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ライゼン通りのお針子さん6 ~春色の青春物語~
十二章 特殊部隊の隊服
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ジャスティンから依頼を受けた翌日の事。お客を知らせる鈴の音が店内に鳴り響く。
「いらっしゃいませ。仕立て屋アイリスへようこそ」
「よっ。アイリス元気そうだな」
アイリスへと微笑むのはレイヴィンで彼女は驚いて口を開いた。
「レイヴィンさん。今日はレオ様来ていませんよ?」
「分ってるって。今日来たのは別の用事」
彼女の言葉に小さく笑うとそう答える。
「別の用事ですか?」
「そ、特殊部隊の隊服を作ってもらいたくて来たんだ」
不思議がるアイリスにレイヴィンが話す。
「特殊部隊の隊服を……また何かあったのですか?」
「あ、いや。特にこれと言ってないんだけれど、今度遺跡の調査に向かうことになってな。それで探検しやすい服を作ってもらいたいと思ったんだ」
不安がる彼女へと隊長が安心させるように微笑み答える。
「そうでしたか。遺跡の調査ってよくやるのですか?」
「まぁ、平和な国だからな。この前のアイアンゴーレムみたいな事件が頻繁に起こるわけでもないし、大体が遺跡の調査とか同盟国との軍事訓練だとかそう言った内容だな」
アイリスの疑問にレイヴィンが答えると彼女はなるほどと言った感じに頷く。
「そうなのですね。分かりました隊服は何着作れば宜しいですか?」
「十着もあれば大丈夫だ」
「特殊部隊ってそんなに人数がいないんですか?」
隊長の言葉にアイリスは驚いて尋ねる。
「あぁ。特殊部隊は選りすぐりの人材で形成されているからな。ただ優秀なだけでも入れないし、武力があるから入れると言う訳でもない」
「凄い高い基準があってそこを通過できないと入れないってことですか」
「まぁ、そんな感じ」
彼女の言葉にレイヴィンが頷く。
「それじゃ、頼んだぞ。そうだな……三週間後までには作ってくれ」
「はい」
隊長がそれだけ言うと店を出て行く。アイリスはメモを取った紙を見ながら作業部屋へと向かった。
「イクトさん先ほどレイヴィンさんが見えて特殊部隊の隊服を十着仕立てて欲しいって頼まれました」
「そうか。隊服の縫い合わせは俺がこのまま続けるからアイリスは特殊部隊の隊服の方を作ってくれ」
「はい」
作業部屋の中で服を縫い合わせているイクトへと声をかけると彼がそう答える。アイリスは早速デッサン画を描き始めた。
「よし、それじゃあ今回は丈夫でしなやかで伸縮性のある生地でアイゼンハワー・ジャケットを作ってズボンはチノ・パンツ。ボタンは服の色に合わせてっと。よし、こんな感じかな」
描き上げたそれを見ながら今度は生地と糸とボタンを選ぶ。
「グルクウィーンの布に雷鳥の羽糸それからプラトネスのボタンをっと」
独り言を呟きながら素材を作業台の上へと持って行き型紙を探す。
「特殊部隊の隊員さん達の型紙は……あ、あった」
型紙を取り出すと早速裁断を始める。
「さてと、後は縫い合わせるだけね」
「アイリスお客様だよ」
さあやるぞと意気込んでいるとイクトに声をかけられた。
「すみません。何方か店員さんはいらっしゃいますか?」
「は、はい。ただいま」
店内から女性の声が聞こえてきてアイリスは慌てて作業部屋を出る。
「ミュゥちゃんがね。ここの仕立て屋はとても腕の良い職人さんだから是非服を頼むと良いって教えてくれてねぇ。それで娘の誕生日だからワンピースの一つでもと思って頼みに来たの」
「誕生日プレゼントですね。畏まりました。あの、娘さんの服のサイズは分りますか?」
