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ー光ー 第三章 旅の後
第五十一話 寒い朝
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「うぅ...寒い......」
天光琳は目を覚ました。
外が明るかったため、目を擦りながらゆっくり起き上がる。
(昨日窓開けっ放しだったなぁ...)
そういや窓を閉めていなかった。
窓を開けて寝ると夜は涼しいのだが、朝は寒い。
体はもう痛まなかった。服を軽く脱ぎ、包帯を解いてみるとテープの隙間から見える傷はもう薄くなっていた。
(さすが国峰先生......)
改めて国峰の凄さを感じた。
「......寒い...」
夏が終わり、もうすぐ秋だ。
天光琳は急いで包帯をまき直し、服を着直した。
(もう着替えるかな)
そう思い、ベットから降りた。
部屋は静かで仕切りのカーテンはしまったままだ。
天俊熙はまだ寝ているだろうし、起こしてしまわないようにゆっくりと着替えた。
十分後。
「ひぇ~寒い寒い!!」
「あ、俊熙おはよう!」
天光琳はソファに座り、本を読んでいると、カーテンの向こう側から声が聞こえた。
「おはよ、寒くね?」
「ね。僕も寒くて目覚めちゃった」
(...あ。窓閉めれば良かった)
天光琳は一度本を閉じた。
自分は寒くて目が覚めたのに、窓を閉めるのを忘れていた。天俊熙も寒くて目が覚めたのだろう。
「急に寒くなってきたなぁ」
天俊熙は髪を縛りながら、歩いてきた。
そして、結び終わると、一度あくびをし、クローゼットから着替えを取り出して、またカーテンの向こう側に行った。
天光琳もまた本を読み始めた。
着替え終わり、二神は顔を洗いに行った。
そして顔を洗い終わると、また部屋に戻ってきた。
「朝食の時間までまだあるなぁ......」
「本読む?」
「...いや......いい」
時計を見て暇そうにしている天俊熙に天光琳は本を進めたが、天俊熙は嫌そうな顔をした。
「そういえば、本嫌いだったね」
天光琳が苦笑いしながら言うと、天俊熙は頷いた。
天俊熙は本や勉強が苦手なのだ。
神界には学校と言うものは存在しないが、勉強はしなければいけない。
神とは不思議なもので、生まれた時から、人間界で言う、高校卒業レベルの知識は頭に入っている。
そのため、頭が悪い神はいないのだが、他にも神の力について、各国の歴史についてなどは学ばなければいけない。
二神は天麗華や草沐阳、天浩然などに教えてもらった。
特に天浩然は歴史が得意なので、話が面白かった。
しかし天俊熙はいつもつまらなそうな顔をしていた。......聞いていなかった...という訳では無いが、いやいや勉強させられている感じだった。
「そういえば、怪我は?どうなった?」
「あ、そうそう。大分良くなったの!こうやって飛び跳ねても......体を捻っても、痛くない!」
天光琳は飛び跳ねたり、体を捻ったりしながら言った。
「やっぱり国峰先生は凄いだろ...?昨日診て貰わなかったら、こんな良くなってなかったと思うよ」
天光琳はうんうんと二回頷いた。
天光琳の記憶には針を持って、笑顔で近づいてくる国峰の記憶しか無かった。
...国峰的には天光琳が大怪我をして、辛そうな顔をしていたから、少しでも気を和らげようと笑顔で接していただけなのだが......。
「まぁでも良くなったようで良かったよ......もう無茶はするな。お前は自分を大切にしろ」
「でも......無能神様の自分なんか守っても意味がな......」
天光琳は途中で口を閉じた。天俊熙が怖い表情で見てきたからだ。
天俊熙はため息をついた。
「玉桜山に行く前日の夜、万姫様も言っていだろ?意味が無いわけない。もうそういう事は言わないでくれ」
「分かった...ごめん」
天光琳がそう謝ると、天俊熙はまたいつもの優しい表情に戻った。
「分かれば良いんだよ...。俺たちも強くなる。だからお前はまず、自分の身を守ることを優先しろ。あの悪神は......お前を.........はぁ」
天俊熙は言いかけて辞めた。
先程、優しい笑顔の表情だった天俊熙は次はくらい表情になった。
その表情はまるで、これからどうなるのか知っているかのようだった。
......いや、そんなことはありえない。
知っていたら言ってくれるはずだ。
天俊熙はきっと、変なことを言って天光琳を嫌な気持ちにさせたくなかったから途中で言うのをやめたのだろう。
沈黙の時間が続き、天光琳は時計を見た。
もうすぐ朝食の時間だ。
「さ、そろそろ朝食の時間になるし、行こうか」
「あぁ」
天俊熙の表情は暗く、作り笑いをしているようだ。
(僕が変なこと言わなければ良かったな)
天光琳は先程『自分なんか守っても意味がない』なんて言わなければ良かったと後悔した。
...しかし天俊熙はそれで機嫌が悪くなったようにはあまり見えない。
何か知っていそうな...感じはする。
とはいえ、ハッキリとは分からないため、聞かない方が良いだろう。
(なんか......モヤモヤする)
最近、天俊熙は素直に教えてくれないことが増えた。それは天光琳が神の力を使えないからだろうか。
(置いていかれてる......同じぐらい頑張ってきたはずなんだけどな......)
