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ライゼン通りのお針子さん4 ~光と影の潜む王国物語~
四章 アイリスの思うままに
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レイヴィンから注文を受けた後アイリスは悩んでいた。
「う~ん。特別部隊の隊服か……特別っていうのだから普通の騎士団の隊服ではだめなのよね。となるとどんな感じが良いのかしら。レイヴィンさんは丈夫で頑丈だけど動きやすくしなやかな服が良いって言っていたけれど……」
「アイリスただいま。……どうしたの?」
悩み続けていると在庫の品を発注に行っていたイクトが戻ってくる。
「あ、イクトさんお帰りなさい。実は先ほどレイヴィンさんが来て、特別部隊の隊服を作ってくれと頼まれたんです」
「特別部隊の……それで、アイリスは悩んでいたんだね」
彼女の話を聞いた彼が優しい声音で尋ねるように言う。
「はい。特別部隊がどの様なお仕事をなさるのかは知りませんが、特別と言われるほどですから普通の隊服ではだめな気がして……それでどんな生地で如何作ればいいのだろうと考えていたんです」
「そうだね、確かに特別部隊という程だから普通の隊とは違うと思う。だけどね、アイリス。俺はいつも通りアイリスの思うままに作ってみたらいいと思うよ」
「私の思うままに……ですか」
困ったといった顔で語るアイリスへとイクトが柔らかく微笑み安心させる声音で話す。それを聞いた彼女は小さく呟き思案する。
「うん。アイリスが見たままの隊長達の特別部隊の隊服を考えればいいと思う」
「私、やれそうな気がしてきました。早速作ってみます」
彼の言葉でアイデアがまとまったアイリスは早速作業部屋へと籠る。
「……特別部隊が組まれたという事はあの噂は本当だったんだな。……アイアンゴーレム、か」
アイリスが作業部屋へと籠ったことを確認するとイクトが怒りと悲しみに瞳を揺らしながら小さく呟きを零す。
その姿を彼女が見たら驚いていたかもしれないが、彼がこんな姿をアイリスの前でさらすことはない。心の内に秘めた傷跡を彼女に語る日が来るのは全てに覚悟を決めた時となるのであろう。
そのころ作業部屋へと籠ったアイリスは沢山の生地の中かからお目当ての品を探す。
「あ、あった。不死鳥の布に竜神の髭糸。それから鳳凰の瞳……よしこれなら」
ソフィーが錬金術で作り上げた最上級の布と糸とボタンを取り上げると、生地を型紙にあてて裁断していく。
そうして見本用にと切り上げたそれを一針一針丁寧に縫い上げ形を整えていった。
「最後にボタンを付けて……うん、できた」
「お疲れ様。うん、いつも通り安心してみていられるお仕事だったよ」
見本用に造り上げた隊服が出来上がるとイクトがそっと紅茶とクッキーの入った盆を差し出す。
「あ、イクトさん。でもまだこれから百着分を縫い上げないといけないんです」
「そうだね。俺も縫い上げるのを手伝うよ。それと、さっき隊長がやって来てね隊員達の型紙を起こすのにこれを使ってくれと、データを貰ったよ」
彼に気付いた彼女が笑顔で振り返るとイクトが手伝うと言いメモ用紙を差し出す。
「レイヴィンさんわざわざ持ってきてくださったんですね」
「うん。どんなものが出来上がるのかとても楽しみにしているそうだよ」
アイリスはそれを受け取りながら言うと、彼がレイヴィンの言葉を伝える。
「私頑張ります」
「俺も一緒に頑張るから二人で仕上げよう」
「はい」
意気込む彼女へとイクトも微笑み語った。それを聞いたアイリスは笑顔で答える。
こうしてお店が閉店する時間まで二人で作業部屋へと籠り服を縫い上げた。
それから毎日お店へと訪れるお客の対応はイクトがやってくれて、アイリスは一日中作業部屋へと籠り隊服を仕立て上げる。彼も手が空いている時は服を縫い上げるのを手伝ってくれてあっという間に百着分の隊服を作り上げてしまった。
「出来た!」
「お疲れ様。よくこの短期間で全ての服を完成させられたね」
「イクトさんが手伝ってくださったからですよ」
依頼の品全てを縫い上げ終えると疲れにより机に突っ伏してしまうアイリスへとイクトが微笑み賛嘆する。それに彼女はいつも通り彼のおかげだと話した。
「俺は隊長に伝えに行ってくるから、アイリスは少し休憩しておいで」
「はい」
イクトが言うとアイリスは答える。それを見届けると彼は作業部屋を出て行った。
「……私、また隊服百着作れちゃったんだ」
目の前に縫い上げた隊服が広がっている様子を見ながら彼女は呟く。隊服百着なんてジャスティンに頼まれた時以来だからちゃんとできるだろうかと少し不安だったのだがこうして作り上げることが出来た事に達成感に頬が緩む。
