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ー光ー 第四章 玲瓏美国

第五十八話 美家

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 ある程度食べ、自己紹介をすることになった。
 天光琳は食べていたピザを自分の皿に置いた。


「皆さんお久しぶりです。皆さん知っていると思いますが、天麗華テンリーファです、五日間よろしくお願いします」


 天麗華は一度玲瓏美国に来ているため、自己紹介をしなくても知っているだろう。
 十二歳ぐらいの女神が嬉しそうにしていたため、仲が良いのだろう。

 天麗華は天光琳の肩にそっと手を置いた。
 次喋れば良いのだろうか。


「弟の天光琳テングアンリンです。よろしくお願いします!」


 天光琳がそう言うと、数名微妙な顔をしたように感じたが、皆はぺこりと軽くお辞儀をした。
 続けて天俊熙だ。


天俊熙テンジュンシーです。俺は万姫様の息子ではなく、宇軒様の弟の息子...と少し離れていますが、仲良くしてくださると嬉しいです」

  
 血は少しも繋がってはいないが、美梓豪は孫のように可愛がっているため、天俊熙は嬉しかった。


「ありがとう。麗ちゃん、琳くん、俊くん、皆覚えたか?」


 美梓豪がそう聞くと、皆はコクコクと頷いた。


「よし、次は美家だ!」

「私はめいルーナ、元は蒼海そうかいアジュール国の神で、今は梓豪さんの妻......万姫の母...と言った方が分かりわすいですね。よろしくお願いします」


(母上の母......お祖母様か...!)


 六十歳後半ぐらいの年齢だが、顔立ちはまだ美しいままのようだ。微笑んだ顔が天万姫にそっくりだ。

 天光琳は美ルーナにあったことがなかった。
 美ルーナは足が悪くなってしまい、花見会の時に来れなかったそうだ。


(それにしても名前...聞いたことない名前だな......)


 天光琳は名前に違和感を感じた。
 美ルーナ...蒼海アジュール国ということは、元の名前はアジュールルーナだろうか......。
 蒼海アジュール国という名前すら初めて聞いた。
 そして顔立ちも少し違う。
 だが、それは今聞くことでは無い。
 また後で聞いてみよう...と聞きたい気持ちを抑えた。


「僕は万姫の弟、美朝阳メイチャオヤンです。こちらは私の妻、美鈴玉メイリンユー

「よろしくお願いします!」


(母上に弟なんていたんだ......)


 天光琳は驚いた。一度も弟がいるなんて聞いたことがなかったからだ。 
 目元が天万姫とよく似ている。
 大人しそうな性格だ。

 それに比べて、美鈴玉はとても明るい性格のようだ。
 美鈴玉は恐らく、産まれた時から玲瓏美国の神だろう。
 ...ということは政略結婚ではない。珍しいことだ。


「こちらは私たちの娘、息子......光琳さんと麗華さんの従兄弟になりますね!さぁ、挨拶をしなさい」


(従兄弟...!)

 天光琳は天俊熙以外に従兄弟がいることも知らなかったため、驚いた。


「天国のお兄様たち初めまして!私は夢華モンファ夢夢もんもんって呼んでね!」


 美夢華が天光琳と天俊熙に向かって両手で手を振ったため、二神も手を振り返した。

 美鈴玉と似て、とても明るく元気な神に見える。
 フリルが着いた衣装が好きみたいで、よく似合っている。


「僕は美暁龍メイシャオロン。初めまして...ですよね、よろしくお願いします」


 次は天俊熙の隣に座っている同い歳ぐらいの男神...美暁龍が挨拶をした。
 爽やかな性格で、賢そうな雰囲気がある。


「私、美雪蘭メイシェラン。よろしく」


 美暁龍の隣に座っているのが美雪蘭。
 大人しい性格で、とても美しい顔立ちだ。
 そして皿を見ると肉やピザなどは少なく、サラダばかり食べている。見たところ五~七歳ぐらいだが、美意識が高いようだ。

 これで自己紹介は終わりだ。


「麗ちゃんは一度来たことあるから大丈夫だと思うが...琳くんと俊くんは分からないことだらけだろう。何かあったら直ぐにここにいる神達に聞くと良い。堅苦しくなくて良いぞ......五日間、楽しんで過ごして欲しいからな!」


「はい!」「わかりました!」


 二神は声を揃えて返事をした。

 天光琳は無能神様が来て笑われるかと思っていたのだが、会ってみると皆優しそうで五日間きっと楽しく過ごせる......と安心した。


 ✿❀✿❀✿


 先程の食べかけのピザを食べきり、天光琳は一つ気になったことがあったため、聞いてみた。


「お祖父様......何故あの椅子に座らないのですか?」


 天光琳は王用の椅子を指さした。
 本来ならば王はあの椅子に座る。天宇軒も座っている。

 しかし、今、王用の椅子は誰も座っておらず、王である美梓豪は普通の椅子に座っている。


「はっはっは、さすが姉弟だな、麗ちゃんが初めて来た時も言っていた。な、麗ちゃん?」


 えっと天光琳は驚き、天麗華の方を見た。
 天麗華は恥ずかしそうに微笑んだ。


「あの椅子はな......クッション入っていなくて痛いんだよ......。王は必ずあの椅子に座れ...って神王が言っているけど、老神には痛くて痛くてたまらないんだ......」

「そうなんですね」


 老神じゃなくても痛そうだ。
 天光琳はクッションが入っていないのは知っていた。しかし、いつも天宇軒は普通に座っていたため、座り心地が悪いなんて知らなかった。


「片付けちゃってもいいんですけど...重くてね......。頑張ってしまっても、よく美国に神王様が訪れるから、その度に出さなくてはいけなくて、大変なんですよ」


 美ルーナは苦笑いしながら言った。


「アイツ本当にめんどくさいんだよなぁ......」

「父上、口が悪いですよ」


 美梓豪がボソッと呟くと、息子の美朝阳が苦笑いしながら注意した。

 何故椅子だけでもそこまでこだわるのか分からないが、星連杰の言うことは素直に聞かないとめんどくさいそうだ。


「だったら、お祖父様が神王様になればいいじゃない!」


 先程カップケーキを食べていた美夢華は口にクリームが付いているという事に気づいないようだ。


「そんな簡単なことではないのよ」

 美鈴玉は美夢華の口を紙ナプキンで拭きながらいった。

 そう。簡単では無い。
 神王になるには、現在トップである佳宵星国を抜いて、一位にならなければいけない。

 国の王が頑張れば良いのではなく、国全体が頑張らなければ順位を上げる難しい。

 桜雲天国は...どんなに頑張っても天光琳が神の力を使えるようにならなければ一位は難しいだろう。

 玲瓏美国の神々は神王星連杰のことがとにかく嫌いなため、自分の国を一位にさせたいと皆頑張っている最中だ。

 また、美梓豪は話上手で、多くの王や神々から人気が高い。

 そのため、玲瓏美国を応援している国ばかりだ。


(お祖父様が神王になったら......)


 きっと今より過ごしやすくなるだろう。
 ......そして出来れば一週間に三回人間の願いを叶える...というルールを変えてもらいたいのだが...と天光琳は思った。

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