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〈悪役王子〉と〈ヒロイン〉花街編

【30】七日目――悪役王子様と、全部 −2− ★

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「見て見て。婚約指輪のちっちゃいの。宝石も付いてるんだよ?」

 とフィリップは、糸で吊られた小さな輪をアリシアの顔前で揺らす。どこからそんなものを、と彼女は首を傾げたが、すぐに〝きっと魔法ね〟とひとり頷いた。
 成人の儀の後に贈られた婚約指輪をそっくりそのまま小さくしたような、金剛石ダイヤモンドの輝く白金製の輪。それをフィリップは指先で摘まみ、糸から外し、アリシアの芽へと押し付ける。

「ここに付けてあげるね」
「にゃう!」

 敏感な箇所を守るように包んでいた皮を剥かれ、そのまま、根元へと嵌められた輪に留められる。赤くぷっくりとしたそれを、宝石と白金の玩具が締め付ける。

「女の子のちっちゃいおちんちん可愛い……っ、僕のとキスしよーね」
「あっ」

 前を開いて露わになった彼の雄芯はもう大きくなっていて、だらりと先走りを滴らせていた。根元にはアリシアとおそろいの、婚約指輪をそのまま大きくしたらしい玩具が嵌められている。
「ちゅっ、ちゅー」と彼は子どもにキスするパパのように言いながら、アリシアの淫芽に亀頭でキスをした。

「にゃっ、にゃ、やぁん」

 ぐちゅぐちゅと先走りを纏った雁首に押し潰され、アリシアの身体は快感の剣を振るわれたかのように強い快楽に貫かれる。小さな芽から達するのに、もう時間はかからなかった。

「にゃああ――っ!」

 叫ぶと同時にぷしゃああっと潮を吹きだし、彼の竿をびしゃびしゃに濡らしてしまう。

「元気にイけたね。偉い偉い。もっと僕も責めたいし、焦らしプレイはまた今度じっくりしようか」
「ふにゃ……?」
「これ。今日も頑張れる?」

 そう言って彼が見せてきたのは、奇妙な形をした空色の宝石――あの夜には緑色の宝石だった、ぐにゃりと曲がった一輪の薔薇を模した性具だった。

「……ッ」

 アリシアは息を呑み、わざと恥ずかしそうな顔を作った後で、こくりと頷く。恥ずかしい行為だとは未だに思うけれども、あの快楽をまた味わいたかった。癖になりそうだった。
「ありがとう、ゆっくり入れるね」とフィリップは、その宝石の茎を小穴に当てる。くにくにと触り、やがて――つぷりと中に入れてしまう。

「~っ! ぁああ……!」

 細い道を拓かれる違和感と強烈な快楽に、彼女の腰はバタンッと跳ね上がった。

「頑張ったね。じゃあ、おまんこの中も触るよ」
「な、か……? ――きゃああっ!」

 濡れそぼった蜜窟に、彼の指がぬるりと一気に挿し込まれる。肉壁を隔てた向こうにある宝石の存在を探るように、フィリップの指は彼女の中を擦った。

「あっ、あ、ああぁっ」

 パチパチと頭がはじけてしまいそうな感覚に、アリシアは目を白黒させる。この一週間でたくさんの未知を知ってきたのに、まだ新たな気持ちよさを知ってしまうとは。と心は喜び憂う。

「ここ、入ってるのわかるよ。すごいね……」
「にゃぅん、にゃあ……っ」
「強くしたら痛そうだから、優しく擦っててあげるね。イきそうになったら言って」
「は、はい……ぅう、にゃあ……」

 ゆったりと、ゆったりと、彼はアリシアの内壁を撫でていく。
 宝石の花に微弱な力で乳嘴を振動させられ、魔法の植物に耳を舐められ、手首を撫でられ、白金の輪に花芽を締められ。
 そこらじゅうから与えられる快楽が中心に集まってくるように、彼女はじわじわと高められていった。

(あぁ、きもちいい……気持ちいい……挿さってるとこ、裏から擦られるの、きもちい……!)

