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〈悪役王子〉と〈ヒロイン〉王都編
【34】アリシア・テリフィルアと離宮の日常 ☆
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***
離宮の窓から外の景色を眺めて、アリシアはぼんやりとしていた。
フィリップと一緒に王都に帰ってきてから、はや三日。何かが欠けているような感覚と、醒めない夢を見ているような感覚が、ずっと抜けない。
「アリシア様。大丈夫ですか?」
「……ええ。大丈夫よ。ちょっと疲れてしまっただけ」
心配そうな顔でアリシアに声を掛けてきたのは、侍女のヘレン。幼少の頃より特別な教育を受け、アリシアの側仕えをしている伯爵令嬢だ。
フィリップ付きの伯爵令息コリンも含め、彼ら彼女らも、アリシアの幼馴染である。戻ってきたアリシアのことを、ふたりは優しく迎えてくれた。
(コリンやヘレンも、王都で動いてくれていたのよね。私だけが待つばかりで。何の役にも立てなくて)
青楼にいた時にもおぼえたような虚しさがまた胸に立ち込め、アリシアの表情は微かに曇る。それに気づいたのだろうか、ヘレンは穏やかに微笑んで、アリシアの手の上で置き物と化していた教本をさっと取り上げた。
「では、お茶にいたしましょうか。アリシアお嬢様?」
「もうっ、お嬢様と呼ぶのはやめてと言っているでしょ。落ち着かないわ。――お茶は、飲みます。お願いね」
「かしこまりました。すぐに準備させます」
ヘレンはメイドにお茶の支度をするように指示をして、今日もてきぱきと仕事をしている。一方、自分はと言えば……とアリシアはその状況を比較した。
この数日のアリシアは、離宮に囲われて本を読んでいるだけだ。先ほどはそれさえもできていなかったと思うと、彼女の心はさらに曇る。
(連日の快楽で、本当に頭が溶けてしまったのかしら。集中力が続かない。……この身体も。ずっと疼いているままで)
視線を落とし、自らの下腹部をそっと撫でる。まだここに吐精はされていないから、妊娠はしていないはずだ。はやく彼に触れられたい、とアリシアは願ってしまう。
アリシア・テリフィルアは、シシリー・セルナサス公爵令嬢暗殺未遂事件の容疑者として塔に幽閉され、塔から王弟側の者に攫われ――王弟の指示に従ったふりをしたシシリーの手によって、娼館送りにされていた。
そんな彼女の身の潔白を証明するため、今、アリシアとフィリップは〝おあずけ期間〟である。
彼女が青楼にいる間に、王宮では事件の凶器となった魔法陣の解析が無事に為され、アリシアは容疑者から外れたという。しかし、彼女は一度は娼婦となった身だ。はたして未来の王妃になる資格があるのか、婚約を解消するべきではないか、という貴族たちの声は小さくない。
彼女のもとには毎晩フィリップが通っていたために他の男には抱かれていないと彼に主張されども、証拠がなければ話にならない――というわけで。アリシアに月の物が来るか、妊娠のしるしが表れるか。今はそれを待っている状況だった。
そして、それまでの間、フィリップは彼女の秘処に触れないというのだ。『ここで間違いを犯したくないから』とのことらしい。
ゆえに王都に帰ってきてからは、ふたりはキスまでしかしていなかった。アリシアはもどかしくて堪らなかった。
(あんなことになっても未だ王太子婚約者の座にいられているのは、殿下や皆さんのおかげ。婚約解消をさせまいと、止めてくださったおかげ。とても感謝している。恵まれている。そう、だから。これは、ひとえに私の心の問題なのよ……)
アリシアは目を瞑り、これまでの授業や稽古で学んだことを頭の中で再現する。理想の〝未来の王妃〟の姿を思い描く。今の自分は、すっかりその姿から離れているようだと感じた。
