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ー光ー 第六章 燦爛鳳条国

第七十七話 燦爛鳳条国

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 次の日。
 昨日の夜、急いで準備をし、早めに寝た。
 そして今日、朝食を食べてから出発することになった。

 皆心配していた。
 今日は修行に行くつもりだったので、天宇軒が草沐阳に事情を伝えてくれるそうだ。

 そして三神......と天李偉は、燦爛鳳条国に到着した。


「すいません、姉様。急に......」

「大丈夫よ、弟が頑張ってるのだから、私も頑張らないと!」


 天李偉は天俊熙に笑顔で話したあと、扇子で口元を隠し、天光琳の方を睨んだ。


(ひぃ.....すいません、すいません...!!.)


 なんであんたのために私が行かなきゃ行けないんだよ!っと言っているように感じた。

 天李静の方がまだマシだったが......天李静はまだ他国へ行くことが出来ない。
 そのため、天李偉になったのだ。


「よく来てくれた......」


 この神は......鳳条王、鳳条眞秀ほうじょうまほろだ。
 白髪の年老いた王で、優しそうな見た目をしているが......今はとても申し訳なさそうな顔をしている。


「我が国のために...わざわざ......ありがとうございます......」

「いえいえ!頭をお上げください!!」


 天光琳に言われ、鳳条眞秀はゆっくりと頭を上げた。
 まさか来てそうそう、他国の王に頭を下げられるとは......。


 四神は燦爛鳳条国の城の中央広間に案内された。

 来る途中、外の景色が見えた。
 燦爛鳳条国は人間界でいう、日本の中国地方の上らへんにあるそうで、簪専門店、扇子専門店のように和風な建物が並んでいる。
 そしてそこら中に炎が神々しく燃えている。
 透明な正方形のガラスのなかに、炎があったり、大きな棒の上で燃えていたりなど、様々だ。


「あの炎って、触ったら火傷しますか......?」

「する...な。他国の神は触ると火傷しますよで、気をつけてください」


 ...ということは、この国の神が触っても問題ないのだろう。
 燦爛鳳条国の神は必ず炎を出し、操る能力を持っているそうだ。

 その能力が使えないと、何も出来ない。天光琳はこの国の神じゃなくて良かったと安心した。

 火を出す能力なら、天俊熙と...天麗華は持っている。しかし自由自在に操る能力は持っていない。

 操るとはどういう感じなのだろう...と天光琳は思った。


「この広間に悪神が現れました」


 鳳条眞秀はゆっくりとした優しい声だが、この言葉を聞いた瞬間四神はゾワっとした。


「それ、もう少し早く言ってください!!」


 天李偉は震えながら言った。
 この広間に現れて連れてこいと言っていたなら、天光琳がここに来た瞬間、悪神が現れる可能性も考えられるからだ。


「あぁ、すいません。ですが大丈夫です。ここには現れないはずです。......悪神は"焔光山えんこうざん"で待っていると言っていましたので......」


 また山に現れたそうだ。
 山は戦いにくいし、山にいる神も少ない。
 助けにくく、危険だ。


「四神では危険ですので、鳳条国の護衛神と、案内役の私の友人の息子の弟の息子の兄弟を同行させます」


 遠いな...と思ったが、そこは突っ込まないほうが良いだろう。

 案内人がいるのはありがたい。
 知らない山に行くのは危険すぎるからだ。

「今から呼んでくるのでしばしお待ちを......」


 十分後


 扉が開き、鳳条眞秀の後ろに二神の男神が立っていた。歳は...そこまで離れてなさそうだ。


「連れてきました。京極伽耶斗と京極庵です。二神とも、案内をするのじゃ」

「初めまして、天国の皆様。僕の名前は京極伽耶斗きょうごくかやと。危険な任務ですが、絶対に生きて帰りましょう!よろしくお願いします...!」


 とても明るい方だ。
 身長が高く、四神の中で一番背が高いのは天俊熙なのだが、そんな天俊熙より背が高い。


「俺は京極庵きょうごくいおり。伽耶斗の弟だ。よろしくお願いします」


 京極庵は......大人しくクールな性格だ。
 身長は天光琳より少し身長が高いが同じぐらいだ。
 フード付きの羽織を着ていて、フードをつけているせいか、表情は暗いように見える。


「伽耶斗くんは二十四歳、庵くんは十五歳......」

「十八です」

「あ、すまんすまん、庵くんは十八歳。皆さんと歳は同じだと思うので、仲良くしてあげてください」


 年齢を間違えられて、京極庵はムスッとしている。


「庵は、もう少しで誕生日なので、十九歳かな?」

「じゃあ俺と同い年だ」

「一応...僕とも同い年......」


 天光琳、天俊熙と同じ年齢だが、京極庵は二神より大人っぽく見える。
 しかし、ムスッとしている様子は、まだまだ幼くも見える。

 四神も自己紹介をし終わったあと、早速炎光山へ向かうことにした。

 玉桜山の時のように、食料は護衛神が持つ。
 天光琳は剣と扇、天俊熙と天麗華は扇を持ち、京極兄弟は......

 扇子を二つ腰にさしている。


「もしかして、鳳条国も舞なのですか!?」

「そうだよ。天国も舞なんだっけ?」

「そうです!」


 天光琳は同じ舞の国だと知り、嬉しくなった。


「この扇子を両手で持って舞うんだ。光琳くんたちは?」

「僕たちはこの扇を片手で持って舞います」


 同じ舞でも道具は違った。
 扇より小さな扇子を両手で持って舞うのだ。
 天光琳はいつか見てみたいと思った。


「そろそろ麓に着くぞ。気を引き締めていこう」


 京極庵がそういい、天俊熙、天麗華、天光琳、天李偉は前を見た。

 目の前に見える景色は......とても暗い森だった。
 一気に緊張してきた。

 桜雲天国のように木々には提灯が付いておらず、薄暗い。


「暗いけれど......大丈夫なんですか?」


 天俊熙が恐る恐る聞くと、京極伽耶斗は後ろを指さしたため、天国の四神は後ろを振り返った。


「大丈夫だよ。あの棒に火をつけて、照らすんだ」


 護衛神は金色の棒を取り出し、神の力を使って火をつけた。


「これはどんなに強い風が吹いても消えることは無いから大丈夫だよ、はい」


 そう言って、一神に一つ、火がついた棒を渡した。
 片手は塞がってしまうが、危険な時は投げ捨てて良いと言われた。
 投げ捨てても、燦爛鳳条国の神が消さない限り消えないし、神の力で生み出された火のため、森は燃えることはないようなので安心だ。


 皆火がついた棒を持ったことを確認すると、ゆっくりと焔光山に入っていった。



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