108 / 124
ライゼン通りのお針子さん7 ~幸せのシンフォニア~
プロローグ
しおりを挟む
春色の風が穏やかに吹き抜ける暖かなある日の朝。
「どう、かな?」
姿見の前で服装をチェックするアイリスは不安そうな顔で呟く。
「マーガレット様がデートするなら普段着は駄目だ。可愛くておしゃれで少し大人っぽく見える服を着なさいって言っていたから仕立てて見たけど……似合ってるかな」
姿見に映る自分の姿を眺めながら不安がる。普段着る素朴で柔らかな形の町娘スタイルではなく白い生地で作ったスケーター・ドレスに薄いピンク色のボレロを合わせたお出かけスタイルに身を包んでいた。
「アイリス。キース君が下で待っているよ」
「え、もう来たの? 今行きます」
階段の下からイクトの声が聞こえてきて慌ててバッグを手に取り部屋を出る。
「お、おはよう。待たせてごめんね」
「っ。ア、アイリス!?」
ぎこちない挨拶を交わすと頬を真っ赤に染めたキースが固まる。
「な、何よ。その顔は」
「いや、その……普段着ている服もアイリスにとても良く似合っているけれどお洒落をした君の姿があまりにも可愛くて素敵で」
「「っ!」」
彼女の言葉に彼が弁解するように話すと二人して耳まで真っ赤になり俯く。
「ふふ。若いっていいね。二人ともゆっくり話をしている時間はないんじゃないのかな」
「あ、いけない。早くいかないとミュウさんから折角もらったチケット無駄になっちゃうわ」
「急ごう」
微笑ましく微笑むイクトの言葉で現実に戻って来た二人は慌てて仕立て屋を出る。
「いってらっしゃい。楽しんでくるんだよ」
優しい微笑で見送る彼の言葉を聞きながらアイリスはキースと一緒に中央街へと向かう。
中央街には大きな建物があり。そこには食事が出来るレストランを始め約四千人もの人が収容できる舞台があったり、温泉施設や広い遊び場などがある。こちらはつい最近国王の命令により作られたばかりの娯楽施設であった。
施設へとやってきたアイリス達は舞台を見て目を丸める。
「凄い広くて素敵な舞台だね」
「えぇ、そうね」
客席へと付きながら二人は圧巻されていた。
「お待たせいたしました。もう間もなくミュゥリアムさんによる踊りが始まります。皆様舞台に注目を!」
司会者の声が轟き舞台の袖からミュゥリアムが現れる。すると背後の舞台が競り上がりオーケストラが姿を現した。
「皆さん。今日は私の舞台を見にいらして下さりありがとございます。最後まで楽しんでいってください」
彼女が言うと指揮者が指揮棒を振う。すると壮大な音楽が流れ始めた。音に合わせてミュゥリアムが踊り出す。
「す、凄いね」
「えぇ、まるでミュウさんの為だけに作られた特別な舞台のようだわ」
驚きすぎて目が飛び出すのではないかと思うくらいの表情でキースが言うとアイリスも小さく頷き呟く。
舞台を見たその後二人はレストランで食事をして時間を過ごした。
こうしてアイリスの恋物語は幕を開けたのである。
「どう、かな?」
姿見の前で服装をチェックするアイリスは不安そうな顔で呟く。
「マーガレット様がデートするなら普段着は駄目だ。可愛くておしゃれで少し大人っぽく見える服を着なさいって言っていたから仕立てて見たけど……似合ってるかな」
姿見に映る自分の姿を眺めながら不安がる。普段着る素朴で柔らかな形の町娘スタイルではなく白い生地で作ったスケーター・ドレスに薄いピンク色のボレロを合わせたお出かけスタイルに身を包んでいた。
「アイリス。キース君が下で待っているよ」
「え、もう来たの? 今行きます」
階段の下からイクトの声が聞こえてきて慌ててバッグを手に取り部屋を出る。
「お、おはよう。待たせてごめんね」
「っ。ア、アイリス!?」
ぎこちない挨拶を交わすと頬を真っ赤に染めたキースが固まる。
「な、何よ。その顔は」
「いや、その……普段着ている服もアイリスにとても良く似合っているけれどお洒落をした君の姿があまりにも可愛くて素敵で」
「「っ!」」
彼女の言葉に彼が弁解するように話すと二人して耳まで真っ赤になり俯く。
「ふふ。若いっていいね。二人ともゆっくり話をしている時間はないんじゃないのかな」
「あ、いけない。早くいかないとミュウさんから折角もらったチケット無駄になっちゃうわ」
「急ごう」
微笑ましく微笑むイクトの言葉で現実に戻って来た二人は慌てて仕立て屋を出る。
「いってらっしゃい。楽しんでくるんだよ」
優しい微笑で見送る彼の言葉を聞きながらアイリスはキースと一緒に中央街へと向かう。
中央街には大きな建物があり。そこには食事が出来るレストランを始め約四千人もの人が収容できる舞台があったり、温泉施設や広い遊び場などがある。こちらはつい最近国王の命令により作られたばかりの娯楽施設であった。
施設へとやってきたアイリス達は舞台を見て目を丸める。
「凄い広くて素敵な舞台だね」
「えぇ、そうね」
客席へと付きながら二人は圧巻されていた。
「お待たせいたしました。もう間もなくミュゥリアムさんによる踊りが始まります。皆様舞台に注目を!」
司会者の声が轟き舞台の袖からミュゥリアムが現れる。すると背後の舞台が競り上がりオーケストラが姿を現した。
「皆さん。今日は私の舞台を見にいらして下さりありがとございます。最後まで楽しんでいってください」
彼女が言うと指揮者が指揮棒を振う。すると壮大な音楽が流れ始めた。音に合わせてミュゥリアムが踊り出す。
「す、凄いね」
「えぇ、まるでミュウさんの為だけに作られた特別な舞台のようだわ」
驚きすぎて目が飛び出すのではないかと思うくらいの表情でキースが言うとアイリスも小さく頷き呟く。
舞台を見たその後二人はレストランで食事をして時間を過ごした。
こうしてアイリスの恋物語は幕を開けたのである。
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのにいつのまにか溺愛ルートに入りそうです⁉︎
sutera
恋愛
仕事に疲れたボロボロアラサーOLの悠里。
遠くへ行きたい…ふと、現実逃避を口にしてみたら
自分の世界を建て直す人間を探していたという女神に
スカウトされて異世界召喚に応じる。
その結果、なぜか10歳の少女姿にされた上に
第二王子や護衛騎士、魔導士団長など周囲の人達に
かまい倒されながら癒し子任務をする話。
時々ほんのり色っぽい要素が入るのを目指してます。
初投稿、ゆるふわファンタジー設定で気のむくまま更新。
2023年8月、本編完結しました!以降はゆるゆると番外編を更新していきますのでよろしくお願いします。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる