公爵様とクズ令嬢

もなか

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いらっしゃいませ馬鹿野郎!

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「俺は女が大嫌いだ!!貴様と情など交わさないし、子供も作らん!!!」

要約するとこういう事である。

興奮のあまり早口で怒鳴り、まくし立てる公爵様。しかも同じこと何回も言うし。強調したくてもわかったってば。

今日からこの人が夫かー。
もーやんなちゃった。めんどくさい。

「わーった、わかりましたて。こっちは疲れてんだから、早く寝てくださいよ。」

本気でめんどくさかったので、公爵様の頭をがっしりと掴み、そのまま布団に突っ込んだ。

なんかもごもご言ってるけど、ええわ。
そのうち寝るじゃろ。

「んじゃ、わしゃはもう寝るんで。おやすみなさいまし。いい夢を~」

適当にそこら辺にあった布をかけて、床で寝た。雑魚寝である。仮にも良いとこの嬢ちゃんが、床で寝るべきではない…とは思う。でもさー、もう寝れればいいのよ、寝れれば。おやすみなさーい。


さて、朝になりました。もちろん公爵様とは何もありません。清い身体のままでございます。

使用人達は予想内だったのか、普通の対応であった。わしが雑魚寝していたのには驚いていたが。

どうせ朝食も一人じゃろ。と思ったが、なんと公爵様がいた。

「チッ…おはようございます公爵様。よく眠れましたでしょうか。わしは快眠です。」

あなたはよく眠れましたか?というクソみたいな質問避けをつけつつ、挨拶をした。

「舌打ちしたの聞こえてるからな。お陰様でゆっっっっっくり眠れましたとも。」

「おほほほほ、それはよかったですわね~。」

それ以降はお互い無言である。なんで態々一緒に朝ごはん食べねばならんのじゃ。

「…昨日のことだが。」

「はい。」

「その、悪かった。疲れているのに、怒鳴りつけて…。しかも床で寝させてしまった。妻の扱いではなかった。」

「なーんだ反省してるんですね!よしよし許して差し上げますわ。」

ぱっと顔を上げる公爵様。
わー、綺麗なお顔!その綺麗なお顔、もっと綺麗にしまちょうねぇぇ?

ぱしゃり。

「んなわけないだろ、ばぁぁぁぁか♡」

美しい顔にぴしりと歪む。そうして…

「こんのくそ女がぁぁぁぁぁぁ!」

大噴火した。

「ひぇっひぇっひぇ!1ミリたりとも怒ってないけど、昨日の態度は尺に触ったので仕返ししただけでーす!!!」

「このっ!!!ちょっと本気で反省した俺が馬鹿だった!!!やっぱ女ってクソだわ!!!」

「ええー?そんな事ならぁ、初夜に妻を雑魚寝させた男はどうなんですかぁ?」

「おめーが勝手にしたんやろがい!」

もはや会話がプロレス状態である。新婚2日目の夫婦がしていい会話じゃない。

「そういえばぁ、なんで旦那様は女嫌いなんですかぁ?まさかご自身(笑)に自信がないんですかぁ??」

「うるせーよ!!ちげーよ!!お前みたいなクソ女に有り金全部ぼったくられたからだよ!!!!」

「詐欺師に会ったんですねwwwwご愁傷様でぇぇすwwww」

旦那様はダンサーにのぼせ上がって金を貢ぎこみ、さらに身ぐるみ全部剥がされたことで、富豪の我ら伯爵家と縁を結ぶことになってしまった。

つまり彼は

『馬鹿の極み』なのだ。

「くそっくそっ!!あんな女に引っかからなければ、こんな事には!!」

頭を抱え、絶望する旦那様。

「ひぇっひぇっひぇ、いやーーいい眺めっすわーーーwwwwww」

あー!!旦那様馬鹿でよかったー!!!
くっそ面倒くさいし、情けない男だけど、顔がいいからな!!

態々高い詐欺師雇ってよかったわ!!
ちなみに旦那様が惚れ込んでるダンサーは女装した男です。可哀想だから黙っててあげますけれどね。

これから楽しくなるぞ!!!!

いぇいいぇい!!!
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