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番外編2-5(ルルリアとレニエス 完結)
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「お、来たな。」
仕方がないからレニエスと休日に出かけることにした。どうせ暇だしね。
この日の為に可愛い服を買って、メイクも頑張った。念の為、先輩後輩におかしくないか聞いたら、すごく可愛いよ!と言ってくれた。だからきっと大丈夫。少なくとも、おかしくはないはず。
「可愛いじゃん。似合ってる。」
「ありがと」
あまりにも素直に褒めてくれるから、反応に困ってしまう。そう言うレニエスもすごくかっこいい。執事服もかっこいいけれど、私服もかっこいい。腕には私がプレゼントした腕時計をしてくれている。
「じゃ、行こっか。」
そう言うと、私の手をあっさり取るレニエス。しかも恋人繋ぎである。
「レ、レニエス、手…!」
「嫌か?」
離そうとするから、思わずその手を握ってしまった。
「嫌じゃない…」
そう言うと、笑って握り直してくれた。
「到着!綺麗なところだろ。」
そう言って、連れて行ってくれたのは…
「すごい…フロストフラワー?」
「前に見たいって言ってただろ。」
湖面にはった氷の上にできた、霜の結晶。
すっごく寒いけど、でも美しい。
「これ、条件が揃わないと見れないんじゃ…」
「見れる日を調べたんだよ。そしたらちょうどお前と俺の休日に重なっててさ。行くっきゃないだろ。」
淡い陽の光、雪景色と相なって、とても美しく幻想的な光景だ。
「ありがとうレニエス。すごく嬉しい。綺麗…きっと私、この景色を忘れないわ。」
それから、レニエスとロープウェイに乗って、森の中のショッピングロードに来た。そこはログハウスが建ち並んでいて、カフェや可愛いジュエリーショップ、服屋さんなどが立ち並んでいる。
(あ…このピアス、レニエスに似合いそう。でもピアスのプレゼントは重いかな。いやでも…買っちゃお。)
(このネックレス、ルルリアに似合うな。買うか。)
ちょっと遅めのお昼をカフェでとることにした。
私はビーフシチューとパンのプレートとデザートにアイスを、レニエスはステーキサンドセットを注文した。
待っている間に、勇気を出してピアスを渡すことにした。重いって思われたらどうしよ…
「レニエス、あのね。ちょっと渡したいものがあるんだけど…」
私はレニエスにピアスを渡した。
「お、ピアスじゃん!お前センスいいな。ありがと。あと、実は俺もあるんだ。」
「え!」
袋を渡され、中を覗くと…入っていたのは上品なホワイトゴールドのネックレスだった。
「ネックレス…!綺麗、可愛い!ありがとう!」
「ん、よかった」
それから、取り留めのないことを話していると、料理が届いた。美味しい料理に舌鼓をうち、とても幸せだった。
それから、おやつの時間までショッピングロードを歩き、次の場所へと向かった。
ついたのは夕方だった。川沿いにレトロな建物が立ち並ぶ街。雪が静かに降る中、ガス灯の幻想的な明かりが街を彩っている。川を船でゆっくりと下りながら、景色を眺めた。
「ありがとう、レニエス。今日、すごく楽しかった。」
「おいおい、まだ終わってないぞ。」
かすかに笑いながらレニエスがいった。
「そうだけど。でも、ありがとう。」
素直になっている今なら言える気がしたから。
それから、船から降りてホテルに入った。レニエスが予約していたらしく、街の景色を一望できる部屋に案内された。
コース料理を美味しく頂き、備え付けの露天風呂に入りながら考える。どうしてレニエスはこんな素敵な場所に連れてきてくれたんだろう。どうして彼女さんと来なかったんだろう。本当はここに彼女さんと来る予定だったのだろうか…
そう思うと心が重くなる。振られちゃったのかな、レニエス…
お風呂から上がり、ぼんやりと夜景を眺めていると、レニエスが隣に来た。
「おい、ここには本当にお前とくるつもりだったんだからな。余計な心配するのはやめろ。」
顔に出ていたらしく、レニエスに言われた。それから、とんでもない爆弾を落とされた。
「ルルリア、俺と付き合わない?好きなんだけど。」
「は?何よ、彼女に振られたからそこら辺の私で傷を癒やすってわけ?」
彼女さんの代わりなんて嫌よ。絶対に。
「ちげえよ。お前、成人してなかったろ。それまで手を出せなかったんだよ。だからそれまで待ってたんだよ。彼女の事は別に好きじゃない。あり大抵に隠さずに言えば、お前の代わりだ。」
「なにそれ!!レニー最低!!!」
「お、やっとレニーって呼んでくれたな。お前じゃないなら誰でも同じだし。どうする?付き合わないなら、また誰か身代わりとして適当に付き合っちまうぞ。」
「付き合う!付き合うわよ。」
なんか思っていたよりレニエスが屑だったのがびっくりだけど、そんなところを見ても、やっぱり好きだった。
「ルルリア、お前は俺のこと好き?」
「…ん。好き。」
駄目だ、レニエスの顔が見れない!無理ー!恥ずかしい!