 ぴくぴくと腹筋が震え、さらなる快楽を求める欲望が膨れ上がる。今宵は悪魔にそそのかされるより先に、彼女はそうすることを望んだ。そうなるために、情欲を煽るために口を開いた。

「い、イきそう……です、フィリップさまぁ……っ、イきます、もうイっちゃいますっ」
「わかった。ちょっとだけ我慢してみて」
「ひぇ……!?」

 いつもは〝いいよ〟と言ってくれる彼に、思いがけずにそう言われて。アリシアはどうしていいかわからず、反射的に蜜窟に力を入れた。きゅうっときつく締まったそこから、彼は最後の一撫でとともに指を抜く。そして、

「にゃあ――」
「いいよ」

 彼女が絶頂を迎えるところを、その美しい顔で受け止めた。秘処に口づけた。

「やあぁぁぁ――っ!?」

(やだっ、やだ、フィリップ様の御顔に……っ、私の、私の……! 嫌ぁ!)

 彼女の花芽を水責めにし、宝石の薔薇からこぼれた激しい朝露は、彼の顔を濡らして口元へと伝っていく。フィリップは恍惚とした表情で、彼女のそれを飲んでいった。

「いやぁっ、おやめください! いけませんっ! フィリップさまぁ……っ、あぁぁ――!」

 自らの潮によってもたらされた淫芽への刺激に、彼女はまた潮を吹く。身をよじっても、足をバタつかせても、フィリップの頭は離れてくれない。

「やにゃあ……っ、ごめにゃさい、ごめにゃしゃい……!」

 潮吹きを止められない、彼を押しのけることもできないアリシアは、その姿を潤んだ瞳で見つめていることしかできなかった。


「――……ふぇっ、みゃ……にゃあぁ……」
「ああ、アリシア――強くして、ごめんね。また、ゆっくり……」

 なんてフィリップらしい優しい口調で、フィリップの声と顔で言いのけて。涙ぐむアリシアの小穴から、彼は宝石の薔薇を抜き取った。

「ふにゃあ――!」

 残りをすべて吐き出すようにぴゅっぴゅと潮を吹き、彼女は背後の彼にへにゃりと寄りかかる。彼女の内腿の間からは、滾った彼の雄茎が顔を覗かせていた。

「久々だね、これ」
「にゃぅ……!」

 彼はアリシアの背後から腰を鷲掴み、ばちゅんっ、ばちゅんっと音を立てて陰唇と雄芯とを擦り合わせていく。

「ああぁ、あ、にゃあん……っ」

 アリシアは二度も果てた後、『じゃあ次は』と正面から彼に抱きしめられた。

「っ、え……?」
『こんばんは、アリシア。すっごく楽しそうだね?』

 もうひとりの彼と対になるような彼に、白い衣装を纏った彼に、いよいよ彼女の頭はおかしくなりそうだった。
 彼はアリシアにキスをして、どこかで飲んだ覚えのある甘くて刺激的なものを口移しする。

「ふゃ……?」
『これは、媚薬。あるいは惚れ薬。きみや僕が過去に味わったのと同じものだよ。冬の学院でも、春の王宮でも、オトメゲームのイベントが起きて――らぶらぶしたよね』
「うん……」

 彼女の頭や心はとろけるようで、もう理性など遠い昔に置いてきてしまったのかもしれなかった。

『演じるえっちじゃなくてさ、もっと、思うがままにきみを愛したい、って。この一週間――いや、ずっと前から、思ってたよ。
 きみがヒロインじゃなければ良かったって。オトメゲームに振り回されない時代に、きみと一緒に生まれたかったって。きみと、心のままに愛しあえる僕らでありたかった……っ』

 彼は目を瞑り、甘えるように、己の額をアリシアの額にくっつける。

『――でも、もうすぐ、やっと、エンディングだ』
「今日も――」ともうひとりの彼が間に入り、このシナリオを先に進めんとする。

 物語は、進まなければならない。

「ふたりの僕で愛してあげるよ」
『いっぱい可愛がってあげるね』
「そして、この正体を明かそう――」
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