日に日に、天俊熙との差が開いていく感じがする。小さい頃は同じものを食べて、同じぐらい修行して、舞ってきたはずなのに......。
二神は食事部屋に向かった。
天光琳は目を覚ました。
外が明るかったため、目を擦りながらゆっくり起き上がる。
(昨日窓開けっ放しだったなぁ...)
そういや窓を閉めていなかった。
窓を開けて寝ると夜は涼しいのだが、朝は寒い。
体はもう痛まなかった。服を軽く脱ぎ、包帯を解いてみるとテープの隙間から見える傷はもう薄くなっていた。
(さすが国峰先生......)
改めて国峰の凄さを感じた。
「......寒い...」
夏が終わり、もうすぐ秋だ。
天光琳は急いで包帯をまき直し、服を着直した。
(もう着替えるかな)
そう思い、ベットから降りた。
部屋は静かで仕切りのカーテンはしまったままだ。
天俊熙はまだ寝ているだろうし、起こしてしまわないようにゆっくりと着替えた。
十分後。
「ひぇ~寒い寒い!!」
「あ、俊熙おはよう!」
天光琳はソファに座り、本を読んでいると、カーテンの向こう側から声が聞こえた。
「おはよ、寒くね?」
「ね。僕も寒くて目覚めちゃった」
(...あ。窓閉めれば良かった)
天光琳は一度本を閉じた。
自分は寒くて目が覚めたのに、窓を閉めるのを忘れていた。天俊熙も寒くて目が覚めたのだろう。
「急に寒くなってきたなぁ」
天俊熙は髪を縛りながら、歩いてきた。
そして、結び終わると、一度あくびをし、クローゼットから着替えを取り出して、またカーテンの向こう側に行った。
天光琳もまた本を読み始めた。
着替え終わり、二神は顔を洗いに行った。
そして顔を洗い終わると、また部屋に戻ってきた。
「朝食の時間までまだあるなぁ......」
「本読む?」
「...いや......いい」
時計を見て暇そうにしている天俊熙に天光琳は本を進めたが、天俊熙は嫌そうな顔をした。
「そういえば、本嫌いだったね」
天光琳が苦笑いしながら言うと、天俊熙は頷いた。
天俊熙は本や勉強が苦手なのだ。
神界には学校と言うものは存在しないが、勉強はしなければいけない。
神とは不思議なもので、生まれた時から、人間界で言う、高校卒業レベルの知識は頭に入っている。
そのため、頭が悪い神はいないのだが、他にも神の力について、各国の歴史についてなどは学ばなければいけない。
二神は天麗華や草沐阳、天浩然などに教えてもらった。
特に天浩然は歴史が得意なので、話が面白かった。
しかし天俊熙はいつもつまらなそうな顔をしていた。......聞いていなかった...という訳では無いが、いやいや勉強させられている感じだった。
「そういえば、怪我は?どうなった?」
「あ、そうそう。大分良くなったの!こうやって飛び跳ねても......体を捻っても、痛くない!」
天光琳は飛び跳ねたり、体を捻ったりしながら言った。
「やっぱり国峰先生は凄いだろ...?昨日診て貰わなかったら、こんな良くなってなかったと思うよ」
天光琳はうんうんと二回頷いた。
天光琳の記憶には針を持って、笑顔で近づいてくる国峰の記憶しか無かった。
...国峰的には天光琳が大怪我をして、辛そうな顔をしていたから、少しでも気を和らげようと笑顔で接していただけなのだが......。
「まぁでも良くなったようで良かったよ......もう無茶はするな。お前は自分を大切にしろ」
「でも......無能神様の自分なんか守っても意味がな......」
天光琳は途中で口を閉じた。天俊熙が怖い表情で見てきたからだ。
天俊熙はため息をついた。
「玉桜山に行く前日の夜、万姫様も言っていだろ?意味が無いわけない。もうそういう事は言わないでくれ」
「分かった...ごめん」
天光琳がそう謝ると、天俊熙はまたいつもの優しい表情に戻った。
「分かれば良いんだよ...。俺たちも強くなる。だからお前はまず、自分の身を守ることを優先しろ。あの悪神は......お前を.........はぁ」
天俊熙は言いかけて辞めた。
先程、優しい笑顔の表情だった天俊熙は次はくらい表情になった。
その表情はまるで、これからどうなるのか知っているかのようだった。
......いや、そんなことはありえない。
知っていたら言ってくれるはずだ。
天俊熙はきっと、変なことを言って天光琳を嫌な気持ちにさせたくなかったから途中で言うのをやめたのだろう。
沈黙の時間が続き、天光琳は時計を見た。
もうすぐ朝食の時間だ。
「さ、そろそろ朝食の時間になるし、行こうか」
「あぁ」
天俊熙の表情は暗く、作り笑いをしているようだ。
(僕が変なこと言わなければ良かったな)
天光琳は先程『自分なんか守っても意味がない』なんて言わなければ良かったと後悔した。
...しかし天俊熙はそれで機嫌が悪くなったようにはあまり見えない。
何か知っていそうな...感じはする。
とはいえ、ハッキリとは分からないため、聞かない方が良いだろう。
(なんか......モヤモヤする)
最近、天俊熙は素直に教えてくれないことが増えた。それは天光琳が神の力を使えないからだろうか。
(置いていかれてる......同じぐらい頑張ってきたはずなんだけどな......)
日に日に、天俊熙との差が開いていく感じがする。小さい頃は同じものを食べて、同じぐらい修行して、舞ってきたはずなのに......。
二神は食事部屋に向かった。
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