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ー光ー 第五章 帰国

第七十五話 蘇る記憶

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「俺や...麗華様もか......?」

「あ、うんん、家族や老師、美家は別だよ!」


 天光琳は両手を振り、苦笑いしながら言った。


「また裏切られちゃうんじゃないかなーって。怖いんだ。仲良くなってもどうせ離れていっちゃう。なら、仲良くならなくてもいいかなって思ってるんだ」

「まだアイツらのこと、引きずってるのか?」


 アイツらとは睿たちの事だ。


「...うん......。でも、睿くんたちだけでは無いよ。国の神々や護衛神もそう。あんなに優しかったのに、僕が無能神様だって知ってから、みんな冷たい目で見てくるの」


 天光琳は寂しそうに言った。
 できるのであれば、あの頃に戻りたい。
 天光琳はそっと目を閉じた。
 昔の記憶が蘇ってくる。



『天光琳様!今日も修行頑張っていて偉いわね』

『頑張ってくださいねー!』

『光琳様、クッキー作ったの、良かったら食べてください!』

『光琳様と俊熙様だ!元気ねー』



  
『俺、睿って言うんだ!よろしくな光琳、俊熙!』

『こら、ダメよ。敬語を使いなさい。それに天光琳"様"、天俊熙"様"よ。二神は王一族の神なのだから、タメ口はいけません』

『大丈夫だよ、睿くん、よろしくね!』

『俺も大丈夫だ。よろしく!!』




『おーい、光琳ー、俊熙ー!俺の友達連れてきたぞー!!明貴だ!』

『よろしくねー!』

『よろしくー、明貴くん!』
『よろしくな、明貴!』



『ねぇねぇ、僕たちと遊ぼうよ!君、なんて言うの?』

『千秋......君は...天光琳様だよね......?...じゃない。ですよね?』

『いいよ、呼び捨てで!あそこに僕の友達がいるから、一緒に遊ぼ!』

『うん!』



『仲間に入れてくれ!俺は填可!!』

『おー、新入り!!いいぞー!』

『俊熙様!?光琳様もいるのか!これは失礼しました!』

『いやいいぞ、気軽に話してくれ!』

『遊ぼ遊ぼー!』



『忍びごっこしようぜ!』

『なーに、その遊び。教えて、睿ー』

『光琳は忍びごっこ知らないのか、忍びごっこっていうのはなー......』



『あはは、楽しかった!』

『光琳強いなー!』

『填可が弱いだけでしょ!』

『なにー!?酷いぞ、千秋!』



『また明日な!』

『うん、また明日!』






『お前、神の力使えないのか?』

『やめなよ、明貴。光琳くん。今日はたまたま調子が悪かっただけだよね』

『ありがとう...千秋くん......』



『やっぱり無能神様じゃないか!母さんが恥ずかしいから、一緒にいるなだって言ってた!』

『王一族なのにね』

『俊熙はできるのになんでお前は出来ないんだ?』

『ださ......』

『おい、やめろよ!』

『.........』




 天光琳は目を開けた。
 目から何故か涙が流れている。

 天光琳は目を擦った。


「あ~、本当にごめん!朝もそうだけど誕生日だって言うのに。さ、桜の宴に行こうか!」

「う......うん...」


 天光琳が何を考えていたのか、天俊熙には分からなかったが、ここで聞いても天光琳は絶対に言わないだろう。

 今度は天光琳が天俊熙の腕を引っ張り、桜の宴まで走っていった。
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