。
満腹......ではないが、満足した。これで三日ぐらいは持つだろう。
「新鮮だなー」
「何が?」
天光琳は鳥の骨を見ながら言った。
「僕は捕って焼いて、丸かじりして......なんて、こんな食べ方初めてしたから、良い経験が出来たなって思ったんです!」
「そうか!光琳は王子様だもんね。こんなことやらせてくれないでしょ」
やらせてくれない...という訳では無いが、やらなくてもご飯は出るし、そもそもそんなことをやろうなんて思いつかなかった。
京極伽耶斗は京極庵とよく家に帰らず森で過ごしたことが何度もあるようで、よく狩って食べていたそうだ。
京極伽耶斗は親が嫌いという訳では無いが、弟が一神で寂しそうだと感じたため、勝手についてきているそうだ。
そして次の日親に怒られるという......。
「帰ったらやってみようかな。天国の山にも、沢山鳥がいるんですよ!」
「そうなんだ!いつか行ってみたいなー」
「是非是非!!」
天光琳は笑顔で誘った。
「じゃあ、焔光山から出たら、絶対に行くよ!ね、庵!」
「あぁ」
京極庵は力強く頷いた。
必ず生きて帰ると...そういう思いも込めて。
「さて、行こうか!」
と三神が立ち上がった次の瞬間。
ベタ...ベタ......と崖から落ちる前のあの何者かが近づいてくる音が聞こえてきた。
三神の心臓は一気に大きな音を鳴らす。
「しっ......」
しかし音はどんどん大きくなっていく。
「やばい、逃げるぞ!!」
正体は見えなかったが、どんどん近づいてきたため、危険を感じ、三神は逃げ出した。
すると足音がどんどん早く聞こえてきた。
それも複数いるようだ。
「あいつら走れるのか!?」
「振り向いたらダメだ!まずは逃げよう!」
「うん!!」
三神は「右に間がろう」「ここから飛び降りよう」などと、事前に言ってはぐれないようにした。
そして十分後。
ようやく足音が聞こえなくなった。
「はぁ...はぁ......」
「はぁ......凄いね......光琳。はぁ...はぁ、全然疲れて......ないじゃん......」
「体力だけはあるので......」
二神は疲れている。
天光琳はまだ体力はあるので、剣を構えて見張っている。
京極伽耶斗は岩に持たれようと、ツタまみれの岩にもたれかかった......が。
「うわぁっ!?」
「どうした!?」
京極伽耶斗の姿が見えなかった。
「伽耶兄!?」「伽耶斗さん!?」
二神は必死に叫んだ。......すると。
「ごめんごめん」
ツタの隙間から京極伽耶斗がひょこっと出てきた。
二神はふぅと息を吐いた。
「びっくりしたじゃん......」
「良かった......」
「ごめんて......ここ、洞窟になってるなんて知らなかったからさ」
洞窟......?と二神は聞き返した。
行ってみると、ツタで入口を隠された洞窟があった。
中から水が垂れる音が聞こえてくる。
ツタで入口を隠されているし、ここならゆっくり休めそうだ。
「入ってみるか?」
「いいねー!」
京極伽耶斗はそう言って、洞窟の中へ入っていった。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説

とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
【電子書籍発売に伴い作品引き上げ】私が妻でなくてもいいのでは?
キムラましゅろう
恋愛
夫には妻が二人いると言われている。
戸籍上の妻と仕事上の妻。
私は彼の姓を名乗り共に暮らす戸籍上の妻だけど、夫の側には常に仕事上の妻と呼ばれる女性副官がいた。
見合い結婚の私とは違い、副官である彼女は付き合いも長く多忙な夫と多くの時間を共有している。その胸に特別な恋情を抱いて。
一方私は新婚であるにも関わらず多忙な夫を支えながら節々で感じる女性副官のマウントと戦っていた。
だけどある時ふと思ってしまったのだ。
妻と揶揄される有能な女性が側にいるのなら、私が妻でなくてもいいのではないかと。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
誤字脱字が罠のように点在します(断言)が、決して嫌がらせではございません(泣)
モヤモヤ案件ものですが、作者は元サヤ(大きな概念で)ハピエン作家です。
アンチ元サヤの方はそっ閉じをオススメいたします。
あとは自己責任でどうぞ♡
小説家になろうさんにも時差投稿します。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる