鬼使神差〜無能神様が世界を変える物語〜

天楪鶴

文字の大きさ
上 下
51 / 184
ー光ー 第三章 旅の後

第五十話 寝る前

しおりを挟む
 夕食の時間になり、夜ご飯を食べたあと、入浴し、二神は部屋に戻ってきた。 


「ふぅ~、今日はなーんか疲れたなぁ」


 天光琳はベッドに座り、足をパタパタとさせて言った。


「俺も疲れたよ、どこかの誰かさんが医務室に行くことを嫌がるし、俺のペースに合わせないで走っていっちゃうし」


 天俊熙も自分のベッド座り、そのまま寝転がってそう言うと、天光琳は微笑した。
 そういえば家具をほとんど動かしてくれたは天俊熙だった。

 あまり動いていなかった自分が疲れたなんて言ってしまい、なんだか恥ずかしくなってきた。


「今日は色々ありがとね」

「...まぁ、誰かさんのせいでー...とは言ったけど、元々俺達を庇ってくれたから......そんな怪我を負っちゃったんだし、お礼なんていらないよ」


 お礼を言わなければいけないのは俺の方かもしれない...と天俊熙は思い起き上がると、天光琳は目を擦り、眠そうにしていた。


「眠い」

「塗り薬は塗ったか?テープと包帯は?」

「大丈夫...」


 天俊熙は兄のように天光琳に聞くと、天光琳はあくびをしながら言った。

 そして次は天光琳が寝転がった。


「昨日は少ししか眠れなかったんだ......」

「......」


 天俊熙は暗い顔をした。

 昨日の夜は本当に危なかった。
 天光琳の部屋から一番近い天万姫が気づいて助けることが出来て良かった。
 今夜は二神の部屋の外にも二神護衛神が見張っていてくれるそうだ。何かあったら直ぐに気づけるように。その方が安全だ。
 しかし、絶対に安全という訳ではない。もしかしたら姿を隠して、今ここにいるかもしれない。


「もう寝るか」

「んー」


 天俊熙はベッドから降り、仕切りのカーテンを閉めた。


「何かあったらすぐに言うんだぞ」

「分かってるー、ふわぁ~」


 天光琳はあくびをして、目をとじたまま掛け布団を掴み、くるまった。

 天俊熙もベッドに座り、ベッドに着いているカーテンを閉め、寝転がった。

 (アイツは天光琳を狙っているけど、俺と麗華様を殺しにくる可能性だってある...こわいな)

 天俊熙はだんだん怖くなってきた。...今一神でいる天麗華のことも心配になってきた。


 (でも本当に姿を隠して、城に忍び込み...俺たちを殺すことは出来るのか......?だったら昨日、助けが来たら邪魔だから先に俺たちを殺してから光琳に近づくことだって出来たんじゃ......)


 何か理由でもあるのだろうか。
 城には護衛神が沢山いるのと、結界が張ってあるため、簡単には入れない。

 ...それにしても天光琳に何をする気なのだろか......。


 (......もしかしてアイツ、光琳に力を移し、光琳と繋がったんじゃ......。だから頭の中に声を送れるし、悪夢だって見せることが出来るかもしれない......これはまずい)


 現在、神界には力を移す能力は存在しないため、どうすることも出来ない。


 (早く悪神を封印しないと...)



「あねうえ......ぼくは......こどもじゃないです......」

 (...ん?寝言か)


 天光琳はもう夢の中らしく、寝言をふにゃふにゃと言った。

 寝言から、今は悪夢を見ているわけでは無さそうだ。

 天俊熙は安心した。安心するとだんだん眠くなってきた。そして、一度寝返りをし、眠りについた。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

後宮物語〜身代わり宮女は皇帝に溺愛されます⁉︎〜

菰野るり
キャラ文芸
寵愛なんていりません!身代わり宮女は3食昼寝付きで勉強がしたい。 私は北峰で商家を営む白(パイ)家の長女雲泪(ユンルイ) 白(パイ)家第一夫人だった母は私が小さい頃に亡くなり、家では第二夫人の娘である璃華(リーファ)だけが可愛がられている。 妹の後宮入りの用意する為に、両親は金持ちの薬屋へ第五夫人の縁談を準備した。爺さんに嫁ぐ為に生まれてきたんじゃない!逃げ出そうとする私が出会ったのは、後宮入りする予定の御令嬢が逃亡してしまい責任をとって首を吊る直前の宦官だった。 利害が一致したので、わたくし銀蓮(インリェン)として後宮入りをいたします。 雲泪(ユンレイ)の物語は完結しました。続きのお話は、堯舜(ヤオシュン)の物語として別に連載を始めます。近日中に始めますので、是非、お気に入りに登録いただき読みにきてください。お願いします。

規約違反少女がマッチングアプリで無法すぎる!

アメノヒセカイ
恋愛
『更新』 週1更新。 毎週土曜日23時 番外編 エブリスタにて、「新年、悪夢で目覚めたんだが?」と同じ内容です。 『あらすじ』 学生専用マッチングアプリに登録したヒウタは、一人の女性と出会う。 しかし、その女性は高校の制服を着ていて。 これは、恋愛を全くしてこなかったヒウタが、マッチングアプリに出会い、自身の恋活と様々な恋愛の形に奮闘する物語である。 ☆略は『キヤマチ』です。 ・お気に入り登録、感想で更新を頑張ります! 応援よろしくお願いします!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

処理中です...