「えぇ。あの子は幼い時から体が小さかったからいつも同級生の子と比べたら一回りも二回りも小さい服を着ていてね」
昔話を始めてしまったお客の様子にアイリスは苦笑しながら口を開く。
「あの、今の服のサイズが分ればいいのですが」
「あら、ごめんなさいね。あの子は確か九号だったかしら?」
「九号ですね。畏まりました」
確りと忘れないようにメモを取るとお客へと顔を戻す。
「それで、何時頃までに仕上げれば宜しいでしょうか」
「誕生日は五日後だからそれまでにはお願いね」
「はい。分かりました」
やり取りを終えると女性は店を出て行きアイリスは再び作業部屋へと戻る。
こうして今日も服を仕立てて時間が過ぎて行った。
「失礼する」
「よ、邪魔するぞ」
三週間後になりジャスティンとレイヴィンが揃ってお店に訪れる。
「いらっしゃいませ。あ、ジャスティンさん、レイヴィンさんも」
「以前頼んだ服は出来上がっているだろうか?」
「出来ていたら貰いたいんだけど」
二人の言葉に彼女はにこりと笑う。
「今お持ち致します」
カウンターの裏へと回り袋を二つ取り出した。
「こちらになります」
「有難う。では頂いて行く」
「ほい、会計な」
中を確認することなくそう言ってくる二人にアイリスはもう慣れてしまったが一応と思い口を開く。
「中を確認しなくて大丈夫ですか?」
「君が作ってくれた服に問題はない」
「そ、だからこのまま貰っていくぜ」
「畏まりました。それでは伝票をお持ちしますね」
やはりかと思いながらも毎回不安になるのは仕方ない事だと自分に言い聞かせながらカウンターへと向かう。
「それでは、また何かあったらよろしく頼む」
「俺もまた来ることもあると思う」
「はい。またのご来店お待ちいたしております」
会計を済ませた二人が言うとアイリスはその背中を見送る。
「さて、大きな仕事はこれで終わりね。後はまた日常に戻っていく、と」
独り言を呟きながら店番へと戻っていった。
「いらっしゃいませ。仕立て屋アイリスへようこそ」
「よっ。アイリス元気そうだな」
アイリスへと微笑むのはレイヴィンで彼女は驚いて口を開いた。
「レイヴィンさん。今日はレオ様来ていませんよ?」
「分ってるって。今日来たのは別の用事」
彼女の言葉に小さく笑うとそう答える。
「別の用事ですか?」
「そ、特殊部隊の隊服を作ってもらいたくて来たんだ」
不思議がるアイリスにレイヴィンが話す。
「特殊部隊の隊服を……また何かあったのですか?」
「あ、いや。特にこれと言ってないんだけれど、今度遺跡の調査に向かうことになってな。それで探検しやすい服を作ってもらいたいと思ったんだ」
不安がる彼女へと隊長が安心させるように微笑み答える。
「そうでしたか。遺跡の調査ってよくやるのですか?」
「まぁ、平和な国だからな。この前のアイアンゴーレムみたいな事件が頻繁に起こるわけでもないし、大体が遺跡の調査とか同盟国との軍事訓練だとかそう言った内容だな」
アイリスの疑問にレイヴィンが答えると彼女はなるほどと言った感じに頷く。
「そうなのですね。分かりました隊服は何着作れば宜しいですか?」
「十着もあれば大丈夫だ」
「特殊部隊ってそんなに人数がいないんですか?」
隊長の言葉にアイリスは驚いて尋ねる。
「あぁ。特殊部隊は選りすぐりの人材で形成されているからな。ただ優秀なだけでも入れないし、武力があるから入れると言う訳でもない」
「凄い高い基準があってそこを通過できないと入れないってことですか」
「まぁ、そんな感じ」
彼女の言葉にレイヴィンが頷く。
「それじゃ、頼んだぞ。そうだな……三週間後までには作ってくれ」
「はい」