この一週間で起きた出来事と身体の変化に、彼女の心の一側面――妃になるべくして生きてきた心は、ついてこられていない。
心と体を繋ぐ何かがほどけたような感覚がしている。自分の身体を自分のものじゃないように思う。テリフィルア侯爵家の娘である自覚は残っていても、その中身は、娼妓なのか、妃なのか、ぐちゃぐちゃと混ざって決まらない思いがしている。
青楼ファリィサで過ごした日々にも、楽しみや幸せはあった。学びはあった。忘れたくない出会いがあった。それなのに、心のどこかは〝あの卒業パーティーの夜に戻れたら……〟なんて夢を見ている。
「コリンも、ヘレンも、学院の時のように〝アリシア〟と呼んでくれればいいのに」
「そういうわけにもいかないのですよ。私たちは、もう学生ではないのですから」
「むぅ」
「そのようにお甘えになられるのは、王太子殿下の御前だけにしてくださいませ。あの方ったら、私にまで嫉妬なさるのです」
「うふふふっ、殿下は昔から嫉妬深いものね」
「また惚気ですか?」
「ええ、そうよ。惚気ているの」
アリシアはにこにこと笑って、この醜い中身を、どうか仲間たちには知られないようにと演技する。
みんなが守ってくれた〝アリシア・テリフィルア〟を壊したくなかった。外側だけでも、理想の淑女でありたかった。
(ああ、どうしましょう)彼女は悩む。
彼の隣に、王都に帰ってきたのに……〝元に戻りたい〟〝帰りたい〟という欲が、消えない。それでいて、帰りたい先がどこなのかもわからない。
「――ただいま。アリシア」
「おかえりなさいませ。殿下。お疲れさまでございます」
「ん。ありがとう」
離宮の寝室で彼を出迎え、アリシアは〝おかえりなさいのキス〟をする。
朝の〝おはよう〟と〝いってらっしゃい〟に、夜の〝おかえりなさい〟と〝おやすみ〟。その四度のキスは、フィリップと交わす日常の触れ合いだった。
またアリシアが攫われたら困る、だから僕が隣で守る――と彼らしく主張したフィリップは、得意の論理でアリシアと共寝する権利を勝ち取ったらしい。青楼からの馬車の中で嬉しそうに話してくれた。
(今の私たちには、どれほど、オトメゲームの力がはたらいているのかしら。今も、彼らの手のひらの上なのかしら)
くちゅくちゅと深いキスを重ねつつ、アリシアはぼんやりと考える。ほとんど常にぼんやりしていて、同時に薄っすらと何かを考えている気もする。
「っ、アリシア……」
「はい、殿下」
「僕の名前を呼んでくれ。頼む」
「……フィリップ様」
にこりと笑った彼に抱き上げられ、彼女はベッドへと連れていかれる。いつも何かをしてもらうばかりだ。守られて愛されてばかりだ。
(私は、ここに、いるのかしら。必要なのかしら)
フィリップの温かな手に頬を撫でられ、髪を掬われ、アリシアはゆっくりと瞬きした。
「明日は、攻略対象の四人と会うイベントが、起きるんだけど……。また、全部、僕でいるから。僕が会いにいくから」
「はい、フィリップ様」
「あとちょっと、一緒に、頑張ろうね……」
横になると、疲れが一気にきてしまうのだろう。フィリップは眠そうな声で言って、ちょっと悔しそうに「ごめんね」とも言った。
アリシアがこの触れ合いだけでは満足できていないことくらい、きっと彼なら察してしまっている。アリシアの心を誰よりも知るのはフィリップだ。とアリシアは思っている。
「結婚したら、もっと、してくださいませ」
「……うん。いっぱいする」
彼は「おやすみ」とキスをして、彼女の胸に顔をうずめた。アリシアの双丘に頬をすり寄せ、彼は眠る。これも離宮に来てからの日常だ。
彼女には、彼に愛されている自覚がしっかりとある。
ただ、それでも、小さな歪みはどこにでも生まれるもので。フィリップでさえも時に間違えるのなら、アリシアが何も間違えないはずがないわけで。