勇気をだして、おずおずと顔を上げる。すると、至近距離で目が合った。驚いて、顔を引こうとしたら顎を掴まれ、たっぷりと口づけられた。頭が追いつかない。空気が足りない。されるがままに口内を暴かれた。ようやく離れてくれたときには、ぐったりしてしまい、ぐずぐずになってレニエスの腕の中に蕩けていた。
「よく言えました。良い子だ。」
そう言って笑うレニエスは、いつになく色っぽい。頬に、額に、優しく口づけ、撫でられた。
「信じらんない!馬鹿!」
「怒んなよ。つか一泊するって時点で危機感覚えるか察しとけ!」
「知らないわよ!だってレニエスだったし、考えてなかったんだもの!」
ふらつく足と痛む腰を叱咤し、レニエスに支えられながら、(たまーに怪しい手つきでスリスリされるのを叩き落としながら)二人でゆっくりと公爵邸まで帰った。その頃には、ルルリアの曲がったつむじもすっかり治っていたのであった。
仕方がないからレニエスと休日に出かけることにした。どうせ暇だしね。
この日の為に可愛い服を買って、メイクも頑張った。念の為、先輩後輩におかしくないか聞いたら、すごく可愛いよ!と言ってくれた。だからきっと大丈夫。少なくとも、おかしくはないはず。
「可愛いじゃん。似合ってる。」
「ありがと」
あまりにも素直に褒めてくれるから、反応に困ってしまう。そう言うレニエスもすごくかっこいい。執事服もかっこいいけれど、私服もかっこいい。腕には私がプレゼントした腕時計をしてくれている。
「じゃ、行こっか。」
そう言うと、私の手をあっさり取るレニエス。しかも恋人繋ぎである。
「レ、レニエス、手…!」
「嫌か?」
離そうとするから、思わずその手を握ってしまった。
「嫌じゃない…」
そう言うと、笑って握り直してくれた。
「到着!綺麗なところだろ。」
そう言って、連れて行ってくれたのは…
「すごい…フロストフラワー?」
「前に見たいって言ってただろ。」
湖面にはった氷の上にできた、霜の結晶。
すっごく寒いけど、でも美しい。
「これ、条件が揃わないと見れないんじゃ…」
「見れる日を調べたんだよ。そしたらちょうどお前と俺の休日に重なっててさ。行くっきゃないだろ。」
淡い陽の光、雪景色と相なって、とても美しく幻想的な光景だ。
「ありがとうレニエス。すごく嬉しい。綺麗…きっと私、この景色を忘れないわ。」
それから、レニエスとロープウェイに乗って、森の中のショッピングロードに来た。そこはログハウスが建ち並んでいて、カフェや可愛いジュエリーショップ、服屋さんなどが立ち並んでいる。
(あ…このピアス、レニエスに似合いそう。でもピアスのプレゼントは重いかな。いやでも…買っちゃお。)
(このネックレス、ルルリアに似合うな。買うか。)
ちょっと遅めのお昼をカフェでとることにした。
私はビーフシチューとパンのプレートとデザートにアイスを、レニエスはステーキサンドセットを注文した。
待っている間に、勇気を出してピアスを渡すことにした。重いって思われたらどうしよ…
「レニエス、あのね。ちょっと渡したいものがあるんだけど…」
私はレニエスにピアスを渡した。
「お、ピアスじゃん!お前センスいいな。ありがと。あと、実は俺もあるんだ。」
「え!」
袋を渡され、中を覗くと…入っていたのは上品なホワイトゴールドのネックレスだった。
「ネックレス…!綺麗、可愛い!ありがとう!」