「後は、これをレイヴィンさんが気に入ってくれるかどうかよね」
そう呟くとイクトに言われたとおり休憩するべく簡易台所へと向かって作業部屋を後にした。
「う~ん。特別部隊の隊服か……特別っていうのだから普通の騎士団の隊服ではだめなのよね。となるとどんな感じが良いのかしら。レイヴィンさんは丈夫で頑丈だけど動きやすくしなやかな服が良いって言っていたけれど……」
「アイリスただいま。……どうしたの?」
悩み続けていると在庫の品を発注に行っていたイクトが戻ってくる。
「あ、イクトさんお帰りなさい。実は先ほどレイヴィンさんが来て、特別部隊の隊服を作ってくれと頼まれたんです」
「特別部隊の……それで、アイリスは悩んでいたんだね」
彼女の話を聞いた彼が優しい声音で尋ねるように言う。
「はい。特別部隊がどの様なお仕事をなさるのかは知りませんが、特別と言われるほどですから普通の隊服ではだめな気がして……それでどんな生地で如何作ればいいのだろうと考えていたんです」
「そうだね、確かに特別部隊という程だから普通の隊とは違うと思う。だけどね、アイリス。俺はいつも通りアイリスの思うままに作ってみたらいいと思うよ」
「私の思うままに……ですか」
困ったといった顔で語るアイリスへとイクトが柔らかく微笑み安心させる声音で話す。それを聞いた彼女は小さく呟き思案する。
「うん。アイリスが見たままの隊長達の特別部隊の隊服を考えればいいと思う」
「私、やれそうな気がしてきました。早速作ってみます」
彼の言葉でアイデアがまとまったアイリスは早速作業部屋へと籠る。
「……特別部隊が組まれたという事はあの噂は本当だったんだな。……アイアンゴーレム、か」
アイリスが作業部屋へと籠ったことを確認するとイクトが怒りと悲しみに瞳を揺らしながら小さく呟きを零す。
その姿を彼女が見たら驚いていたかもしれないが、彼がこんな姿をアイリスの前でさらすことはない。心の内に秘めた傷跡を彼女に語る日が来るのは全てに覚悟を決めた時となるのであろう。
そのころ作業部屋へと籠ったアイリスは沢山の生地の中かからお目当ての品を探す。
「あ、あった。不死鳥の布に竜神の髭糸。それから鳳凰の瞳……よしこれなら」
ソフィーが錬金術で作り上げた最上級の布と糸とボタンを取り上げると、生地を型紙にあてて裁断していく。
そうして見本用にと切り上げたそれを一針一針丁寧に縫い上げ形を整えていった。
「最後にボタンを付けて……うん、できた」
「お疲れ様。うん、いつも通り安心してみていられるお仕事だったよ」
見本用に造り上げた隊服が出来上がるとイクトがそっと紅茶とクッキーの入った盆を差し出す。
「あ、イクトさん。でもまだこれから百着分を縫い上げないといけないんです」
「そうだね。俺も縫い上げるのを手伝うよ。それと、さっき隊長がやって来てね隊員達の型紙を起こすのにこれを使ってくれと、データを貰ったよ」
彼に気付いた彼女が笑顔で振り返るとイクトが手伝うと言いメモ用紙を差し出す。
「レイヴィンさんわざわざ持ってきてくださったんですね」
「うん。どんなものが出来上がるのかとても楽しみにしているそうだよ」
アイリスはそれを受け取りながら言うと、彼がレイヴィンの言葉を伝える。
「私頑張ります」
「俺も一緒に頑張るから二人で仕上げよう」
「はい」
意気込む彼女へとイクトも微笑み語った。それを聞いたアイリスは笑顔で答える。
こうしてお店が閉店する時間まで二人で作業部屋へと籠り服を縫い上げた。
それから毎日お店へと訪れるお客の対応はイクトがやってくれて、アイリスは一日中作業部屋へと籠り隊服を仕立て上げる。彼も手が空いている時は服を縫い上げるのを手伝ってくれてあっという間に百着分の隊服を作り上げてしまった。
「出来た!」
「お疲れ様。よくこの短期間で全ての服を完成させられたね」
「イクトさんが手伝ってくださったからですよ」
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「俺は隊長に伝えに行ってくるから、アイリスは少し休憩しておいで」
「はい」
イクトが言うとアイリスは答える。それを見届けると彼は作業部屋を出て行った。
「……私、また隊服百着作れちゃったんだ」
目の前に縫い上げた隊服が広がっている様子を見ながら彼女は呟く。隊服百着なんてジャスティンに頼まれた時以来だからちゃんとできるだろうかと少し不安だったのだがこうして作り上げることが出来た事に達成感に頬が緩む。
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