――シナリオ外の事件の芽は、ふたりの間で密かに育ちつつあった。
離宮の窓から外の景色を眺めて、アリシアはぼんやりとしていた。
フィリップと一緒に王都に帰ってきてから、はや三日。何かが欠けているような感覚と、醒めない夢を見ているような感覚が、ずっと抜けない。
「アリシア様。大丈夫ですか?」
「……ええ。大丈夫よ。ちょっと疲れてしまっただけ」
心配そうな顔でアリシアに声を掛けてきたのは、侍女のヘレン。幼少の頃より特別な教育を受け、アリシアの側仕えをしている伯爵令嬢だ。
フィリップ付きの伯爵令息コリンも含め、彼ら彼女らも、アリシアの幼馴染である。戻ってきたアリシアのことを、ふたりは優しく迎えてくれた。
(コリンやヘレンも、王都で動いてくれていたのよね。私だけが待つばかりで。何の役にも立てなくて)
青楼にいた時にもおぼえたような虚しさがまた胸に立ち込め、アリシアの表情は微かに曇る。それに気づいたのだろうか、ヘレンは穏やかに微笑んで、アリシアの手の上で置き物と化していた教本をさっと取り上げた。
「では、お茶にいたしましょうか。アリシアお嬢様?」
「もうっ、お嬢様と呼ぶのはやめてと言っているでしょ。落ち着かないわ。――お茶は、飲みます。お願いね」
「かしこまりました。すぐに準備させます」
ヘレンはメイドにお茶の支度をするように指示をして、今日もてきぱきと仕事をしている。一方、自分はと言えば……とアリシアはその状況を比較した。
この数日のアリシアは、離宮に囲われて本を読んでいるだけだ。先ほどはそれさえもできていなかったと思うと、彼女の心はさらに曇る。
(連日の快楽で、本当に頭が溶けてしまったのかしら。集中力が続かない。……この身体も。ずっと疼いているままで)
視線を落とし、自らの下腹部をそっと撫でる。まだここに吐精はされていないから、妊娠はしていないはずだ。はやく彼に触れられたい、とアリシアは願ってしまう。
アリシア・テリフィルアは、シシリー・セルナサス公爵令嬢暗殺未遂事件の容疑者として塔に幽閉され、塔から王弟側の者に攫われ――王弟の指示に従ったふりをしたシシリーの手によって、娼館送りにされていた。
そんな彼女の身の潔白を証明するため、今、アリシアとフィリップは〝おあずけ期間〟である。
彼女が青楼にいる間に、王宮では事件の凶器となった魔法陣の解析が無事に為され、アリシアは容疑者から外れたという。しかし、彼女は一度は娼婦となった身だ。はたして未来の王妃になる資格があるのか、婚約を解消するべきではないか、という貴族たちの声は小さくない。
彼女のもとには毎晩フィリップが通っていたために他の男には抱かれていないと彼に主張されども、証拠がなければ話にならない――というわけで。アリシアに月の物が来るか、妊娠のしるしが表れるか。今はそれを待っている状況だった。
そして、それまでの間、フィリップは彼女の秘処に触れないというのだ。『ここで間違いを犯したくないから』とのことらしい。
ゆえに王都に帰ってきてからは、ふたりはキスまでしかしていなかった。アリシアはもどかしくて堪らなかった。
(あんなことになっても未だ王太子婚約者の座にいられているのは、殿下や皆さんのおかげ。婚約解消をさせまいと、止めてくださったおかげ。とても感謝している。恵まれている。そう、だから。これは、ひとえに私の心の問題なのよ……)
アリシアは目を瞑り、これまでの授業や稽古で学んだことを頭の中で再現する。理想の〝未来の王妃〟の姿を思い描く。今の自分は、すっかりその姿から離れているようだと感じた。
この一週間で起きた出来事と身体の変化に、彼女の心の一側面――妃になるべくして生きてきた心は、ついてこられていない。
