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後日談2
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「いらっしゃい!」
小原田さんは元気よく、ほわほわした笑顔で迎えてくれた。
「こんばんは、小原田さん。お邪魔します。これ、食後のデザートにでも。」
「わー!美味しそう!ありがとうございます!」
今回は小さめのフルーツゼリーにしてみた。ドーナツ型で、蜜柑やキュウイ、パイナップルが入っている。また、エディブルフラワーが鮮やかで美しい。可愛くて、思わず買ってしまった。リビングに行くと、ある程度準備は終わっていた。
「じゃ、配膳しちゃうから待っててね!」
その言葉よりしばらくして、ぱたぱたと可愛い足音をたてて小原田さんはビーフシチューと共にやってきた。
「ありがとう。リビング模様替えしたのね…わ、美味しそう!」
「でしょ!美味しそうでしょ!リビングは、胡桃さん、こういうの好きかなって。」
そう、昨日とは打って変わって、私好みのカントリー風の可愛い部屋へと大変身を遂げていたのだ。まさか昨日今日でここまで変わるとは…驚きだ。て、あれ。スルーしたけど!
「小原田さん!今!」
「僕達、恋人でしょ…?会社はともかく、プライベートは名前呼びたくて…」
顔が見えないけど、耳が赤くなっている。それを見た瞬間、猛烈にむず痒い気持ちが湧き上がってきて、私まで赤くなってしまう。
「そ、そうよね…ええ、恋人だもの…」
もじもじ、ゆらゆら。なんとも言えない沈黙がおりた。先に耐えられなくなったのは、小原田さんだ。
「え、えーと!とりあえずビーフシチュー食べましょう!!」
「そうね!!冷めちゃうもの!」
そうして、2人でいただきますをしてビーフシチューを一口。瞬間…口の中がパラダイスになった。
「お、おいしっ…!?!?」
「すごい…すごいおいしい…」
甘く煮とけた野菜、柔らかでジューシーなお肉…そして、その全てが溶け出たルー。美味しすぎた。
「はー!ご馳走様でした!」
「美味しかったですね!」
ビーフシチューをたらふく食べて、食後はお茶とフルーツゼリーを食べた。
ちらり、と隣に座った小原田さんを見てみる。どう見ても挙動不審である。すると、ふいに目を上げた小原田さんと目が合った。
「胡桃さん!!お誕生日おめでとうございます!!」
ばっと、どこからともなく出てきたプレゼントの箱を差し出された。開けてみると、中には可愛いネックレスが入っていた。淡いピンクのダイヤの桃の花がついたネックレス。
「えーと、本当は全部自力でやりたかったんですが、胡桃さんと料理したくて!エプロン姿がどうしても見たくて!もしかしたら、こんなチャンス二度と来ないかもとか思ったら…」
「そうだったんですか。え、もしかして、この部屋は…!」
ぐるりと見渡す。どこもかしこも可愛い。手がこんでいて、一朝一夕に出来るものでは無いとわかるものばかりだ。
「はい。胡桃さんの誕生日なので、好きな物でいっぱいにしたくて…」
どうしよう。嬉しい。こんな事されたの、初めて…嬉しくて涙が後から後から出てくる。小原田さんの優しさが、愛情が染み渡るように感じられた。
「ごめんなさい、すごく嬉しくて…幸斗さん、ありがとうございます。大好きです。」
「僕もです。僕も胡桃さんが大好きです。」
そっと引き寄せられ、抱きしめられた。その背に手を回す。そこにはもう、迷いはない。こうして、人生最高の誕生日は甘く閉じた。
小原田さんは元気よく、ほわほわした笑顔で迎えてくれた。
「こんばんは、小原田さん。お邪魔します。これ、食後のデザートにでも。」
「わー!美味しそう!ありがとうございます!」
今回は小さめのフルーツゼリーにしてみた。ドーナツ型で、蜜柑やキュウイ、パイナップルが入っている。また、エディブルフラワーが鮮やかで美しい。可愛くて、思わず買ってしまった。リビングに行くと、ある程度準備は終わっていた。
「じゃ、配膳しちゃうから待っててね!」
その言葉よりしばらくして、ぱたぱたと可愛い足音をたてて小原田さんはビーフシチューと共にやってきた。
「ありがとう。リビング模様替えしたのね…わ、美味しそう!」
「でしょ!美味しそうでしょ!リビングは、胡桃さん、こういうの好きかなって。」
そう、昨日とは打って変わって、私好みのカントリー風の可愛い部屋へと大変身を遂げていたのだ。まさか昨日今日でここまで変わるとは…驚きだ。て、あれ。スルーしたけど!
「小原田さん!今!」
「僕達、恋人でしょ…?会社はともかく、プライベートは名前呼びたくて…」
顔が見えないけど、耳が赤くなっている。それを見た瞬間、猛烈にむず痒い気持ちが湧き上がってきて、私まで赤くなってしまう。
「そ、そうよね…ええ、恋人だもの…」
もじもじ、ゆらゆら。なんとも言えない沈黙がおりた。先に耐えられなくなったのは、小原田さんだ。
「え、えーと!とりあえずビーフシチュー食べましょう!!」
「そうね!!冷めちゃうもの!」
そうして、2人でいただきますをしてビーフシチューを一口。瞬間…口の中がパラダイスになった。
「お、おいしっ…!?!?」
「すごい…すごいおいしい…」
甘く煮とけた野菜、柔らかでジューシーなお肉…そして、その全てが溶け出たルー。美味しすぎた。
「はー!ご馳走様でした!」
「美味しかったですね!」
ビーフシチューをたらふく食べて、食後はお茶とフルーツゼリーを食べた。
ちらり、と隣に座った小原田さんを見てみる。どう見ても挙動不審である。すると、ふいに目を上げた小原田さんと目が合った。
「胡桃さん!!お誕生日おめでとうございます!!」
ばっと、どこからともなく出てきたプレゼントの箱を差し出された。開けてみると、中には可愛いネックレスが入っていた。淡いピンクのダイヤの桃の花がついたネックレス。
「えーと、本当は全部自力でやりたかったんですが、胡桃さんと料理したくて!エプロン姿がどうしても見たくて!もしかしたら、こんなチャンス二度と来ないかもとか思ったら…」
「そうだったんですか。え、もしかして、この部屋は…!」
ぐるりと見渡す。どこもかしこも可愛い。手がこんでいて、一朝一夕に出来るものでは無いとわかるものばかりだ。
「はい。胡桃さんの誕生日なので、好きな物でいっぱいにしたくて…」
どうしよう。嬉しい。こんな事されたの、初めて…嬉しくて涙が後から後から出てくる。小原田さんの優しさが、愛情が染み渡るように感じられた。
「ごめんなさい、すごく嬉しくて…幸斗さん、ありがとうございます。大好きです。」
「僕もです。僕も胡桃さんが大好きです。」
そっと引き寄せられ、抱きしめられた。その背に手を回す。そこにはもう、迷いはない。こうして、人生最高の誕生日は甘く閉じた。
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