隊長がそれだけ言うと店を出て行く。アイリスはメモを取った紙を見ながら作業部屋へと向かった。
「イクトさん先ほどレイヴィンさんが見えて特殊部隊の隊服を十着仕立てて欲しいって頼まれました」
「そうか。隊服の縫い合わせは俺がこのまま続けるからアイリスは特殊部隊の隊服の方を作ってくれ」
「はい」
作業部屋の中で服を縫い合わせているイクトへと声をかけると彼がそう答える。アイリスは早速デッサン画を描き始めた。
「よし、それじゃあ今回は丈夫でしなやかで伸縮性のある生地でアイゼンハワー・ジャケットを作ってズボンはチノ・パンツ。ボタンは服の色に合わせてっと。よし、こんな感じかな」
描き上げたそれを見ながら今度は生地と糸とボタンを選ぶ。
「グルクウィーンの布に雷鳥の羽糸それからプラトネスのボタンをっと」
独り言を呟きながら素材を作業台の上へと持って行き型紙を探す。
「特殊部隊の隊員さん達の型紙は……あ、あった」
型紙を取り出すと早速裁断を始める。
「さてと、後は縫い合わせるだけね」
「アイリスお客様だよ」
さあやるぞと意気込んでいるとイクトに声をかけられた。
「すみません。何方か店員さんはいらっしゃいますか?」
「は、はい。ただいま」
店内から女性の声が聞こえてきてアイリスは慌てて作業部屋を出る。
「ミュゥちゃんがね。ここの仕立て屋はとても腕の良い職人さんだから是非服を頼むと良いって教えてくれてねぇ。それで娘の誕生日だからワンピースの一つでもと思って頼みに来たの」
「誕生日プレゼントですね。畏まりました。あの、娘さんの服のサイズは分りますか?」
「えぇ。あの子は幼い時から体が小さかったからいつも同級生の子と比べたら一回りも二回りも小さい服を着ていてね」
昔話を始めてしまったお客の様子にアイリスは苦笑しながら口を開く。
「あの、今の服のサイズが分ればいいのですが」
「あら、ごめんなさいね。あの子は確か九号だったかしら?」
「九号ですね。畏まりました」
確りと忘れないようにメモを取るとお客へと顔を戻す。
「それで、何時頃までに仕上げれば宜しいでしょうか」
「誕生日は五日後だからそれまでにはお願いね」
「はい。分かりました」
やり取りを終えると女性は店を出て行きアイリスは再び作業部屋へと戻る。
こうして今日も服を仕立てて時間が過ぎて行った。
「失礼する」
「よ、邪魔するぞ」
三週間後になりジャスティンとレイヴィンが揃ってお店に訪れる。
「いらっしゃいませ。あ、ジャスティンさん、レイヴィンさんも」
「以前頼んだ服は出来上がっているだろうか?」
「出来ていたら貰いたいんだけど」
二人の言葉に彼女はにこりと笑う。
「今お持ち致します」
カウンターの裏へと回り袋を二つ取り出した。
「こちらになります」
「有難う。では頂いて行く」
「ほい、会計な」
中を確認することなくそう言ってくる二人にアイリスはもう慣れてしまったが一応と思い口を開く。
「中を確認しなくて大丈夫ですか?」
「君が作ってくれた服に問題はない」
「そ、だからこのまま貰っていくぜ」
「畏まりました。それでは伝票をお持ちしますね」
やはりかと思いながらも毎回不安になるのは仕方ない事だと自分に言い聞かせながらカウンターへと向かう。
「それでは、また何かあったらよろしく頼む」
「俺もまた来ることもあると思う」
「はい。またのご来店お待ちいたしております」
会計を済ませた二人が言うとアイリスはその背中を見送る。
「さて、大きな仕事はこれで終わりね。後はまた日常に戻っていく、と」
独り言を呟きながら店番へと戻っていった。
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