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ー光ー 第三章 旅の後

第四十五話 二神部屋

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「今行きまーす」


 天俊熙はティーポットを置き、早歩きで扉まで行き開けた。


「あら、もう終わったのね」


 天麗華は部屋の中をキョロキョロみながら言った。
 天光琳も立ち上がり、走って二神の近くへ来た。


「はい、俊熙のおかげで早く終わりました!」


 そう言って、天光琳は天俊熙を見てニコッと微笑んだ。


「能力を使ったのね」

「そうです」

「物を浮かせることが出来るんです!凄くて凄くて!...本当に凄かったです!!」


 天光琳は神の力が使えないため、天俊熙の能力に感動して、目を輝かせながら言っている。その様子は、素敵なものを見つけ、そのものを他人に説明している子供のようだった。

 天俊熙は「そんなに凄いことではないぞ...」っと褒められすぎて顔を真っ赤にしながらボソッと呟いた。
 その様子を見た天麗華はふふっと笑った。



「羨ましいわ......私も二神と同じ部屋が良かったわ...。賑やかで楽しそうだもの」

「この年齢で姉と同じ部屋なんて...ちょっと難しいかもしれないですね...」

「そうね...」


 天俊熙が苦笑いしながら言うと、天麗華は羨ましそうに、どこか寂しそうに言った。


「父上が私ではなく俊熙にお願いしたのも、それが理由なのかもしれないわね。...それに私が男神だったら......良かったのに」


 天麗華は口を尖らせた。

 性別が違うと、着替えの時に困る...などそういう意味なのかもしれない。
 また年齢が近い男神は天俊熙しかいない。
 天浩然や天宇軒と同じ部屋だなんて...天光琳は毎日胃が痛くなるだろう。


「いやだ!姉上が男神だったら...こんなに優しくしてくれないもん......俊熙みたいになったらいやだ!」

「んん?それどういう意味だ?」


 天光琳は小さい子供のように言うと、天俊熙は天光琳の言葉に引っかかった。
 最後のはふざけて言ったのだが...。
 天麗華はその様子を見て微笑んだ。


 ✿❀✿❀✿


「そう言えば...麗華様は光琳の様子を見に来た...って感じですか?それとも何か用があったりしますか?」

「あぁ、そうだ!忘れていたわ!」

 何か思い出したらしく、天麗華は立ち上がった。
 天麗華を部屋に入れ、一緒にゆっくりお茶を飲んで話をしていた。

 天俊熙は何か用があるのかとずっと気になっており、タイミングを見計らって聞いて見た。
 ...予感は当たっていた。
 天麗華は咳払いをした。


「それもそうなんだけど、父上が言いたいことがある...ですって」

「それやばくないですか!?」

「姉上、それは早く言ってくださいよ!」


 二神はティーカップを一度テーブルに置き、立ち上がった。


「ごめんね、でも大丈夫。家具移動させたりで大変だと思うからすぐじゃなくて良い、落ち着いたら三神揃って来い...て言っていたから...」


 天麗華が両手を合わせながら申し訳なさそうに言うと、二神はホッと息を吐いた。

 天宇軒がいつも仕事をしている部屋に行けば良いそうだ。
 その部屋までそこまで離れていない。


「じゃあ今から行くか。光琳、大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ」

「ごめんなさい...直ぐに言えばよかったわ」

「俺も早く聞けば良かったかも」

 三神は微笑した。
 話とはなんだろう。
 気になるため、三神は天宇軒のいる部屋へ向かった。
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