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エピローグ
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鈴虫達の歌声も途絶え肌寒く雪が降り続く冬が訪れる。朝から仕立て屋アイリスにはお客さんが押し寄せて大賑わいとなっていた。
「アイリス。調子はどうだ?」
「アイリス。イクト様の足を引っ張っていなくって」
「アイリスさんの腕は大会で優勝するほど素晴らしいでス。ぜひ皆アイリスさんに服仕立ててもらうと良いです」
マルセンが扉を開けて入って来ると声をかける。するとマーガレットが来店してきた。
ミュゥがいつもの呼び込みをするとお客をぞろぞろと引きつれ店内に入ってくる。
「失礼する。新しい隊服を仕立ててもらいたいのだが……」
「こんにちは。アイリスさん。パーティーできるドレスを仕立ててもらえませんか」
「失礼します。今度僕の誕生日パーティーが開催されるんですが、その時に着る礼服を仕立ててもらいたいのです」
ジャスティンが言うとシュテナとジョンもそう言って新しい服の依頼を頼む。
「今日も大盛況だな。アイリス頑張ろうか」
「はい」
店内に入りきらない程のお客の数にイクトが言うと隣にいるアイリスへと声をかけ微笑む。彼女は大きく頷くと店内にいる人々の方へと体を向けた。
「いらっしゃいませ。仕立て屋アイリスへようこそ」
満面の笑みを浮かべて言うと一人一人順番に丁寧に対応する。お客達はいくら時間がかかったとしてもアイリスに服を仕立ててもらいたくて、苛立つことも怒ることもなく静かに自分の順番が回って来ることを待つ。
そうして優しい街の人達と頑張り屋さんでドジで失敗することもあるけど一生懸命な店長と、そんな彼女を支え続け優しく見守る店員が今日もこの仕立て屋アイリスでの日常を過ごしていく。
コーディル王国の下町。ライゼン通りという職人通りにある小さな仕立て屋さん【アイリス】そのお店にはドジで失敗もするがお客様のために一生懸命頑張る新米店長がいて、わずか十七歳の女の子だが国も世界も認める一流の仕立ての腕を持つ。そしてそんな彼女の人柄に惚れたお客達が今日も列をなし客足が絶えることはない。そんなお店に今日もお客がやってきた。
「いらっしゃいませ。仕立て屋アイリスへようこそ」
この声が聞きたくて。あの溢れんばかりの眩しい笑顔が見たくて。仕立て屋アイリスは今日もたくさんのお客様を迎えて営業をしている。
「アイリス。調子はどうだ?」
「アイリス。イクト様の足を引っ張っていなくって」
「アイリスさんの腕は大会で優勝するほど素晴らしいでス。ぜひ皆アイリスさんに服仕立ててもらうと良いです」
マルセンが扉を開けて入って来ると声をかける。するとマーガレットが来店してきた。
ミュゥがいつもの呼び込みをするとお客をぞろぞろと引きつれ店内に入ってくる。
「失礼する。新しい隊服を仕立ててもらいたいのだが……」
「こんにちは。アイリスさん。パーティーできるドレスを仕立ててもらえませんか」
「失礼します。今度僕の誕生日パーティーが開催されるんですが、その時に着る礼服を仕立ててもらいたいのです」
ジャスティンが言うとシュテナとジョンもそう言って新しい服の依頼を頼む。
「今日も大盛況だな。アイリス頑張ろうか」
「はい」
店内に入りきらない程のお客の数にイクトが言うと隣にいるアイリスへと声をかけ微笑む。彼女は大きく頷くと店内にいる人々の方へと体を向けた。
「いらっしゃいませ。仕立て屋アイリスへようこそ」
満面の笑みを浮かべて言うと一人一人順番に丁寧に対応する。お客達はいくら時間がかかったとしてもアイリスに服を仕立ててもらいたくて、苛立つことも怒ることもなく静かに自分の順番が回って来ることを待つ。
そうして優しい街の人達と頑張り屋さんでドジで失敗することもあるけど一生懸命な店長と、そんな彼女を支え続け優しく見守る店員が今日もこの仕立て屋アイリスでの日常を過ごしていく。
コーディル王国の下町。ライゼン通りという職人通りにある小さな仕立て屋さん【アイリス】そのお店にはドジで失敗もするがお客様のために一生懸命頑張る新米店長がいて、わずか十七歳の女の子だが国も世界も認める一流の仕立ての腕を持つ。そしてそんな彼女の人柄に惚れたお客達が今日も列をなし客足が絶えることはない。そんなお店に今日もお客がやってきた。
「いらっしゃいませ。仕立て屋アイリスへようこそ」
この声が聞きたくて。あの溢れんばかりの眩しい笑顔が見たくて。仕立て屋アイリスは今日もたくさんのお客様を迎えて営業をしている。
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