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プロローグ
第一話 プロローグ
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神界......そこは神々が暮らす世界。
神界には古くから伝わるある説話が神々の間では有名だった。
鬼神と呼ばれる悪神が現れたら、神界は襲われ滅びる。そして世界から私たち神々は消え、人間たちは皆不幸になる。最悪な世の中になってしまうのだ......と。
しかしその説話は、鬼神が世界を滅ぼしたのではなく、鬼神に取り憑かれた神界の神が世界を滅ぼしたという説もある。その説話を......"鬼使神差"と皆は呼んでいる。
鬼使神差とは人間界のある国の言葉だ。意味は『まるで物のけに取りつかれたかのようである』ということらしく、説話にピッタリな言葉だったため、ある神がそう呼ぶようにした。すると、どんどん広まっていき、今では鬼使神差は有名になった。
その説話は誰が考えたのかは分からない。
本当にそんなことが起こるのだろうか?
恐ろしい話だ。神々はその恐ろしい説話を知ってはいるものの口にはしなかった。
......しかし。
ある時、事件は起きてしまう。
世界から突然光は消えた。
鬼使神差......これは鬼神と神々の一つの物語だ。
✿❀✿❀✿
ーここは......どこ...?
"彼"はゆっくりと起き上がった。
地面は濡れている......浅い湖のようだ。
一体どれぐらい眠っていたのだろうか。
そう考えていると、後ろから水の跳ねると音一緒に足音が聞こえてきた。
振り返ると、髪の長い角が生えた男が立っていた。
男は涼しげな顔をしているが、どこか怪しさを感じられる。
『目覚めたようですね。安心しました』
ー君は...誰?......えっと...僕は......誰...だっけ......
昔のことがどうも思い出せない。
まるで今生まれてきたばかりのように一つも思い出せないのだ。
自分の名前も......自分は何者なのかも分からない。
すると男は"彼"の側まで来てしゃがんだ。
『◆◆◆様、貴方様はこの国の王でございます。私はいつも貴方のそばにいた●●●●●●●です。貴方様は戦い中大怪我をされて......戦いの後、眠りについてしまったのです』
ー◆◆◆......王...●●●●●●●...戦い......?ごめんなさい。僕...記憶がなくて......。
戦いとはどんな戦いだったのだろうか。そして自分は王だったのか。
何があったか思い出せないが、この国の王であるのに戦い中に大怪我をし、眠りについた。そして記憶がないとは......なんだか情けなく感じてくる。
"彼"は水面に映る自分の顔を眺めた。
『大丈夫ですよ。また"新しい"思い出を作っていけば良いのですから』
ー思い出してはいけないの?
『そうですね......いけませんよ』
ーうっ...。
頭がズキっと痛くなった。
何か忘れているような気がする。...少し...いや、とても大切なことを。
頭痛が治まり、空を見上げる。
真っ暗な空にとても大きな月が輝いている。
それはスポットライトかのように自分だけを照らしているようにも見える。
ー僕は何者なんだろう。
全く思い出せない。
...まぁそれでも良い。思い出したらいけない...というぐらいなのだから、きっと残酷な過去なのだろう。
湖で眠っていたため、髪や服は濡れ、雫がぽたぽたと零れていく。この静かな空間に、雫が零れる音が響いている。
ーん...?
水面に映る自分の左首には薄くなった傷痕が見えた。
不思議に思い、辿ってみると、右腕脇腹まで続いていた。
...そして自分の右腕がないことに気づいた。誰かに斬り落とされたのだろうか。しかし今はもう痛まない。
何となく左手に力を入れると、手から黒い光を出すことが出来た。
これを試しに右腕肩に当ててみる。...すると新しい腕を作り出すことが出来た。
同じ肌色ではなく、黒色だが、腕がないよりはマシだ。
ーどうしてこんなに傷だらけなんだろう...。
...なら、思い出さない方が良いのかもしれない。
前の自分が記憶を消したのかもしれないし......。
風が吹いた。
"彼"はゆっくりと立ち上がった。
濡れた長い髪の毛と濡れた黒いマントをなびかせる。
『行きましょう。◆◆◆様。皆が貴方様のことを待っています』
皆とは誰だろう。
分からないが、ずっとここにいる訳には行かない。
"彼"は小さく頷き、男について行った。
神界には古くから伝わるある説話が神々の間では有名だった。
鬼神と呼ばれる悪神が現れたら、神界は襲われ滅びる。そして世界から私たち神々は消え、人間たちは皆不幸になる。最悪な世の中になってしまうのだ......と。
しかしその説話は、鬼神が世界を滅ぼしたのではなく、鬼神に取り憑かれた神界の神が世界を滅ぼしたという説もある。その説話を......"鬼使神差"と皆は呼んでいる。
鬼使神差とは人間界のある国の言葉だ。意味は『まるで物のけに取りつかれたかのようである』ということらしく、説話にピッタリな言葉だったため、ある神がそう呼ぶようにした。すると、どんどん広まっていき、今では鬼使神差は有名になった。
その説話は誰が考えたのかは分からない。
本当にそんなことが起こるのだろうか?