心と体を繋ぐ何かがほどけたような感覚がしている。自分の身体を自分のものじゃないように思う。テリフィルア侯爵家の娘である自覚は残っていても、その中身は、娼妓なのか、妃なのか、ぐちゃぐちゃと混ざって決まらない思いがしている。
青楼ファリィサで過ごした日々にも、楽しみや幸せはあった。学びはあった。忘れたくない出会いがあった。それなのに、心のどこかは〝あの卒業パーティーの夜に戻れたら……〟なんて夢を見ている。
「コリンも、ヘレンも、学院の時のように〝アリシア〟と呼んでくれればいいのに」
「そういうわけにもいかないのですよ。私たちは、もう学生ではないのですから」
「むぅ」
「そのようにお甘えになられるのは、王太子殿下の御前だけにしてくださいませ。あの方ったら、私にまで嫉妬なさるのです」
「うふふふっ、殿下は昔から嫉妬深いものね」
「また惚気ですか?」
「ええ、そうよ。惚気ているの」
アリシアはにこにこと笑って、この醜い中身を、どうか仲間たちには知られないようにと演技する。
みんなが守ってくれた〝アリシア・テリフィルア〟を壊したくなかった。外側だけでも、理想の淑女でありたかった。
(ああ、どうしましょう)彼女は悩む。
彼の隣に、王都に帰ってきたのに……〝元に戻りたい〟〝帰りたい〟という欲が、消えない。それでいて、帰りたい先がどこなのかもわからない。
「――ただいま。アリシア」
「おかえりなさいませ。殿下。お疲れさまでございます」
「ん。ありがとう」
離宮の寝室で彼を出迎え、アリシアは〝おかえりなさいのキス〟をする。
朝の〝おはよう〟と〝いってらっしゃい〟に、夜の〝おかえりなさい〟と〝おやすみ〟。その四度のキスは、フィリップと交わす日常の触れ合いだった。
またアリシアが攫われたら困る、だから僕が隣で守る――と彼らしく主張したフィリップは、得意の論理でアリシアと共寝する権利を勝ち取ったらしい。青楼からの馬車の中で嬉しそうに話してくれた。
(今の私たちには、どれほど、オトメゲームの力がはたらいているのかしら。今も、彼らの手のひらの上なのかしら)
くちゅくちゅと深いキスを重ねつつ、アリシアはぼんやりと考える。ほとんど常にぼんやりしていて、同時に薄っすらと何かを考えている気もする。
「っ、アリシア……」
「はい、殿下」
「僕の名前を呼んでくれ。頼む」
「……フィリップ様」
にこりと笑った彼に抱き上げられ、彼女はベッドへと連れていかれる。いつも何かをしてもらうばかりだ。守られて愛されてばかりだ。
(私は、ここに、いるのかしら。必要なのかしら)
フィリップの温かな手に頬を撫でられ、髪を掬われ、アリシアはゆっくりと瞬きした。
「明日は、攻略対象の四人と会うイベントが、起きるんだけど……。また、全部、僕でいるから。僕が会いにいくから」
「はい、フィリップ様」
「あとちょっと、一緒に、頑張ろうね……」
横になると、疲れが一気にきてしまうのだろう。フィリップは眠そうな声で言って、ちょっと悔しそうに「ごめんね」とも言った。
アリシアがこの触れ合いだけでは満足できていないことくらい、きっと彼なら察してしまっている。アリシアの心を誰よりも知るのはフィリップだ。とアリシアは思っている。
「結婚したら、もっと、してくださいませ」
「……うん。いっぱいする」
彼は「おやすみ」とキスをして、彼女の胸に顔をうずめた。アリシアの双丘に頬をすり寄せ、彼は眠る。これも離宮に来てからの日常だ。
彼女には、彼に愛されている自覚がしっかりとある。
ただ、それでも、小さな歪みはどこにでも生まれるもので。フィリップでさえも時に間違えるのなら、アリシアが何も間違えないはずがないわけで。
――シナリオ外の事件の芽は、ふたりの間で密かに育ちつつあった。
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