「ん、よかった」
それから、取り留めのないことを話していると、料理が届いた。美味しい料理に舌鼓をうち、とても幸せだった。
それから、おやつの時間までショッピングロードを歩き、次の場所へと向かった。
ついたのは夕方だった。川沿いにレトロな建物が立ち並ぶ街。雪が静かに降る中、ガス灯の幻想的な明かりが街を彩っている。川を船でゆっくりと下りながら、景色を眺めた。
「ありがとう、レニエス。今日、すごく楽しかった。」
「おいおい、まだ終わってないぞ。」
かすかに笑いながらレニエスがいった。
「そうだけど。でも、ありがとう。」
素直になっている今なら言える気がしたから。
それから、船から降りてホテルに入った。レニエスが予約していたらしく、街の景色を一望できる部屋に案内された。
コース料理を美味しく頂き、備え付けの露天風呂に入りながら考える。どうしてレニエスはこんな素敵な場所に連れてきてくれたんだろう。どうして彼女さんと来なかったんだろう。本当はここに彼女さんと来る予定だったのだろうか…
そう思うと心が重くなる。振られちゃったのかな、レニエス…
お風呂から上がり、ぼんやりと夜景を眺めていると、レニエスが隣に来た。
「おい、ここには本当にお前とくるつもりだったんだからな。余計な心配するのはやめろ。」
顔に出ていたらしく、レニエスに言われた。それから、とんでもない爆弾を落とされた。
「ルルリア、俺と付き合わない?好きなんだけど。」
「は?何よ、彼女に振られたからそこら辺の私で傷を癒やすってわけ?」
彼女さんの代わりなんて嫌よ。絶対に。
「ちげえよ。お前、成人してなかったろ。それまで手を出せなかったんだよ。だからそれまで待ってたんだよ。彼女の事は別に好きじゃない。あり大抵に隠さずに言えば、お前の代わりだ。」
「なにそれ!!レニー最低!!!」
「お、やっとレニーって呼んでくれたな。お前じゃないなら誰でも同じだし。どうする?付き合わないなら、また誰か身代わりとして適当に付き合っちまうぞ。」
「付き合う!付き合うわよ。」
なんか思っていたよりレニエスが屑だったのがびっくりだけど、そんなところを見ても、やっぱり好きだった。
「ルルリア、お前は俺のこと好き?」
「…ん。好き。」
駄目だ、レニエスの顔が見れない!無理ー!恥ずかしい!
勇気をだして、おずおずと顔を上げる。すると、至近距離で目が合った。驚いて、顔を引こうとしたら顎を掴まれ、たっぷりと口づけられた。頭が追いつかない。空気が足りない。されるがままに口内を暴かれた。ようやく離れてくれたときには、ぐったりしてしまい、ぐずぐずになってレニエスの腕の中に蕩けていた。
「よく言えました。良い子だ。」
そう言って笑うレニエスは、いつになく色っぽい。頬に、額に、優しく口づけ、撫でられた。
「信じらんない!馬鹿!」
「怒んなよ。つか一泊するって時点で危機感覚えるか察しとけ!」
「知らないわよ!だってレニエスだったし、考えてなかったんだもの!」
ふらつく足と痛む腰を叱咤し、レニエスに支えられながら、(たまーに怪しい手つきでスリスリされるのを叩き落としながら)二人でゆっくりと公爵邸まで帰った。その頃には、ルルリアの曲がったつむじもすっかり治っていたのであった。
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