恐ろしい話だ。神々はその恐ろしい説話を知ってはいるものの口にはしなかった。
......しかし。
ある時、事件は起きてしまう。
世界から突然光は消えた。
鬼使神差......これは鬼神と神々の一つの物語だ。
✿❀✿❀✿
ーここは......どこ...?
"彼"はゆっくりと起き上がった。
地面は濡れている......浅い湖のようだ。
一体どれぐらい眠っていたのだろうか。
そう考えていると、後ろから水の跳ねると音一緒に足音が聞こえてきた。
振り返ると、髪の長い角が生えた男が立っていた。
男は涼しげな顔をしているが、どこか怪しさを感じられる。
『目覚めたようですね。安心しました』
ー君は...誰?......えっと...僕は......誰...だっけ......
昔のことがどうも思い出せない。
まるで今生まれてきたばかりのように一つも思い出せないのだ。
自分の名前も......自分は何者なのかも分からない。
すると男は"彼"の側まで来てしゃがんだ。
『◆◆◆様、貴方様はこの国の王でございます。私はいつも貴方のそばにいた●●●●●●●です。貴方様は戦い中大怪我をされて......戦いの後、眠りについてしまったのです』
ー◆◆◆......王...●●●●●●●...戦い......?ごめんなさい。僕...記憶がなくて......。
戦いとはどんな戦いだったのだろうか。そして自分は王だったのか。
何があったか思い出せないが、この国の王であるのに戦い中に大怪我をし、眠りについた。そして記憶がないとは......なんだか情けなく感じてくる。
"彼"は水面に映る自分の顔を眺めた。
『大丈夫ですよ。また"新しい"思い出を作っていけば良いのですから』
ー思い出してはいけないの?
『そうですね......いけませんよ』
ーうっ...。
頭がズキっと痛くなった。
何か忘れているような気がする。...少し...いや、とても大切なことを。
頭痛が治まり、空を見上げる。
真っ暗な空にとても大きな月が輝いている。
それはスポットライトかのように自分だけを照らしているようにも見える。
ー僕は何者なんだろう。
全く思い出せない。
...まぁそれでも良い。思い出したらいけない...というぐらいなのだから、きっと残酷な過去なのだろう。
湖で眠っていたため、髪や服は濡れ、雫がぽたぽたと零れていく。この静かな空間に、雫が零れる音が響いている。
ーん...?
水面に映る自分の左首には薄くなった傷痕が見えた。
不思議に思い、辿ってみると、右腕脇腹まで続いていた。
...そして自分の右腕がないことに気づいた。誰かに斬り落とされたのだろうか。しかし今はもう痛まない。
何となく左手に力を入れると、手から黒い光を出すことが出来た。
これを試しに右腕肩に当ててみる。...すると新しい腕を作り出すことが出来た。
同じ肌色ではなく、黒色だが、腕がないよりはマシだ。
ーどうしてこんなに傷だらけなんだろう...。
...なら、思い出さない方が良いのかもしれない。
前の自分が記憶を消したのかもしれないし......。
風が吹いた。
"彼"はゆっくりと立ち上がった。
濡れた長い髪の毛と濡れた黒いマントをなびかせる。
『行きましょう。◆◆◆様。皆が貴方様のことを待っています』
皆とは誰だろう。
分からないが、ずっとここにいる訳には行かない。
"彼"は小さく頷き、男について行った。
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