鬼使神差〜無能神様が世界を変える物語〜

天楪鶴

文字の大きさ
上 下
73 / 184
ー光ー 第五章 帰国

第七十二話 殺意

しおりを挟む
 修行を終え、戻ってきて夕食を食べたあと、皆にお土産を渡した。
 皆喜んでくれていて、三神は満足した。

 天李偉はすぐに簪をつけて喜んでいるぐらいだった。

 その後は風呂に入り、早めに寝ることにした。

 天俊熙はベッドで寝転がりながら今日のことを考えていた。


 (アイツらの目には......なんとなくだけど殺意を感じられた......)


 天光琳は気づいていないようだが、そう感じたそうだ。


 (今日アイツらがあそこにいた目的はなんだ......光琳を殺すためか...?)


 神として殺すことは許されない。しかし、あの様子だと、殺すつもりだったのではないだろうか。
 毒針を使って、動けなくしたあとに、神の力を使ったり......殴ったり.........考えるだけでゾッとする。


 (もしかしたら、悪神が殺したってことにして、殺すつもりだったんじゃ......後にバレるのに。......でもなんで...)


 例え悪神が殺したということにしても、王一族の場合、死因を調べられるためバレるだろう。
 体に毒針の跡があれば、悪神ではない可能性が高い。

 それに、神の力を使って、死因を調べたりするものもいるため、結局は全てバレてしまう。

 しかし何故殺そうとしていたのだろう。
 神の力が使えず、国の評価を下げているからだろうか。
 その可能性もあるだろう。

 小さい頃はあんなに仲良くしていたのに、十歳になってから、天光琳が神の力が使えない...と知ってから急に変わってしまった。
 これはただの推測だが、仲良かったのに殺そうとしていたかもしれない。
 関係...というものはこんなに簡単に崩れてしまうものなのか。

 天光琳に対する態度が代わり、天光琳は今どういう気持ちなのだろうか。

 それにあの四神だけではない。
 国の多くの神々もだ。

 神として恥ずかしいだの、神ではないだの、神の失敗作だの。
 そして本当に王の息子なのかと。

 何故バカにしないと気が済まないのか。


 (国の評価、そんなに大切なのかなあ)


 天俊熙には、評価が上がっても一位にならない限り上がっても意味が無いと思っている。

 それに奇跡の神がいるとはいえ、一位の佳宵星国に勝てるとは限らない。


 (悪神だけじゃなくて、アイツらも注意しないといけなくなったな)


 一応天宇軒に報告した方がよい気がするのだが......天光琳は言わないでと言っている。
 恐らく心配かせさせたくないからだろう。


 (光琳のそう言う性格、どうにかならないかなぁ......)


 他人のことばかり心配して、いつか自分が損することは有り得る。


「なー光琳」

「.........」


 天光琳に話しかけてみたが返事は無い。もう寝ているのだろうか。


 (俺も寝るかなー)


 天俊熙は起き上がるのがめんどくさくなり、神の力を使って、寝転がったまま電気を消した。


 (やっぱり自分の枕は寝慣れてるから寝やすいな~!)


 使い慣れた枕に頭を乗せ、天俊熙はあくびをした。

 まだ眠くは無いけれど、寝転がって目を閉じていればそのうち眠くなるだろう。

 天俊熙はそっと目を閉じた。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

女神様、もっと早く祝福が欲しかった。

しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。 今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。 女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか? 一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

後宮物語〜身代わり宮女は皇帝に溺愛されます⁉︎〜

菰野るり
キャラ文芸
寵愛なんていりません!身代わり宮女は3食昼寝付きで勉強がしたい。 私は北峰で商家を営む白(パイ)家の長女雲泪(ユンルイ) 白(パイ)家第一夫人だった母は私が小さい頃に亡くなり、家では第二夫人の娘である璃華(リーファ)だけが可愛がられている。 妹の後宮入りの用意する為に、両親は金持ちの薬屋へ第五夫人の縁談を準備した。爺さんに嫁ぐ為に生まれてきたんじゃない!逃げ出そうとする私が出会ったのは、後宮入りする予定の御令嬢が逃亡してしまい責任をとって首を吊る直前の宦官だった。 利害が一致したので、わたくし銀蓮(インリェン)として後宮入りをいたします。 雲泪(ユンレイ)の物語は完結しました。続きのお話は、堯舜(ヤオシュン)の物語として別に連載を始めます。近日中に始めますので、是非、お気に入りに登録いただき読みにきてください。お願いします。

異世界無宿

ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。 アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。 映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。 訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。 一目惚れで購入した車の納車日。 エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた… 神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。 アクション有り! ロマンス控えめ! ご都合主義展開あり! ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。 不定期投稿になります。 投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...